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キャパオーバーなのに依頼を受けてしまう…角の立たない“仕事の断り方・選び方”

放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。

いま、断れない仕事を抱えていませんか?

・キャパオーバーなのに依頼を受けてしまう

・仕事を失うのが怖いので受けるしかない

・角の立たない断りかたが分からない

・どうやって仕事を選別していいのか迷ってしまう

など、ビジネスパーソンにとって、仕事の「断りかた」「選別のしかた」は悩みの種ですよね。

さまざまな仕事をしている(テレビ・ネット番組制作、3つの学校の講師、コメンテーター、講演、コラム、小説など)僕のノウハウ、思考法を公開したいと思います。

2度目は断っていいので1度目は受けとる

まず、僕も仕事をお断りすることがあります。

しかし、いつもそれは「2度目」。必ず1度目のオファーは受けとって、やってみて、ちょっと違うなと感じたら、2度目のオファーは丁重にお断りするようにしています。

なぜなら、ブレイクスルーのきっかけとなる仕事は“さも「不向き」な顔をしてやって来る”からです。 

例えば、駆け出し作家のころ、ただでさえ貧乏なのに「ノーギャラで野球コラムを書いてほしい」という依頼がありました。野球経験はありましたが、当時はスカパーもDAZNもなく、観戦するお金がない僕にとっては「不向きなオファー」でした。

ところが、いざやってみると、コラムを見たテレビ局から「野球ドラマを書いてほしい」との依頼があり、そのドラマが好評で映画化され、国際映画祭で賞をもらったのです。

仕事は2度目は断っていいので、どうぞ1度目は受けとってみてください。
もし不向きだったとしても“新しい仕事は、新しい人たちとのつながり”を生みます。その人たちが、別の“向いている仕事”を提供してくれる可能性もあるからです。

そして気づくはずです。“仕事の報酬は「お金」ではなく「より良い仕事」”だと。

仕事の選別は「内容」ではなく「発注者」

「2度目で断る」をデフォルトにすると、おのずと角は立ちませんし、より断る理由も言語化しやすくなるので、クライアントとの摩擦も少なくて済みます。

しかし、読者の中には、「すべての1度目を受けとる余裕がない」という方、「ワークライフバランスを重視したいから、仕事を選別したい」という方もいらっしゃることでしょう。

では、皆さんは何を基準に仕事を選別していますか?

周りのビジネスパーソンに聞くと、最も多かったのは「仕事の内容」で、次に「報酬額(orインセンティブ)」、3位は「発注者が誰であるか」でした。

たしかに、内容がつまらない仕事はストレスになりますし、実入りのよい仕事は、特にフリーランスの方には大きな選別ポイントでしょう。

ですが、僕のポイントは「内容」でも「お金」でもなく「発注者」です。

そしてこの発注者とは、「権力のある人」や「実績のある人」が基準ではありません。

iPhoneが毎年のように最新モデルになるように“仕事も常に新しくなるもの”。なので、発注者の「地位」や「経歴」ではなく「伸びしろ」や「イノベーティブさ」が基準。言わば“何をやってきた人か?”ではなく“何をやりそうな人か?”が、僕の判断材料なんですね。

大切なのは「断る」が前提の組織づくり


最後に、「仕事の断りかた」は、個人のテーマでなく、組織のテーマとして思考するべきだと思っています。

特にリーダーポジションの方は、“誰もが断っていい”を前提とした組織づくりを模索する時期ではないでしょうか。

なぜなら、僕をふくめ「仕事は断ってはならない」を前提としてきた昭和イズム継承者たちは、“人の頼みを断らない世代”がゆえに“人に断られると機嫌を損ねる世代”になりがちだからです。

この組織改革は一朝一夕ではいかないでしょうが、「問い」や「疑問」を持つことは、自浄作用につながります。

テクノロジーが進化したのに、日本は100年以上前から8時間労働の国。まだまだ考えていくことはたくさんあります。共に思考していきましょう。


桝本 壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出。

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