コナン映画「黒鉄の魚影」感想~それぞれの動機~
映画を観に行くときは、徒歩かバスに乗ると決まっている。今日は雨が降っていたのでバスにした。二日酔いのせいで寝起きが悪く、バス酔いもした。去年の夏以来だという映画館に着いたとき、私はもう映画を見る気分ではなかった。
それから十分もしないうちに映画は始まった。
鑑賞後、バス酔いなどなかったかのように清々しい気持ちで、私はスマホのメモ帳に文字を打ち込んだ。
『今年のコナン映画、最高すぎる』と。
長い前置きですみません。このブログは4月14日に公開された映画【名探偵コナン黒鉄の魚影】についての雑な感想ブログです。
ここからはネタバレを含みますので、ご注意ください。
何度も書いているとおり、映画はとても面白かったです。
一体なにが? と聞かれればそれはそれぞれの行動に対する【動機】が伝わってきたから、と答えるでしょう。
①バーボンとキール
今回の映画に限らず、この二人はそれぞれが自身の組織に所属しながら潜入として黒の組織に在籍しています。その立ち位置の特殊さはこれまでの行動からも分かるとおり、組織の信用を得るために人を傷つけなければいけなくとも、助けようともしなければなりません。
潜入のためやむおえず手にかける時もあるでしょう。しかし、たとえばこのふたりが命令だからと殺害司令をただ粛々とこなしていたらどうでしょうか。それは潜入してまで組織の壊滅に動く彼らの道理にあいません。そのため彼らは命令が下っても常に、黒の組織とそれに対立する自身の所属機関、両方の行動を取らなければなりません。
今までのコナンでも、バーボンやキールはそれを両立して動いてはいましたがあまりその動向をメインに描かれてはいませんでした。バーボンはアクションシーンが際立つので私はたまに彼について潜入という言葉を忘れてしまうときもあります。キールについてはずっと疑われながらも情報を流してはいるものの、あまり目立つような行動では描かれませんでした。
そこで今回の映画です。
ふたりはバーボン、キールとして黒の組織の命令を忠実にこなしますが、灰原が拐われてからは安室、水無としての行動を取ります。
安室に関しては、灰原がコナンの知り合いとわかった上で、コナンという協力者のために情報を自ら伝えます。
水無も解けるロープの縛り、探偵バッチについては逃げるように仕向けるためでしょう。
潜入捜査官としての動きがそれぞれ明瞭に描かれていた部分は、今回の映画でいちばん期待していたところでもあったので、満足しました。
②直美と灰原と水無
肉親を組織に殺されるという境遇で彼女たちは繋がってしまいます。直美の父親の場面での、灰原と水無の表情とそれに関するあらゆる動きはかなり苦しいです。でもだからこそ、灰原と水無は互いにできることをします。水無の行動は本当にファインプレーですのでぜひご鑑賞ください。
そしてここも本作に通じる助けたいという《動機》を強く感じられる場面でもあります。
予告にもある灰原の「私を信じて」という言葉は、少年探偵団、そしてコナンと過ごしてきたいまの灰原だから口にすることができる言葉だと思うとかなり感慨深いものがありました。
私のなかで特筆すべき動機は以上のふたつですが、助けたいを理由に動くといえば本作ではコナンサイドはほとんど全員がそうだとも言えます。コナンはもちろんそうですし、意外だったのは博士、あと蘭は凄かったです。
蘭のアクションシーンは笑ってしまうほどでした。というか蘭に対する黒の組織側の動きが活発すぎて、ここが一番手に汗握るのでは、とも思います。
ちなみに本作に登場するピンガという黒の組織のメンバーも、とある動機から動き回ります。その動機含めて、私はキャラとしてピンガが嫌いではありません。
忘れていました。動機で外せない人物がいます。
③ベルモット
ベルモットといえばコナンと蘭の味方であり、灰原だけは消したい大女優ですが、すでに観た方はあの結末をどうお考えでしょうか。
彼女が老若男女認証システムに対して黒の組織にとった行動は、一体なにを動機としているのでしょう。
・あのお方のため
・自身のため
・コナンのため
・灰原のため
どれが動機であっても可笑しくないものとして本作は作られています。終わり方も含めてこれはミステリーといっていいのではないでしょうか。
大満足の中で唯一気がかりなのがジョディ捜査官についてです。冒頭、直美の父親、そしてエンドロールでの墓参りの場面からして、今回は赤井ではなく彼女が黒の組織に対抗する場面があると、灰原や水無との共通点も合わせて魅力が増したようにも感じました。最近のアニメエンディング映像を気に入っていたのでそう思うだけかもしれませんが…。
ただ赤井がいたからこそ、バーボン呼び後の風見からの降谷さん呼びに間を置いて返答する好みな時間の扱い方が見れたので、文句は一切ございません。
あとこれだけは言いたいですが、ジンってやっぱり怖いですよね。「疑わしきは罰せよ」というモットーが彼にはありますが、それもうジンがネズミではないという確かな証拠の意味さえ理解出来なければ命を奪われますからね。そのくせツッコミどころのある行動をとるので、つっこんでも「お前ネズミだな」と言われたらお終いという、敵にも味方にもしたくないという意味で怖いなと思いました。
ここまでその日のうちに、と感情を書いていますが、正直一番言いたいのは灰原が好きですという感情なので、それだけ覚えてブログを閉じて頂ければ幸いです。
元々立ち位置的に灰原とキールが好きだったので本作がドンピシャなのもあります。
でもまさかね、灰原でそんなちゃんとね、行動はともかくもう灰原自身そう思っちゃたらね、しかも最後はちゃんとする余裕か区切りがってところがね、と初めて恋愛漫画を読んだ時のような気色の悪い自分に久々に遭遇した映画でもありました。
おそらくもう今後灰原にああいった意味合いを含ませた演出をつけての内容は描かれないのだろうという意味合いも込めて、そして最終章前章のようであることも含め、自分にとっては記念作品になりました。
それに、ブログのとおりあらゆる補正がかかっている私としては、今回の映画はコナンが好きなら楽しめる要素は多いのでないかと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!