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産直とは、生きる民俗博物館
出張中に10分でもスキがあれば産直に寄る。中山間地域の主要な道路を南北に40キロくらい走って3つほどのまちを車で走っていると、4つ5つの産直に寄れるチャンスがある。
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もっと人の少ない地区かで置いているものが変わる。
産直を観察すれば集落ごとの営みが見えてくる
野菜の種類が多いとこ、乾物の強いとこ、漬物がいいとこ、調味料がそろうとこ、加工品の多いとこ、地元畜産の品がでるとこ、手作りおやつの多いとこ、おいしい餅があるとこ、それぞれに「コレコレ!」ってやつがあるから1箇所で済ませらせない。それぞれの産直を観察すれば集落ごとの営みが見えてくる。きのこの多い産直の近隣は傾斜がきつい湿度高めの山地だろうし、ある程度の加工場を要する品や気の利いたパッケージングがされた品が多ければ市街地に近い。塩蔵の魚介が並んでいれば海が遠い地域なのだろう。
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積み上がっていく。そして、ときどきつまみ食い。
産直には出張の合間に自分のもの買いに行ってるだけなふりをして、それを繰り返すことで点在する産直それぞれの特徴とどの季節に何があるか、この地域ならではの買いはコレだね!をインプットし続けている。
そして、うちが各地に落とし込む旅行商材のルート案にはいつも産直を入れ込む。私がアテンドする撮影クルーの行程や、プレスツアー、ガイドさんたちの実地ツアー、専門家の視察ツアーにも入れる。お買い物を楽しんで欲しいということ以上に彼らにとっても良質な情報源であり、インプットの時間になるからだ。
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季節ごとのご馳走だ。
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調理法を知らなくても居合わせたお客さんやお店の人が教えてくれるのも産直の魅力。
産直って本当に学びが集約された場。その土地の地形や気候がわかるうえ、調味料や加工品の棚には、その土地の食の知恵の宝が集結している。手作りおやつやお惣菜のコーナーは集落単位でのクセが出ていて棚のポジショニングや品数から「どうやらこのおばあちゃんがこの地区の匠だな」という人の存在を知ることもできる。
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地域のリアルな暮らしをのぞくことができる
個人の農家のばあちゃんの品だけじゃない。地元メーカーさんからの仕入れを見れば、あぁこれが地元の人が使い続けてるやつなんだなとわかるし、お土産屋さんではよそ行きパッケージ纏ってたメーカーさんが地元の人向けに出している日々使いの地元食材にも会える。それが、産直がスーパーともお土産屋とも違うところだ。ここでは私の財布の紐など抜けて失くなる。ここで使わずにしてどこでお金を使うというのだろう。リミットがあるとすれば、自分で家まで持って帰れるかどうかの量の問題である。
立ち寄りの時間が十分にある時はみなさんじっくり観察して選ぶし、短くなると「とりあえずどれ買うべきか教えて!」と言われる。その時には、待ってましたとばかりに躍り出て、マイベストオブベスト産直の品リストをお伝えする。
地域文化探究で旅をする人にとって、産直は生きる民俗博物館。あなどるなかれ。
たらくさ文化旅行舎がつくる旅の紹介はたらくさ文化旅行舎のnoteから