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エッセイ【15kgダイエットした話】

2021年の今頃、わたしは67kgでした。

小学生からずっと平均より重い体重で過ごしていたのもあり、別段どうしても痩せようと考えてはいなかったです。ただ、痩せられれば嬉しいな、とぼんやり思っていました。

しかしその程度の心意気で努力が継続できるはずもなく、結果として数々のダイエットに挑んでは短期間で諦める、を繰り返していました。

そんなわたしもいまは52kg~50kgのあいだをうろうろとしています。

ここからは、わたしがどう痩せたか、その心当たりをいくつか書いていきます。

あくまでわたしが痩せるまでの行動を列挙するだけなので、推奨する意図はありません。きっとしない方が良い行いの方が多いので、そういったものはさらっと読み流してもらえればと思います。

はじめに私の初期状態を。
平日は1日1食(夜)。休日は2食(昼と夜)。
間食は毎日。飲み物はお茶と炭酸飲料が半々。
運動は通勤の徒歩と散歩(毎日数時間)のみ。
睡眠時間は平日3~4時間。休日8時間ほど。


①唐揚げダイエット

はじまりは2021年4月。職場が変わったこともあり拭えない不安を抱えていたわたしは、食に楽しさを求めていました。諸事情により自宅での調理は一切不可であったため、口にするものは加工品のみ。そのなかで特に好きなのが、近所のお肉屋で売られていた唐揚げでした。その場で揚げたてをもらえるので、間食用と、夜ご飯用を買ううち、飽きるどころか段々と買わずにはいられくなり、気づくと毎日唐揚げをたべていました。そんな時、鶏肉は痩せるというふわっとした知識を思い出し、唐揚げは痩せると思い込むことにしました。

結果として体重だけで言えば僅かに減りました。ただ朝に気分が優れないことが増え、唐揚げの匂いを嗅ぐと逃げたくなったため途中で止めます。

②散歩ダイエット

消費カロリーを摂取カロリーが上回れば痩せる。そういった知識のある方は多いのではないでしょうか。
でも動くたび、食べるたび、それぞれのカロリーがいかほどか逐一計算するのは意外と手間です。わたしはそうでした。だからもっと単純に、食べたくなったら動けばいい、と思うことにします。

この頃の私は散歩が唯一の趣味といってもいいくらいの人間だったので、とりあえず間食をしたくなったら散歩をすることにしました。

結果、太りました。唐揚げの恩恵はどこへやら。誤解して欲しくないのは、散歩やウォーキングをある程度の時間行うことは間違いなく脂肪燃焼に繋がります。
ただ私の場合、趣味として散歩をしていただけに過ぎないので、猫背でだらだらと、動いているという意識ももっていませんでした。おまけに帰宅してから結局間食をするので、ただ間食を遅らせていただけです。もしするならな、食事制限とウォーキングとしての組み合わせであれば効果が期待できるかもしれません。

だらだらと歩くことが好きなわたしは、数年前の数ヶ月間、通勤で片道2時間を歩いていました。帰りもなので、計毎日4時間は歩いていたことになります。それでも痩せるどころか太っていったので、あたりまえですが、ただ闇雲に歩けばいいという訳ではないという事実も書いておきます。

③ランニングダイエット

まったく続きませんでした。

始めたきっかけは、歩くのに効果がないなら走ればいいのでは?という純粋な思いつきでしたが、思いついたときの真っ直ぐな瞳には食事制限などという発想はなく、ただ散歩の代わりに毎日走りました。一週間ほどで足がつって走るのが嫌になったとき、ここで諦めたら絵に描いたような意思の弱さだな、と思い潔く止めました。ここも念の為書いておきますが、適切な量を休み休みするなら、ランニングも脂肪燃焼には効果があります。ダイエット全般に言えることだとは思いますが、短期間で結果を求めるあまり闇雲に行うと続かない、というだけです。

