いちエンジニアがスタートアップを起業してビジネスを軌道に乗せるまでの考え方
概要
1つの節目なので自己紹介を兼ねて価値観をまとめておきます。1つの考えとして参考にしてもらえれば幸いです。
主にIT系で起業しようとしているエンジニアやCEO向けのポエムです。
何者か? (Who)
株式会社マインディア Co-Founder CTOの松倉友樹です。
何を目指しているのか?(Why)
私の人生で目指していることは「世の中を効率的、便利、公平にするサービスを作る」ということです。
そのために、今までITを使って様々なサービスやビジネスをの開発に携わってきました。
何をやってきたか?(What)
やったこととその時にやったことを簡単にまとめておきます。
1997年〜
コンピュータとインターネットに初めて触れて、パラダイムチェンジが起きると直感的に感じた。外国人とMMORPGばかりしていました。
インターネットの仕組みや未来を真剣に学びたくて村井純先生が居るSFCに入学しました。
2001年〜
研究室に寝泊まりできる素晴らしい環境を生かして研究とIT関連のバイトに明け暮れました。
「プログラムは電気だけ与えておけば文句も言わずに勝手に働いてくれる。プログラミングは自分の分身を作っているのと似てる。」と思い、他にこれ以上楽しいことはないなと思い、この道で食っていこうと決意。
2006年〜
英語での論文執筆は発表を通して、IT業界では英語を不自由なく使うことが必須だという思いが強くなり大学院への進学を辞退してUCLA Extensionへ行きました。
学校に行きつつ現地でシステム開発のバイトをしてました。
2007年〜
新規ビジネスの立ち上げの案件があり、そのシステム開発の依頼を受けて日本へ帰国。
ドロップシッピング型のECサイトをゼロから開発、運用。
2009年〜
cyta.jpのシステムをゼロから開発・運用。
最初の2年は土日でシステム開発をして、自分に給与が払えるくらいにビジネスが成長したのでその後フルタイムへ。
2011年〜
大規模トラフィックをさばける技術を習得することと、世の中が熱狂しているソーシャルゲームを肌で感じたくてグリー株式会社にジョインしました。
自社ソーシャルゲームのDevOps、海外展開、2ndゲーム運用などをリードエンジニアのポジションとして行ってました。
2014年〜
株式会社メタップスにてSPIKE決済サービスをスクラッチから開発・運用。
SPIKEという決済手数料が0円のサービスをリリースするというプレスリリースが出ていてとても興味があったのでメタップスの方と話を進めていたら、「好きに作っていいよ」と言われて自分で作る流れになりました。
それと同時に土日を利用して、現在の代表の鈴木とMinediaの主力サービスの1つであるオンライン定性調査のサービスのMVPを開発しました。(天気の良い土日に一日中部屋に籠もって作業しているのはなかなか辛いものがありました)
2017年〜
身内でのテストとプロダクトの修正を繰り返す中で、ポジティブなフィードバックが多かったので法人を立ち上げる準備となりました。サービスを提供していたクライアント様が、法人に対してじゃないと代金を払えないとのことが大きな要因でした。
だれとやるのか?(With whom)
世の中に価値のあるシステムやアプリを作るためには、経営、マーケティング、テクノロジーなどの専門分野の知識が必要と考えています。経営、マーケティング、ファイナンスのプロと話すとわかりますが簡単に習得できるような職種じゃないと感じました。よって、自分はテクノロジーを主軸として他の人と組んでやるのが得策と考えています。
そのときに一番根底にあるのは信用・信頼です。騙された場合はその事業に掛けた数年間の時間やお金を失うことになります。最悪お金はなんとかなりますが、時間が奪われると取り返せません。
事業がうまくいかなくなったときにどのような行動を取るのかがその人の本質が出るところかと思います。
どうやるのか?(How)
フィールドを見定める
この選択はロールプレイングゲームに言い換えると、その後の難易度がイージーモードかハードモードかが変わってくる非常に重要なポイントになります。
特にエンジニア畑の人は、ビジネス系の人の意って言っていることが正しいかどうかを検証する必要があるので最低限の知識は持っておくのが良いと思います。
シンプルですが、以下のようなフレームワークを使って、作ろうとするサービスやビジネスの仮説を検証します。
マーケティング環境分析と市場機会の発見
セグメンテーション(市場細分化)
ターゲティング(市場の絞り込み)
ポジショニング
マーケティング・ミックス(4P)
まだこの段階ではリサーチ段階なのでいくらでも立ち戻れます。起業は手段なので焦って起業しないようにしましょう。
