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写真で振り返るイベントレポート Minimalファンミーティング vol.2 その②
この記事について
2019年9月7日(土)19:00から渋谷TOCビル第1ビルで開催された Minimalのファンミーティング「¡Hola! Nicaragua! Vol.2」に参加させて頂きました。
今回の記事では「チョコレートのテイスティング」「ニカラグア農家へのフィードバック」を中心にお送りします。全3回の記事予定です。
レポートその①はこちら。
チョコレートのテイスティング
ニカラグアの現地の様子を聞き終わったところで、テイスティングのワークショップが始りました。
今回テイスティングをするのは3種類。5月の訪問でニカラグアから持ち帰ったカカオ豆から作った、サンプルチョコレートで品質評価をします。
ただの食べ比べではなく、Minimalがニカラグアの農家の方と一緒に食べながら行った評価の仕方や、品質をあげるためのポイントの追体験をさせて頂きました。
3種類のうち、「Daria」「Pancasan」はニカラグア現地のカカオ豆から作ったもの。残りの「Arhuaco」はMinimalで販売しているものです。
品質評価のシートを手に取ります。
基本情報として、原産国、地域、カカオ濃度が記載されています。
◯ 色あい(淡〜濃)
◯ 香り 果実香、スパイス香、植物香、乳香、焙煎香、醸造香
◯ 味わい 甘み、苦味、酸味(弱〜強)
◯ 総合評価(A:ぜひ買いたい、B:買ってもいい、C:買うかどうか考える、D:買うのは難しい)
で評価をします。NOTE欄には、食べた時にどのように感じたか、どのような香りを感じたかなど、具体的に自分の感想を残します。
自分の衣服に鼻に当てると、嗅覚がリセットされるコツも教えてもらいました。
総合評価でこの豆を買うかを決めます。カカオ豆をチョコレートにしてやっと、その豆の評価ができるということを知りました。
参加者50名でのテイスティングで多いに盛り上がりました。
自分の結果は以下です。NOTE欄が上手く書けなかったのが悔やまれます。
① 原産国 : Nicaragua / 地域 : Daliaのテイスティング
個人的にはミルクっぽさを感じました。味は少し単一的な印象です。総合評価はBとしてみました。初回のテイスティングということもあり、会場での評価も別れました。人よって感想が異なるのも面白いですね。
総合評価Dの方 : カカオっぽさを感じなかった。ミルクが苦手で、ミルク感を後味に感じた。
総合評価Aの方 : 食べた感じが果実のような風味を感じ、動画で観たニカラグアの風景を感じた。
ただし、山下さんのこの豆の評価はC。その意味は後ほどわかります。
残りの2つは同時にテイスティングをしました。テイスティング時に飲む水は常温が良いそうです。冷えていると口の中でチョコレートの脂が固まってしまうとのこと。
② 原産国 : Nicaragua / 地域 : Pancasanテイスティング
先程のものよりも果実感や醸造感があるように感じました。ミルク感もなく、個人的にはこちらが好みでした。
会場の様々な感想
果実味 : ナシ、青リンゴなど
スパイス : アニス、バニラなど
焙煎香 : スモーキー感など
醸造香 : 日本酒のような甘みなど
NOTE : アロエヨーグルト、リンゴをキャラメリーゼ、ココナッツとダークチェリーなど
山下さんが仰られていたのは
「シトリック系の果実、ミルク感、ヨーグルトなどを感じるかもしれない。またキャラメルやローストナッツ、醗酵感が奈良漬のような香りも感じるかもしれない。」
「ただし、味の個性やボリュームが少ない。カカオの脂の酸化を感じた。カカオ豆の保管や、発酵、仕方に問題があるはず。改善できれば良さを引き出せる。総合評価は現時点のもので、これを10年、20年かけて変えていく。苦味と渋みで味の骨格を強くするために、醗酵を短くする。重厚感を引き出し個性を出す。」
つまり、Minimalは、現状の評価を正確に伝え、長期的にニカラグアの農家の方と付き合っていくために、どのプロセスに問題があるかを味で判断して改善ポイントを見つけられている。すごい。
そのため、5月に豆を持ち帰り、7月にチョコレートを持っていって、フィードバックをされたと仰られていました。一緒に食べて理解してもらう、このプロセスが重要だと仰っていました。
