お菓子に載っていた恐怖のフォントの正体
先輩が出張帰りに買って帰ってくれたお土産のしろえびあられ。えびのお菓子好きなんだよな~♪と、ふとパッケージを見ていたら、「国内産水稲もち米使用」の文字がかすれた感じになっていて…ちょっと怖い!
このフォント、かなりのインパクトがあって、ほかにも「そば」や「さくらんぼ」のパッケージで使われていたのも覚えている。色々な品物に採用されているのだろうか。このフォントはいったい何なのか?ちょっと調べてみた。
「古印体」であれば奈良時代の寺社の印鑑に使われていた書体
このパッケージに使われている文字は、私の調べたところ、現代版「古印体」である。
古印体自体の歴史は古い。
どうも、奈良時代の寺社で印鑑に使われていたことがルーツで、日本独自の書体のようだ。
印鑑プチ辞典によると、
当時の印鑑は現在のように精密な文字を作成することができなかったため、線が均一でなく、波打った太さの字体になっています。
日本独自の書体であること、丸みがあって優雅な雰囲気がありながら、線の太さが均一ではないため複製が難しいことなどから、実印や銀行印として好んで使用する人が多い書体です。しかし、可読性も持ち合わせているために認印としても使うこともでき、汎用性の高い書体といえます。
不均一な線で複製しにくい一方、優雅な書体で読みやすいとは印鑑にはうってつけだ。
しかし現代には優雅とは程遠い、かすれた文字で怖いイメージを植え付けてしまう。
その理由は何だろう?
このフォントから受ける怖い印象は日本の妖怪伝説と関係あり?
一つの推測にはなるが、奈良時代から日本独自の書体となれば、日本画などでよく利用されてきたのだろう。
昔の日本は伝説を絵にすることも多く、またその日本画がかっこいいため印象に残りやすい。特に平安時代の妖怪「土蜘蛛」を退治する源頼光はご存じの方も多いだろう。
右上には説明の文字、左下には印がある。
こういった伝説の絵や印に日本独自のフォントが使われ始めたとなれば、
→現存するインパクトのある妖怪伝説の日本画の文字には古印体が使われていた
→怖い妖怪の絵には古印体の文字が!ああぁ、忘れられない!
となるのかもしれない。
※古印体が恐怖の印象を与える理由の裏付けまでは調べきれませんでした
あなたも古印体が使える!
windowsには標準で古印体のフォントはない。
しかし、文字種類は制限されてしまうが、無料の古印体フォントを提供している「白秋書体」さんのページを見つけたのでご紹介。
使用許諾の範囲をよく読んでぜひ試してみてください!
Windows10のフォントのインストール方法はこちら
Androidもありました!
やっぱり…怖いイメージが
和文フォント図鑑の古印体紹介ページの例文を見てしまったのだが…
いやいや、大丈夫!?
新しい朝が絶望なのに、希望だ!ってやせ我慢してない!?
そのラジオから流れるのは…怪談?
http://www.akibatec.net/wabunfont/category/kointai.html
私も早速無料版を試して、人気フレーズを文字に起こしてみた。
かわいらしい大人気ゲームのタイトルはこの通り!
号令がどす黒い!
暗くて薄暗い森にかなり殺気立った動物たちが集まってくる様子が・・・
結果、何気ない文字までも恐怖が先行してしまう。
この現代の古印体に染みついた恐怖のイメージはなかなか頭から離れなさそうだ。
まとめますと
1、このお菓子に使われていたのは古印体というフォント
2、古印体は奈良時代の寺社の印鑑に使われていた日本独自のフォント
3、昔から伝説を現した日本画に使われた日本独自の書体が、恐ろしい妖怪伝説とともに怖いイメージで伝わってしまったと推測
4、あなたも古印体は無料で試せる
5、かわいい文章でも前向きなフレーズでも古印体は恐怖に変えてしまう
フォントは文字の意味に反してでも、それが持つ印象を与えるんだなぁと改めて実感した。
古印体をあえて使っているお菓子などの食べ物のパッケージ。
一見ミスマッチと思ったが、もしかしたら恐怖のフォントのインパクトを逆手にとって記憶に残るよう印象づけているのかもしれない。
もしほかにも、古印体を使った食べ物のパッケージがあればぜひコメントまでお寄せください!