私の場合は、代表の鈴木と定期的に電話などでビジネスのディスカッションをしていました。その中で、上記のフィルタリングをくぐり抜けたのがオンラインでの定性調査サービスでした。
この仮説検証の段階で私がどうにも理解し難かったことが1つありました。それは、「オンラインでのインタビューがほとんど(というか、全く)行われていないこと」でした。テレカンがあるのにわざわざ会場を借りて、スケジュールを調整して、人を呼んでインタビューするのは効率が悪く思えました。
よって、このオンライン定性調査のフィールドで、他のプレイヤーが立ち上がったらやめようというくらいのノリでした。しかしながら競合プレイヤーはなかなか現れませんでした。自分の中では当たり前でも、他業種では当たり前ではないことが多数あることを体感しました。
このオンライン定性調査のサービスは最初のステップとしてはわかりやすいですが、裏では中長期の業界のトレンド予想、それに対して何をアセットとして蓄積して、どのようなビジネスをしていくかというのも大まかにアラインしてました。
出したサービスが失敗したときにピボットできるかどうか、キャッシュを稼ぎながらMoatを作っていけるかという視点を重視しました。
プロダクトは自分の手で作る
私の場合は、平日は忙しいので毎週土曜日をこのプロジェクトに使うというスコープで時間を投資していました。そのため、実装を自分でやっているとプロトタイプの完成が遅くなって良くないと考えていました。
そこで、設計の重要なところだけを自分で行い、実装は外部に任せるというアプローチをとることにしました。
外部設計まで作れば、実装は容易だろうと考えていたためです。
しかし、いま振り返るとこの意思決定は間違っていました。
会社で開発を行うのと個人で開発を外注するのは大きな違いがあります。それは払える金額です。
普通に考えると実装で最低でも300万円ぐらい掛かりそうな内容でしたが、この段階ではこの金額をかけて作り込むほどビジネスプランが作れていないので300万円をポケットマネーで出すのは厳しいです。そこで、安く請けてくれる海外のオフショアへ発注することにしました。要件定義、外部設計、内部設計まで私の方で行って実装を依頼しました。
しかし、発注先から納品された成果物は意図したとおりに動かず、納品されたコードをテストするためにも自分で大量に修正しながらテストをするという具合でした。しかも内部設計も指示通りじゃないところも多数ありました。
その結果、ほとんどのコードを書き直しました。振り返ると、自分でゼロから書いたほうが早かったです。
時間がかかるけど、お金をかけないでやるためにはしょうがないです。自分で書きましょう。時間がかかることはbiz側にも納得してもらいましょう。納得してくれなければ優秀な人を雇うお金をポケットマネーで出しましょう。
記念すべき最初のコミットログを貼り付けておきます。
仮説・検証を回しまくる
Thread.new { `一緒にやる仲間を探す` }
while ( 'お金を払っても使いたい会社'.count < 5)
`無料で使ってもらう。`
`フィードバックをもらう。`
`修正する`
end
リーンスタートアップのBuild-Measure-Learnにあたるところです。期間は半年ぐらいやりました。
余談ですが、プロダクトを開発し始めた2015年ごろのWebRTCは対応ブラウザが少なく、ブラウザの実装が不安定でした。つらすぎてFlashに変更するか?と何度か考えましたが、結果的にはWebRTCを使い続けて本当によかった。。。今となってはWebRTCを利用しない日は無いくらいに普及しました。
ここでの粘りが、後々の貯金を作ります。もし、プロトタイプの開発のために資金調達や借り入れをしていたら、大変なことになっていました。
運用や業務が走り出したら収支を気にしながら行かなければいけないので、収支を無視してこだわりの実装やリファクタリングをやるならこのタイミングでとことんやっておいて、開発をスムーズに進められる土台を整えておきます。
これから何をやりたいか?(What will)
この先数年は、技術面ではBlockchain技術の活用、社会面ではプライバシー保護の観点が重視されたサービスが必要とされると考えています。具体的には、自分の情報はサービス提供者側に全部預けるというより自分でコントロールできる流れになると思います。
Blockchainの登場によって自分の情報自体にも"インターネット"の理想である自律分散が適用されていく社会になると思います。
そのような前提で必要とされるサービスやビジネスを提供していきたいと考えています。
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