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ユキ先生の「大人のための授業」part43-学習障害は、「学習できないバカ」ではない
ユキ先生による本日の授業です。
今回は学習障害について授業を行います。
まず注意いただきたいのは、発達障害とは別物ということです。
最も、今回伝えたいことは発達障害の方にもある程度あてはまります。
学習障害は「学習できないバカ」ではない
学習障害の授業は、実は今回で2回目です。
前回の授業をご覧になっていない方はあわせてどうぞ。
サムネみて、ACTの授業の続きを忘れていたことに気づきました
今までは「大人の発達障害」の方が有名でしたが、よくもわるくもこのニュースで、学習障害なるものがある、とある程度認知されました。
ただ、「学習障害」ときいて「障害と言えるほど、学習しても何もみにつかない残念な人」と思われがちです。実はそうではありません。
正しくは、「学習する過程において、何らかの障害を抱えている人」となります。決して学習自体ができないわけではありません。
たとえば言語性障害の一つ、「ディスレクシア」。これは、読解力に関する障害です。
これは「視力が悪い」わけでも「頭が悪い」わけでもなく、「なぜか書籍の文字があちこちに揺れたりして学習できない」そうです。
彼らは聴覚により、「学習」し「理解する」ことができます。
そして、読解力に障害を抱えた状態で学者になった方もいるそうです。
繰り返しになりますが、決して「人より著しく学習できない人」ではありません。むしろ、「他の人にはない、一芸に秀でている」ことの方が多いです。
RPG風に言えば「HPとバイタルサクって代わりにMPとINTにステ極振り」したようなものです。
学習障害の能力は生かされるのか
残念ながら、学習障害を詳細に知っている管理監督者は現状ほとんどいません。
先ほどの例でいえば、MP極振りの人は明らかに戦士などの前衛職に向いていません。が、会社はそういう方にも「戦士として剣をとって戦え」と要求してきます。そして、適正がない前衛職を押し付けられ、「お前タンクとして役に立たねーな」となり、それが原因でうつ病などの精神疾患になり、最終的に会社を去ることが多いのです……。
日本はメンタルヘルス後進国
どうも経営者や管理監督者は、未だに昭和時代で考え方が止まっているようです。少なくとも、学習障害に配慮できる管理監督者はほとんどいないでしょう。
ごくまれに「キミは戦士より魔法使いに適正があるね。魔法を使って会社に貢献してくれるかい?」という人もいるにはいるのですが、社会全体から見ればごく少数です。
学習障害にしろ発達障害にしろHSPにしろ、「頭の使い道」次第であり、場を整えてあげれば、他の人以上のパフォーマンスを発揮できることが多いです。しかし、自主的に学んでいない限り、学習障害に配慮できる上司はほぼいません。「この子は学習障害」という認識すらないまま、「お前は使えない」としてポイ捨てされます。
学習障害はどう生きればよいのか
HSPに関しては「繊細さん」という書籍でだいぶ認知が広がりましたが、今のところ「学習苦手くん」みたいな書籍はありません。
したがって、学習障害であることを自ら開示する必要があります。もし、障害者という理由だけで解雇したら、その会社は法律違反で即アウトです。
で、じゃあどうするのかというと、「何ができない、苦手」「何ができる、得意」かを、上司と十分にすり合わせる必要があります。応じてくれなかったらさっさと辞めた方が精神的によろしいです。
ただ、学習障害を転職先として受け入れてくれる会社が少ないのも事実です……。
本日の授業はここまで。
非常に歯切れが悪い終わり方になってしまいましたが、精神障害者の雇用に関しては、現状「万人がこれでいける」方法がありません。3種類ある障害(知的、身体、精神)のうち、最も定着率が低いのが精神障害者です。
また、学習障害自体、発達障害やうつ病などを併発するケースも多く、結局のところ現時点ではケースバイケースにならざるを得ないのが実情です。