④一日三食ダイエット

朝食をぬくと太る、夜だけ食べると太る。どちらも聞いた覚えがあったため、じゃあ一日三食しっかり食べれば痩せるのでは?と始めました。

結果として痩せませんでした。ただ、太りもしませんでした。
運動もしていません。朝は野菜ジュースや軽食で済ませることが多かったですが、摂取カロリーは確実に増えています。ただ一日三食しっかり摂ることで、間食の量は明らかに減りました。胃に余裕がないので当然といえば当然です。こころなしか睡眠も深くなった気がします。痩せる、に直結はしませんでしたが、健康に結びついたような気がします。

⑤睡眠ダイエット

睡眠が不足していると太る、睡眠をとると痩せる。という知識から始めたダイエットです。

やり方は単純で、ただ日々の睡眠時間を増やすだけ。私の場合は平日の睡眠を2~3時間増やしました。

結果として数キロ痩せたと思います。眠るという時間がもたらしたのは体重の減少だけにあらず、思考がまとまるという利点もありました。
とはいえこのダイエットも短期間でやめてしまいます。理由は単純で、少ない睡眠時間で得られる余暇の過ごし方に慣れていたため、短くなった余暇時間に対応できなかったからです。そもそも平日の睡眠時間が短くなった理由は余暇に割く時間を捻出したいからでした。働き始めてからは、職場にいる時間と帰宅してから睡眠を取るまで起きている時間をなるべく同じだけにしたいという謎の考えがあり、結果として睡眠が不足していたのです。
それでもこのダイエットを機に、今でも平日に何日かは7時間眠るように心がけています。精神、身体、どちらの面においても睡眠は重要です。

★折り返し

このあたりから二年目に突入。時期は2022年春。

前年の行き当たりばったりなダイエットの結果、体重は64kg前後だったと思います。ダイエットとしてはあまり実りのない一年な気もしますが、それでもわたしはひとつ気づきを得ます。

それは、種類を変えれば痩せたいと思い続けられるという気づきでした。それまで結果がでないとどこかでまあ本当はそこまで痩せたい訳じゃないから、と誰でもない自分をストレスから守るため気持ちに嘘をついていたように思います。それが、結果が出なくとも種類を変えることで前向きに痩せたいなと思い続けることが出来たのです。

ここからのダイエットは確実に痩せるため、そしてそんな自分の行動に飽きないようにするため、すべて同時進行でした。

⑥炭酸飲料ダイエット

間食や夕食前、小腹が空いたら、まず炭酸飲料を飲むだけのダイエットです。初めはサイダーやキリンレモンといったジュースからでしたが、段々とゼロカロリーの炭酸飲料に変えていきました。一度はただの炭酸水にしましたが、むしろ味のある甘いものを食べるようになったため、ゼロカロリーで落ち着きました。人工甘味料の問題は避けてはとおれないためオススメは致しませんが、少なくとも夜遅くのドカ食いは、この炭酸飲料でだいぶ抑えられるようになりました。

⑦小分け食べダイエット

この頃は一日三食を止め、通常(平日1・休日2)の食生活に戻っていました。
平日は抑えようがないので、休日のうち一日だけ、二食を小分けにして日中食べ続ければ、血糖値の急激な上昇を抑えられるのでは、との思いから試みは始まります。

結果としてこれが大成功でした。
ダイエットをする人にはあるあるだと思いますが、我慢してそれでも食べてしまったあと、酷い自己嫌悪に陥るんですよね。加えてわたしは食べることは好きでしたが、満腹になると腹立たしい感情になるときもあり困っていました。
小分け食べは直接痩せるのに繋がったというより、こうした精神的な問題をもれなく解消してくれました。ずっと少しづつ食べているので自己嫌悪になる前の我慢はなく、満腹にもならない。これが良かった。食べるものも、小分けにして食べやすいものを選んで購入するようになり、この頃から菓子パンやグミを食べるようになりました。一見太りそうですし、わたしも恐れていましたが、総カロリーとしては抑えられていました。
数ヶ月続け、体重が緩やかに落ちていきます。

