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第120回 身も蓋もないが…教育で「優秀な人」を作ることはできなくて、「優秀な人」を教育していくしかない!

「ヤル気のないスタッフ」問題が永遠に解決しない理由。西野亮廣が見出した、多くの経営者も共感する結論とは

今日は【エントリーマネジメント 〜優秀なスタッフの能力を教育で伸ばすことはできるけど、教育で優秀なスタッフを作ることはできない〜】というテーマでお話ししたいと思います。

経営者さん、結構な割合で「やる気のないスタッフ」に頭を抱えられています


いろんな会社の経営者さんとお話しさせていただくのですが、結構な割合で「やる気のないスタッフ」に頭を抱えられています。

「返事をしない」「叱られたらすぐに凹む」「同じミスを繰り返す」「悩んでばかりで行動しない」「嘘をつく」…等々です。

こういうスタッフに対して、経営者(リーダー)がケツを叩き続けて、気がつけば、会社が若手介護施設化して、会社のルール上、給料泥棒たるスタッフをクビにできないもんだから、反対に、価値を生んでいる優秀なスタッフが職場を離れていく…という本末転倒がアチコチで起きています。

これに対して、「ヤル気がないスタッフをヤル気にさせる方法」とか「出来が悪い部下を育てる方法」みたいな本や、そういったコンサルタントさんによるインタビューが散見されますが、僕は本当にいろんな現場を見ていますが、「ヤル気がないスタッフをヤル気にさせる方法」とかは、ほぼほぼ幻想なんじゃないかと思っています。

着目すべきは、そのメソッドの成功率で、そのメソッドによって、10人中10人が生まれ変わるのであれば、それはそれは素晴らしいものだと思うのですが、仮にそんな奇跡のメソッドがあるのであれば、そのメソッドは瞬く間に広がって、「ヤル気のないスタッフ」に頭を抱える経営者はゼロになっているはずだけれど、実際問題、2023年現在、右を見ても、左を見ても、「ヤル気のないスタッフ」に頭を抱える経営者だらけ。

その数は減っていません。

「ヤル気のないスタッフ」問題はまるで解決していない。

巷で叫ばれている「ヤル気がないスタッフをヤル気にさせる方法」に効果が無いとは言わないけれど(言い切れないけれど)、その効果は極めて低く、「皆、一旦、その方法も試してみたけど、あまり上手くいかなかった」というのが正しい見立てなんじゃないかと思っています。

そして、効果があった稀なケースだけが取り上げられて、「ね、効果があったでしょ?」と言われている。

これは占い師の手口と同じで、「当たる占い師」なんて誰でも簡単に作れて、それっぽい顔で「2024年にちょっと大きめの事故か病気の相が出ています」と言えばよくて、その人が2024年に何も無かったら占われたことは忘れられるし、2024年に怪我をしたら「あの占いが当たった」となる。

占いは「当たったことしかカウントされない」わけで、「ヤル気がないスタッフをヤル気にさせる方法」も、それと似たようなもんじゃ無いかなぁと思っています。

たまたま、ヤル気が出たスタッフを指して「ほらね、効果があったでしょう?」という。
これはインパルスの堤下君が言っていたことだったような気がするので、反論がある人は、僕ではなくインパルス堤下君にぶつけてください。

採用時に、価値観のすり合わせをしっかりしていくことがメチャクチャ大事


ここから先はまぁまぁ耳の痛い話になりますが、これまで、いろんなチームを見てきたのですが、「結果を残しているチーム(強いチーム)の共通点」というのは、なんとなくあって、それは「教育の力を過信していないチーム」という身も蓋もないデータ(西野調べ)なんですが、この時のポイントは「教育は無意味だ」という結論ではないということです。

具体的にいうと「育たない人への教育は無意味だ」になるわけですが、つまり、初めから「育つ人」を採用するのがメチャクチャ大事。

これも身も蓋もない現場の話ですが、教育で「優秀な人」を作ることはできなくて、「優秀な人」に教育をしていくしかない。
で、この時の「優秀」「優秀じゃない」というのが、単純に向き不向き…要するに能力と役割のミスマッチなので、だからこそ、採用時に、価値観のすり合わせをしっかりしていくことがメチャクチャ大事。

言葉は覚えなくていいですが、こういうのを「エントリーマネジメント」と呼んだりするのですが、「エントリーマネジメント」を取り入れていないチームというのは、結構、苦戦していて、「育たない人」に教育の機会を与えて、「上手くいかねぇなぁ〜」みたいなところに陥っている。

「『ヤル気がないスタッフをヤル気にさせる方法』は、もはや手遅れ」という、これもまた身も蓋もない結論なのですが、少なくとも僕が見てきた現場は、今日お話ししたことが9割です。

話をまとめると、「教育は魔法じゃない」ということ。
優秀な人材を教育で伸ばすことはできるけれど、教育で優秀な人材は作ることはできない。

そしてここでいう「優秀か、否か」は、あくまで「向き不向き」のことであるので、だからこそ採用時は、採用後のミスマッチをなるべく減らす努力をしなきゃいけないっぽいです。

西野亮廣

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