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タイ映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』《ฉลาดเกมส์โกง》(英語:Bad Genius)

出演:チュティモン・ジョンジャルーンスックジン、チャーノン・サンティナトーンクン、ティーラドン・スパパンピンヨー、イッサヤー・ホースワンほか
監督:ナタウット・プーンピリヤ
タイ上映:2017年5月
尺:130分

小学生の頃からずっと成績はオールA、さらに中学時代は首席と天才的な頭脳を持つ女子高生リン(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)。裕福とは言えない父子家庭で育った彼女は、その明晰な頭脳を見込まれ、晴れて進学校に特待奨学生として転入を果たす。新しい学校で最初に友人となったグレース(イッサヤー・ホースワン)を、リンはテストの最中に“ある方法”で救った。その噂を聞きつけたグレースの彼氏・パット(ティーラドン・スパパンピンヨー)は、リンに“ビジネス”をもちかけるのだった。
それは、より高度な方法でカンニングを行い、答えと引き換えに代金をもらう――というもの。“リン先生”の元には、瞬く間に学生たちが殺到した。リンが編み出したのは、“ピアノ・レッスン”方式。指の動きを暗号化して多くの生徒を高得点に導いたリンは、クラスメートから賞賛され、報酬も貯まっていく。しかし、奨学金を得て大学進学を目指す生真面目な苦学生・バンク(チャーノン・サンティナトーンクン)はそれをよく思わず…。そして、ビジネスの集大成として、アメリカの大学に留学するため世界各国で行われる大学統一入試<STIC>を舞台に、最後の、最大のトリックを仕掛けようとするリンたちは、バンクを仲間に引き入れようとするが…。

画像・あらすじ:日本公式HP

たかがカンニングされどカンニング

最近「RRR」にドはまりしていますが今日は別の映画をご紹介。観たら人に勧めたくなりのは「RRR」と同じ(笑)
本作の見所は、たかがカンニングなのにMission Impossibleのようなハラハラ・ドキドキ感!もうたまりません。スパイ映画を見るように手に汗握る死闘が繰り広げられるのです。そしてそれは一大プロジェクトになっていく…。
本作はとにかく没入感がすごい。それは主人公のリンが頭脳明晰とはいえ一般的な思春期の子が持ち合わせている常識(と葛藤)を持っており、それが観る人に共感を抱かせているからだと思います。名門校に奨学生として入ったリンは勉強だけが取り柄であまり感情を表に出さないのに対し、グレースは無邪気でニコニコ。いわゆる陰キャと陽キャの出会いですね。リンは淡々としているけれどもグレースという自分と正反対の友達が出来たことが嬉しかったんじゃないかな~。グレースは無邪気過ぎて良いことと悪いことの区別がついていない。そこに悪意が感じられないからこそある意味怖い。

リンとバンクの対比

ちょっと友達を助けるつもりが自分も予想だにしなかったカンニングプロジェクトに発展。その渦中に飲み込まれてしまうリンは、決して器用とは言えないまじめな父親の元で育っているためか良心の葛藤が垣間見えます。良心の葛藤に悩みつつも計画実行する胆力はすごいですね。
一方、カンニングに気づき告発するバンク。しかし彼もカンニングプロジェクトに呑み込まれていきます。リンと同じく奨学生で、裕福ではない家庭背景が描かれています。グレースたちと付き合いながらも置かれている環境の違いに居心地の悪さを感じていたであろうリンは自然とバンクと同士のよう(ちょっと恋愛感情もありそう)な関係に。しかし、似ているようで実は似ていない境遇で、それが結末として繋がっていきます。リンは裕福ではないながらも父親が教師で、リンを養えているというところが二人の決定的な違いに繋がったのでしょう。

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