農家の方は実際に、自分達のカカオがどのような味になるか、知らないのだそうです。
③ 原産国 : Colombia / 地域 : Arhuacoテイスティング
こちらはMinimalで実際に出されているチョコレートです。一口食べると口の中に、いくつもの味、香りが広がりました。解像度の高さや、調和を感じました。会場からも感嘆の声が。
山下さん曰く「果実のソテーのような味を体験してもらえたと思う。品種が良いカカオは脂に甘みがある。自分の好みは置いておいて、このカカオ豆にはこういう個性があるから、こう焼こうと考え提供している。」
「テイスティングは訓練。食べた量が質の評価に繋がる。僕達は評価の真ん中のチョコレートを味覚の中に持っている。なので評価をするときも、そこを基準に考える。」
「会場のみなさんは仕事じゃないから、好きなチョコレートを真ん中に置いて、食べていくと楽しいと思う。コーヒーやワインなどの素材系の嗜好品が面白いのは、このような素材の魅力があるから。」
7月の訪問では、Minimalのチョコレートも一緒に農家の方に食べてもらい、Minimalが目指しているカカオ豆の品質と、その品質であれば市場より高く購入することを伝えに行ったそうです。
テイスティングを通して、味・香りなどの評価の仕方や、カカオ豆の魅力がわかり、とても有意義な時間になりました。
この後は、会場で現地でのフィードバックの様子を動画で観ます。
ニカラグア農家へのフィードバック
フェアトレードという考え方で、農家の方達に接することをMinimalでは実施されています。
貿易における先進国と途上国の公平さを図り立場の弱い途上国の生産者・労働者により良い取引状況を提供し、彼らの権利を強化することで持続可能な開発が実現できるように貢献する。また、従来の国際貿易の規則と実態を変化させるために働きかける。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/公正取引
カカオ豆の価格は世界でおおよそ決まってしまっているようで、利益を出すには農地を拡大して「大量生産」に進むか、品質を上げて「高く売る」になるようです。
Minimalはフェアトレードを重視して、品質があがれば市場より高く購入することをポリシーに農家の方達とのコミュニケーションを進められています。
農家へのフィードバックの様子。右は山下さん。
フィードバックをしにくるメーカーや、卸し業者は無いそうで、農家の方も驚かれたようです。こうやって信頼関係を築かれていっているのだと感じました。
香りなどを知ってもらうためにMinimalのチョコレートを実際に食べてもらいます。
参加者がテイスティングをしたように、農家の方も自分達のカカオ豆からつくられたものと、品質の良いカカオ豆からつくられたものを、食べ比べてもらいます。
「伝えたことは5年経てば世界に通じる、改善はできる。」と山下さんがお話されていました。
2つめの農家の方達です。
農家の方からの質問に、山下さんは
「醗酵と乾燥の条件で変わる。またカカオの木はこの地域に埋まっているものを大事にしたほうが良い。大量生産のために植林をすると、どこの国でも同じ味になってしまう。ここで育ったカカオを大事にするのがニカラグアにとって1番大事。」
と言われていたのが印象的でした。
農家の方達も、フィードバックをしてくれたのが初めてで、感謝されたそうです。
いままでは大量に作って安く売っていたけど、年月がかかっても品質上げるので、またフィードバックして欲しい、と農家の方が率直な意見を述べられていました。
最後に記念撮影。
このように、実際にカカオ豆の品質(醗酵や乾燥などのプロセスも含め)を上げると、どのような味になるかを体感してもらう。
それをMinimalが求めていることを、同じ場所で、同じものを食べて、フィードバックを真摯にする姿勢には感銘を受けました。
フェアトレードに会社として取り組まれていることが理解ができました。
日本で100円でチョコレートが買えるには理由があるし、それとは違うものを目指していくために、どのような行動ができるかを学びました。
さて、次は「ニカラグアで感じたこと、産地に行く意味」と、実際にニカラグアからどのようにカカオ豆を運ぶかの「貿易について」のお話を伺います。
一旦、今日はここまでで、次のnoteで最後のレポートです。
お読みいただきありがとうございました。
🍫
追記 2019/9/10
レポートの続きを公開しました。