タイ映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』《ฉลาดเกมส์โกง》(英語:Bad Genius)
出演:チュティモン・ジョンジャルーンスックジン、チャーノン・サンティナトーンクン、ティーラドン・スパパンピンヨー、イッサヤー・ホースワンほか
監督:ナタウット・プーンピリヤ
タイ上映:2017年5月
尺:130分
たかがカンニングされどカンニング
最近「RRR」にドはまりしていますが今日は別の映画をご紹介。観たら人に勧めたくなりのは「RRR」と同じ(笑)
本作の見所は、たかがカンニングなのにMission Impossibleのようなハラハラ・ドキドキ感!もうたまりません。スパイ映画を見るように手に汗握る死闘が繰り広げられるのです。そしてそれは一大プロジェクトになっていく…。
本作はとにかく没入感がすごい。それは主人公のリンが頭脳明晰とはいえ一般的な思春期の子が持ち合わせている常識(と葛藤)を持っており、それが観る人に共感を抱かせているからだと思います。名門校に奨学生として入ったリンは勉強だけが取り柄であまり感情を表に出さないのに対し、グレースは無邪気でニコニコ。いわゆる陰キャと陽キャの出会いですね。リンは淡々としているけれどもグレースという自分と正反対の友達が出来たことが嬉しかったんじゃないかな~。グレースは無邪気過ぎて良いことと悪いことの区別がついていない。そこに悪意が感じられないからこそある意味怖い。
リンとバンクの対比
ちょっと友達を助けるつもりが自分も予想だにしなかったカンニングプロジェクトに発展。その渦中に飲み込まれてしまうリンは、決して器用とは言えないまじめな父親の元で育っているためか良心の葛藤が垣間見えます。良心の葛藤に悩みつつも計画実行する胆力はすごいですね。
一方、カンニングに気づき告発するバンク。しかし彼もカンニングプロジェクトに呑み込まれていきます。リンと同じく奨学生で、裕福ではない家庭背景が描かれています。グレースたちと付き合いながらも置かれている環境の違いに居心地の悪さを感じていたであろうリンは自然とバンクと同士のよう(ちょっと恋愛感情もありそう)な関係に。しかし、似ているようで実は似ていない境遇で、それが結末として繋がっていきます。リンは裕福ではないながらも父親が教師で、リンを養えているというところが二人の決定的な違いに繋がったのでしょう。