《良辰吉時》(Twisted Strings)
出演:李康生(リー・カンション)、張艾嘉(シルヴィア・チャン)、謝欣穎(ニッキー・シエ)、姚以緹(ヤオ・イーティ)、薛仕凌(サイモン・シュー)、楊祐寧(トニー・ヤン)ほか
監督: 黃熙(ホアン・シー)
プロデューサー:侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
台湾放送:2022年3月 CATCHPLAY+、HBO
尺:50分前後×7話
つい最近まで台湾でやっていたドラマです。侯孝賢(ホウ・シャオシェン)という映画監督の大御所が(多分)初めてドラマをプロデュースし話題になりました。元々映画にする予定もあったとかで、やはり映画っぽい作りだなと思いました。日本で展開するならドラマとして売るよりも、映画にして前後編で展開したほうが良いだろうなと思いました(NETFLIXで展開するならドラマ構成のままでも良いけど)。
あまり日本語での情報がないので簡単に紹介とあらすじをご紹介…
ドラマ概要
太平市という架空の都市を舞台に繰り広げらる1話完結のオムニバス形式のドラマ。各話が月曜、火曜、水曜…と(一応)曜日が進んでいく作りです。同じ役者が別の役で別の話に出ていたりと前提を分かってないと少し混乱するかもしれません(たぶん、それも狙い)。
ストーリーはブラックユーモアな話や奇妙な話などで構成されています(その理由は日曜編=第7話で明らかに…)。どの話もよくできていてこのnoteは長くなりそうだなぁ🥴
各話最後に良きことと忌事が最後に出ます。
各話あらすじ
【第1話=月曜日】
父親が亡くなり葬儀のために集まった男2人女1人の子ら。父親はなくなる前に葬儀の段取りをしていて子供らはその遺志に則って進めていく。しかし、この3人(特に男2人)が頼りないやら、文句言いやらで、葬儀を執り行う唐先生(李康生)も困るやら呆れるやら…。
例えばこの第1話には「宜 出行(出立、旅立つ) 忌 安葬 行喪 (お葬式)」と最後に出ます。
【第2話=火曜日】
ヤクザ(?)の誕生日会に集まった人たち。息子は新参者の女の子を気に入り、絡みまくり、周りの微妙な空気を無視しつつゲームをして女の子とふたりきりで出かけようとするが…(ながら見だったのであらすじがあやふやです💦)
【第3話=水曜日】
小遣い程度の仕事をしながら港近くのボロ屋で暮らす劉長坤(楊祐寧)。病院でピエロのバイトをした帰り、入院中の男の子に付きまとわれる。「かくれんぼうをしよう」と騙して振り切ったと思いきや、男の子が自分の車に隠れていて…。
【第4話=木曜日】
金紙店(神様にお供えする紙のお金などを売っているかお店)を営むしがないおじさん(李康生)。夜市で遊んでぬいぐるみもらって帰ったり、美容室のおばちゃんに洗髪の仕方教えてくれと言ったりふらふら歩き回っている。あるときお店に「爆竹を違法に隠し持っている」という通報を受け、男女の警官が捜査に来て…
【第5話=金曜日】
劇団員の恋人と船で暮らしている子安(姚以緹)。ある日、「財布をなくしたので家に帰るまでの運賃を貸してほしい」(よくある少額詐欺の手口)と言って周りから無視されているおばさんにお金を貸してあげると…。
【第6話=土曜日】
通報を受けてある家にやってきた女刑事。そこには死体を回収する人がおり「なんだ、もう来てたの」なんて話をしながら中に入ると2つ並んだ死体の前に大きなフォークを持って立ち尽くす男が…。「お前がやったのか!」と問い詰めた瞬間、死体回収人に襲われ…。
【第7話=日曜日】
1〜6話まで出ていた月女(シルヴィア・チャン)が過去を振り返る。(ここを詳細書いてしまうとネタバレにつながりそうなので大幅割愛)
感想
第1話、第2話、第4話はブラックユーモアや皮肉をきかせた話で、第3話、第7話はどちらかというと人間ドラマ、第5話、第6話はサスペンスっぽい内容でした。
第2話や第6話が、過去と現在がいったりきたりする作りで、特に第6話の冒頭部分の巻き戻っていく演出が好きだなぁ。第3話では侯孝賢へのオマージュが感じられる演出があり、思わず嬉しくなりした。一番(というか唯一?)ハッピーエンドだったのが第3話。でも冒頭で劉長坤(楊祐寧)が目撃したものがストーリー上なにも語られず、「?」となってもやもやしていたけど、最後までみてようやく解決。
李康生が良い味出していて、やる気のないフニャっとしたおじさん臭を醸し出していて、情けない感じが好きでした。
以下ネタバレあり。
オムニバスかと思いきや月女の人生に関わった人達が物語に登場しており、コンセプトとしては知り合いや一瞬見かけた人、できことなどが夢の中で別の役割や別の出来事として登場する、そういった現象をイメージしたドラマだそうです。そういえば侯孝賢が製作総指揮を担当した映画で私が好きな台湾映画『One Day いつか』も夢の奇妙な世界が出てくるストーリーだったなぁ。侯孝賢がそういうの好きなのかなぁ。
にしても、難解…。自分の中国語力の限界もあるのかもしれないですが、解説や関連記事を読んでようやく理解できた部分もありました。冒頭でも書きましたが、日本で展開するなら映画として上映して、パンフレット作ってほしいと思います。日本上陸はいつだろう…。