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【ドラマ】「彼女たちの時代」20世紀の終わりに思うこと

1999年のドラマをFODで視聴。22年前のドラマかあ、と改めて。

何度か見ているのですが、今回見たのは7~8年ぶりでした。最初に見たのは高校生の時、2度目に見たのは25歳くらいの時。そして30超えてからの今回。どんなに好きなドラマでも見返すと毎回発見があり、忘れていることも多いので楽しい。

今回見るまでの『彼女たちの時代』の印象

・なんといっても、椎名桔平の人間開発室(この名称も忘れてた!)小部屋に入れられ、自ら会社辞めます待ち…
・えぐい営業の記憶…
ゴスペルが楽そう
渋谷のブックファーストから叫ぶ
・中山忍と椎名桔平の不倫
・椎名桔平妻の優雅な、らでぃっしゅぼーや(笑)

そう、こんな感じの記憶だった。

深っちゃん扮する深美が何を抱えてて、どんな男と付き合ってるかなど、全く忘れていた。ただただ、椎名桔平関連のことばかり(笑)椎名桔平がとにかく辛い。仕事が辛い。

それくらい衝撃だったんだよな…人間開発室。

フジテレビ公式に

「私は何でこんなことをしているんだろう」「俺はこんなことがやりたかったんだろうか」と、誰もが心の中に言いようのない閉塞感を抱えながら、自分の存在理由が揺らいでいる時代に、男女達が仕事に恋に人生に悩む等身大の青春連続ドラマ。

青春であること、だけではなく、この閉塞感を語るには1999年のドラマである必要があったんじゃないかと思う。

1999年という時代

1999年。リストラ、という言葉が流行り出した時期。バブル後の不況をさす「失われた10年」の終わり。

小学生だった私も記憶がある時代。

親に勧められて読んでいた小学生新聞に、「お父さんがリストラされた」という内容の小説が連載されていた。今になると、それをメインテーマに小説にしちゃうんだ、という感じがするのですが、当時は驚いた記憶がある。だって、父親といえば職場に行く人で。父親がリストラされて、代わりに母親が久しぶりに働きます、という物語は衝撃だったのだ。

私の大好きな(今でも)モーニング娘。の「LOVEマシーン」大ヒットもこの年。忘れもしない1999年9月のこのシングルは、ゴマキ加入の後押しもあり、みーんな歌ってた。その歌詞に注目すると。

日本の未来は〜世界が羨む〜恋をしようじゃないか〜
みんなも社長さんも〜
どんなに不景気だって恋はインフレーション 

恋愛のことを歌いながら、社会の閉塞感を歌っている。不況でも幸せ見つけようぜ!って歌っている。あの時代じゃなきゃ、あの時代だからこそミリオンヒット。(つんくさんのそんなスケール感が大好きです)

話は逸れましたが、そんな1999年のドラマ『彼女たちの時代』。たかが20数年前、だけどやっぱり価値観が今と全然違うと感じました。

価値観は変わった。辛いなら辞めればいい。

 椎名桔平の役は、エリート街道を歩いてきて、優秀で真面目、だけど出向させられて苦しむ日々を描いているのですが。結果的に営業の楽しさ、やりがいを多少は感じられるようになるのでオーライなのですが、はっきり言って、嫌なら転職すればいいと思った。人間開発室に入れられて、壁を見つめてないで、今すぐその部屋を出て。「何この部屋!」って文句を言って。納得できなければ会社を辞めて。と思ってしまった。

だってその会社だけが、会社じゃないし、社会でもない。

営業電話かけるのに、お前は取れてないから座るな、立ってやれと1人だけ立たされている。足も痛いが心も痛い。そんなところは辞めてしまえばいい、と今の価値観なら思える。でも、1999年当時は無理なんだ。小中高大、就職。綺麗な専業主婦の奥さん。世間体。いろんなことを考えると、〇〇会社の誰々さん、であることが終わったら、もう積み上げてきたものも、今、手にしているものも崩れ落ちてしまう。そんな時代だったんじゃないかと、いや、そんな時代から先へ進もうとしていた時代だったんじゃないかと思った。

アラサー女子の悩み、サラリーマンのおっさんの悩み

 深津絵里扮する主人公の深美の仕事もそう。26歳なのにお局、長居扱いされる深美。1話で、いわゆるお局のアラサー先輩が、結婚してくれない年下の彼氏を刺しちゃう。それを見て人生考えちゃう。

 水野美紀扮する千津は、彼氏が働かない、フラフラしてることで悩む。でも彼には強く言えない。だからゴスペルで憂さ晴らし。

 中山忍扮する次子は、男に負けたくない。女でも活躍してみたい、女だからバカにされたくない。

たった20年なのに、随分と世の中が変わったなと感じる。一方で、アラサー女の悩みは大きくは変わってないのかも知れないと思う。

自分は何者なんだろうか。
これからどういう人生を送るんだろうか。
彼氏がいれば価値があるのだろうか。
結婚がしたいんだろうか。
仕事ではどのくらい必要とされてるんだろうか。

そのあたりをぐるぐるし、思い悩む……けど、渋谷ブックファーストの屋上で友達と一緒に大きな声で叫んじゃえば、一時的にはスッキリする程度。だから、ラーメン屋で出会ったサラリーマンのおっさんに「お前らの悩みなんて……」と怒鳴られる。そりゃあそうかも。サラリーマンのおっさんの悩みはもっともっと、根深いし、背負っているものの大きさが違う。20代の女の子の悩みなんて気軽じゃないか!とキレたくなるのもわかるし、深美たちがそれなりに本気で悩んでるのもわかる。でも数年後結婚したら、あの時、彼氏や仕事のことで悩んでいたのなんて忘れてしまう……おっさんは分かってる。

出てくる登場人物の一人ひとりが前を向きながら、時に苦しんでいる。生きるのって、楽しいけど切ないなあ。大変だなあ、と思える作品。

そして主題歌のバックストリートボーイズの懐かしさに胸熱!崖の上でのop、Happy tomorrowもめちゃくちゃ良いよね!

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