⑧自重トレーニング

ダイエットといえば運動。
でも習慣となっていれば苦労はないです。わたしは運動は好きですが、それはあくまで自分が動きたいと思った時に限った運動です。仕事で疲れているとき、やりたいことがあるとき、事情はなくともなんとなくやりたくないとき、今まで何度も挑戦してきましたが、理由を見つけてやらないのが常でした。

そこでわたしが行ったのがふたつ

1.とにかく1回トレーニング

これはそのままですね。トレーニングに限りません。やる気のない行いへ前のめりになる手っ取り早い方法として、まず一回やってみるというのがあります。勿論どうしても不調なときは別ですが、だいたいは一回、もう一回と重ねるうちに、それがトレーニング回数であっても暗記する個数であっても視聴する映画の分数であっても読む本の文字数であっても、継続に繋がります。
ただ経験として、毎日一回だけを続けるより毎日十回を週に数回の方が簡単です。

わたしははじめ、まず習慣を目的として腹筋3回腕立て2回を毎日していました。もっと回数を増やして週に二回は休むようにすると、継続がより楽になりました。いまでは種目も回数も増えています。

仰向けで行う腹筋中心のトレーニングが9種目
立ち上がり行う全身トレーニング4種目×4セット
腕と肩に効かせるトレーニング4種目
(一種目につきだいたい20~30回)

これを週に三回ほど、小一時間かけて行っています。これを週六でやっていた時期もありましたが、脇腹と腰が痛くて寝られないという経験をしてから減らしています。正直なところオフがあると次にやる時はいまでも億劫になるので、モチベーション維持としては一度慣れれば続ける方が簡単です。でも長い目で見ると、休息はやはり必要なのだと思います。

2.ながらトレーニング

とりあえず一回、として始めた運動を少しでも継続させるため、わたしはトレーニング時には好きな映画や映像作品を流しています。
トレーニングをしないと視聴することが出来ない、そう自分に縛りをかけることで結果として今に至るまでの運動になったのだと思います。

個人的には小学生の時に見ていたアニメを流すのが一番よく、あの頃太っていた小さい自身を救うために頑張っている意識にもなれます。腿上げは嫌いなあの子の顎を打つ感じで、辛くなってきた腹筋は嫌いなあの子に頭突きをする感じで起き上がりましょう。あの子がいなければ創作しえもらえれば大丈夫です。なにが大丈夫かはよくわかりません。

このふたつを意識したおかげは、トレーニングは今も週に数回で続いています。筋肉がついたかと問われたら曖昧な返事で濁しますが、少なくともウエストの数値だけは減りました。ベルトの穴が手前から二つ目だったのが、今は五つ目です。

⑨音楽ダイエット

これはかなり人を選ぶ方法だと思います。

誰しも印象的な曲のひとつやふたつはあるのではないでしょうか。そのなかから、悲しい気持ち、苦しい気持ちになるものをまずは選びます。あとは簡単で、食事前一度持った箸を机へ置き、その音楽をしっかり聞くだけです。わたしはこれで平日に食べる量が明らかに減りました。頻度としては毎日でも曜日で習慣づけても効果が薄れてしまうので、気分が良いなんの変哲もない日こそ唐突に聞きます。

ただこの曲の選択は各々で注意していただきたく、たとえば自身の思い出に深く結びついたものはやめた方がいいと思われます。辛い経験や過去のトラウマを日々の食事に結びつけるという行為の危険性は高いです。

あくまで自身に関係のない、たとえばドラマや映画の印象的な場面でかかる曲、若しくは曲調によって気分を落ち着け過食を防ぐ、といった程度の認識です。
周りからすれば「なんでそれで痩せれるん(笑)」と言われそうな、曲自体で苦しくなりつつも人に問われて明るく返答できるくらいのものが良いのかな、と。

というのも、これはダイエットに限らずあらゆる健康面に関する話として、ストレスはとにかく不調の基です。精神的な負荷を与えて痩せてもあとが辛いのは間違いないです。どっちにしろ努力して痩せるなら、健康に痩せた方が絶対に良いですから。

