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「本の背骨が最後に残る」を読んだ話。

ここ何年かで読んだ本の感想を、短いのも長いのも、のんびりひとつずつ記事にしていこうと思います。

御縁あってお寄りくださった方、
ぜひお付き合いくださいませー。

今回の感想本は

斜線堂有紀さん
「本の背骨が最後に残る」
です。

読んだのは昨年末ぐらい、図書館のお勧めコーナーで見つけて読んでみました。

読んだそのときに感じた、そのまんまの感想をお届けです。

「本の背骨が最後に残る」を読んだ話。

美と奇怪は表裏一体




初めて読む作家さんだなあ

のほほんと何気なく手に取って読み始めたら、

1行目2行目だけで
「なんかやばい世界に入り込んでしまったな…」と早くもわかるぐらいの強烈な話が詰め込まれた短編集。

最初の方はゴシック感たっぷりのファンタジーを読んでるような雰囲気だったのに、
急に話の方向が「あれ?……

えっこれミステリじゃん!?!?」

となったので驚きました。

装丁と帯の説明では全くミステリだとは思っていなかったので、個人的にはなかなかの衝撃でした。

(あとで作家さんの経歴を見たら、めちゃくちゃミステリ界出の作家さんだった。
「ええ、ええ、そうでしょうね!」と納得。笑)


衝撃の1話目「本の背骨が最後に残る」を読み終わったあと、
「なん…? なんだこれぇ……」となり、

というか帯にある“ビブリオマニア”って何ぞ、
と後からながら思って検索したら
「蔵書狂」「書籍狂」とあって、
「なるほどね〜〜!!!???」となりました。(困惑)

1話目を読んだだけでも、本に対する偏愛というか偏狂みたいなものが垣間見える。
これが、偏執…!



読み進めていけばいくほど
一見すると荒唐無稽になってしまいそうな設定たちがきちんと違和感なく地続きに落とし込まれていて、凄い読ませ力だなあ…と思うし、
「どっからこういう発想と設定が?」という、
茫然とした不思議な感覚に陥ります。



どのお話にも必ず「物理的痛み」が描写されているので、読んでいて怖さ・キツさはあるのですが、
けれどなんとなく… 体感的には湿度や粘度はあまり高くなくて、どちらかというとひたすら「渇いた痛み」という感じなので(伝われ)、
グロが苦手な人でも読めると思います。

(グロ系が本っ当に苦手でずっと読んでいるとウッと気分が悪くなる私でも大丈夫だったので)



蔵書への偏愛のみならず
何なら「憎!」みたいなものも感じとれてしまって、どういうこと?と思ったりもするけれど、

ああビブリオマニアだからか……

これがビブリオマニアということか……

という
愛も憎も妄執も正しい狂気も全て集約された
"ビブリオマニア“に 納得するしかないような
そんなお話たちを味わえる一冊でした。



斜線堂有紀さん、
他作品もぜひ読んでみたくなる、随一の世界観の作家さんです。


ここまで読んでくださりありがとうございます。



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