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第141回 「働いて“利益を作っている”人」と「働いて“赤字を作っている”人」がいる。そのことを、30代になっても40代になっても、わかってない人がほとんど!?


会社に対してスタッフが交渉できるカードは、「黒字スタッフになること」であって、「頑張ったかどうか」ではない!

今日は【「働くこと」と「利益を作る」ことは別】です。


「働いて利益を作っている人」と「働いて赤字を作っている人」


たとえば、1ヶ月かけて、一人のスタッフが原価50円のお菓子を60円で1万個手売りしたら、「売上-原価-人件費( &ウンタラカンタラ)」で、とんでもない赤字が発生するのですが、「働くこと」と「利益を作ること」の区別がついていないスタッフは「60円のお菓子を1万個売ってやったぜ! どうだ!」と胸を張ったりします。

なんなら、労働者としての権利を主張したりします。

これに関しては「いや、お前がいると(お前が頑張ると)赤字が膨らむ一方だから、今後もその知能で活動する気なら頼むから早く会社をやめてくれ」というのが会社の本音だと思います。

以前、「赤字社員」と「黒字社員」について話した回((voicyで聞きたい方はコチラ)で、学生時代にやっていたカラオケボックスのアルバイトの話をさせていただいたんですけども、あのアルバイトで最初に教えてもらったのが「西野を一人雇うのに○○円かかるから、○○円以上売り上げないと、西野は赤字スタッフで、ここで権利を主張(会社と交渉)したいのであれば、まずは黒字スタッフになれ」ということでした。

「交渉にはカードが必要だろう? 会社において、そのカードは『黒字スタッフ』になることであって、お前が頑張ったかどうかは交渉のカードにはなりえない」と。

「ああ、要するに利益を生めばいいってことね」と思って、お店にたらふく利益を生んで、交渉できる人間になって(「僕が辞めたらメチャクチャ損失が出ますよ」とキチンと算数で会社を脅して)、おそらく学生時代の月給は、国内トップレベルだったと思います。
学生時代にすっごく良い経験をさせていただきました。

ただ残念ながら、社会人になっても、30代になっても、40代になっても、「働くこと」と「利益を作ること」を区別できていない幼稚園児みたいな社会人がほとんどです。

「働いて利益を作っている人」と「働いて赤字を作っている人」がいることが理解できない。

「なんで、こんな小学2年生でもできるような算数ができないんだろう?」と不思議でならないですが、そういえば、学校では算数を教えても、算数の使い方を教えてもらえなかったことを思い出しました。

「教科書でバットの振り方を教えて、一度も打席に立たせない。一度もバットを振らせない」みたいな。

学校が「教育」と呼んでいるその謎プレイが、思考停止のロボット社員を量産するためだとしても、「だとしても、もうチョイ上手くやれよ」というのが僕の本音です。


「その人件費はどこから出るの?」問題


そんな中、先日、CHIMNEY TOWNの中で、ちょっと面白いことがあったので、共有させていただきます。

この流れで、ウチのスタッフの話をしてしまうと、そのスタッフから「俺のことかよ!」と完全に怒られちゃうのですが、「良いトコロ」もあったので、それも合わせて伝えることで、どうか帳消しにしていただきたいです。

2024年 5月18日(土)に、CHIMNEY TOWN DAOの方が『春の肉祭り』というバンドザウルスの音楽イベントを主催されるんです。

この時期、日本にいれば僕も普通にお客さんとして参加したいなぁと思っているのですが、覆面バンドであるバンドザウルスがようやく西野の手から離れた記念すべきイベントなんです。

これまでは「スーツアクターが西野」という、西野の無駄遣いがあったのですが、今回はそうじゃありません。
知らないオジサンがスーツアクターです。

聞けば、バンドザウルス(ティラ様&カジカジ)のマスクのレンタル料が発生しているそうで、ついに恐竜マスクが仕事をし始めました。
完全なる不労所得です。
売上は全て今後のバンドザウルスの悪フザケに使わせていただきます。


さて。
そのバンドザウルスのイベントで、ウチの若手スタッフが「CHIMNEY COFFEEのカフェ・オ・レベースを現地で売りたいです」と主催者さんに掛け合ってくれたみたいで、ありがたいことに100本も卸してもらえることになったんです。

これに関しては若手スタッフを全力で誉めてあげたいと思っていて(偉いぞ!)、今度会った時に、なんか奢ってあげようと思います。

話はここからです。
若手スタッフの「頑張って売りたい!」という気持ちは最高なのですが、勢いあまって、「当日、僕も物販のお手伝いに行きます!」と言ったそうなんです。

その心意気は最高なんですけど、「お前の人件費(物販スタッフとしての稼働費)はどこから出るの?」問題があって、そこを考えてなかったんですね。

少し踏み込んだ話をすると、「その場合の人件費はCHIMNEY TOWNから出るのか、イベント主催者さんから出るのか?」という問題です。

CHIMNEY TOWNの若手スタッフが「僕が行きます」と思う分にはいいんだけれど、通常、その若手スタッフの給料を出しているのはCHIMNEY TOWNなわけで、このイベントは土曜日開催なんですけども(つまるところ、社員のプラスαの稼働になるわけで)、その場合、「どっちが人件費を出すの?」という問題は確実に発生する。

「メーカーが小売業者に卸して、メーカーの人間が小売業者の店頭に立って販売をするのであれば、卸す必要ねーだろ!」という、そもそもとんでもないバカヤロウ問題があるのですが、そこは華麗にスルーするとして、とにもかくにも、「現場に売りに行きます!」と鼻息を鳴らしているスタッフの人件費を、CHIMNEY TOWNが出すのか、それとも主催者(お店)が出すのか?を決めなきゃいけない。

基本的には、こういうのは「主催者さんが出す」のですが、言い出しっぺはCHIMNEY TOWNのスタッフなわけで。

これ、「CHIMNEY TOWNが出す」とするのであれば、CHIMNEY TOWNの出費は、「主催者さんにお支払いする販売手数料」と「CHIMNEY TOWNのスタッフの人件費(交通費なども含む)」になるわけで(※二重支払い)、カフェ・オ・レベースを100本売ったところでマイナスになる可能性もある。
この場合、主催者さんに「販売スタッフはウチから出すのだから、販売手数料を下げてください」という交渉をしなきゃいけないのですが、若手スタッフ的には主催者さんを応援したくて始めた企画でもあると思うので「僕の稼働の為に販売手数料を下げてください」とは言えないと思います。

まぁ、このあたりは今後、CHIMNEY TOWN内でルール改善すればいいだけの話なのですが、「ルールは思考停止のサポーター」みたいなところもあるので、会社員の方は、せめて自分の稼働にかかっているお金ぐらいは意識してみてください。

今回の内容に関しては、全国の経営者がヘッドバンキングをしていると思うので、会社員で、ここを押さえているだけで、快適な会社ライフをおくれると思います。

西野亮廣

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