⑩鍋ダイエット

諸事情で2022年の秋頃に引越しをしてから自炊が解禁されたので、はじめは料理を作りまくっていました。この頃になると見た目に少しづつ変化が現れていたことから、食に対して躊躇がなくなっていました。好き放題に食べたいものを食べる。良かったのは、食べたいものが油もの以外になっていたことです。それまでは一日一食の夜ご飯を外で買おうとすると、お腹が空いていることからついついガッツリしたものに手が伸びていました。しかし自炊では、食べたい食材に好きな味付けを施せるという利点により、油を使ったガッリリではなくとも食材の豊富さで満足感を得られるようになっていました。

油か糖質を極端に控えるダイエットが流行していますが、特に意識することもなくこのふたつを日によって行っていたような感じです。実際は正しく片方に寄せないと太るという話もあるそうですが、私の身体には特に変動はありませんでした。

冬頃には体重は57kgと痩せてきており、見た目にも少しづつ変化が表れていました。この時期に繁忙期が重なり、たまたま作ってばかりいた鍋のおかげでダイエットが成功します。

鍋に使う食材はだいたい決まっていて、もやしキノコ白菜じゃがいもお豆腐の組み合わせを基本とした鍋に、その日安い食材を入れるだけです。
鯖缶や豚肉、鶏肉はむねでももも肉でも関係ありません。皮は脂が多いから捨てるという人も多いですが、この脂が鍋を美味しくしてくれるのを実感してから入れています。ダイエットも大事ですが、美味しいと思う味を食べたいものです。

冬は毎日この鍋を食べました。量は相当なもので、計一キロはあると思います。休日は朝から鍋と別に、豚肉だけの炒め物を600g、ケーキ屋のスイーツや焼き菓子も食べていました。

忘れていましたが、間食は結局一度も止めなかったです。

ポテトチップス好きにはわかると思いますが、150g前後の大パックを平日で2~3袋休日には1日1袋食べています。これはダイエットには明らかに逆効果なので全くオススメではないですが、そんなことそをしていても痩せたのは、上記の⑥~⑩のお陰だと思っています。

【最後に】

痩せる手段はいくつもありますが、なぜ痩せたいかを明確にするといずれも持続するかもしれません。

また、仮になにかひとつ行ったダイエットで結果が得られなかったとしても選択肢が減ったと思えば気が楽ですし、効果がないと判断するのは他の手段と併用したずっとあとでも遅くはないのだと思います。

わたしは一体なにを原因として痩せたのかは分かりませんが、どれも効果的だったんだろうなあと楽観視しています。

このブログはダイエットを頑張る方々に向けてのわずかな希望になればいいな、という気持ちから書かれていますが、すべての行動を推奨する意図はありません。自身にあったやり方で、健康的な精神と身体を大切にすることがなにより大切です。

そう言いたくなるのは今月半ば、体重に囚われるあまり断食を決行してえらい目にあったからです。
痩せるに求めるのは体重が減少するだけでなく、外見に変化をもたらしたい、健康的になりたい、という想いの人が多いと思います。体重という数値はわかりやすいですが、大幅に減少することだけに囚われないという認識は、どの面においても大事なのだと思います。

小学生の頃、わたしの太りを嘲笑った同級生と先日会いました。決して嫌味ったらしくない彼を、わたしはまったく嫌いではありませんでした。気づきませんでしたが、彼はあの頃より多くの脂肪を身にまとっていたらしく、旧友にいじられていました。おどけ、周りを明るく照らしており、寂しさが募りました。あの頃自身に手にできなかった片鱗、目にしてもそれは必要ないような、そもそもが間違っていたような、わたしは自ら、わたしに囚われていました。わずかに身体が薄くなった身体。その寂しさを、嫌いになれないのは、嫌いだな、と思いました。遡ると、痩せた心当たりには、もしかしたら痩せる前の時間すべてが含まれるのかもしれません。

最後にここまでお読みいただき、ありがとうございました!