私はもう「涼み客」にはなれない
避暑地として名高い軽井沢。そのほど近くの街に数年間住んでいたことがある。
軽井沢の駅近くにはアウトレットや美術館などが点在し、少し足を伸ばせば美しい自然や高級別荘地が広がる。
最高気温は真夏でも25度前後で、夜は半袖では肌寒いくらい。猛暑に苦しむ東京人の避暑地としてはもってこいだ。
しかし、そんな軽井沢の冬を知っている人はどのくらいいるだろうか。
耳が痛くなるほど冷たく張り詰めた空気、
雪がうっすらと積もったカラマツの林、
静寂につつまれた別荘地、
雄大にそびえる雪をかぶった浅間山。
決して過ごしやすいとは言えない。でも夏とは違う、静かな街がそこには広がっている。
引っ越してからは一度も軽井沢には行っていない。でも、いつか夏に訪れることがあっても、きっと私は他の人と同じ「涼み客」にはなれないだろう。
「涼む」だけではない、軽井沢の冬の魅力も知ってしまったから。
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