エッセイ #4|「青春を過ごした街。」
先日、久しぶりに神戸の街をゆっくりと散歩をした。
神戸は私が中学生から大学を卒業するまでの10年間、ほぼ毎日通いつめた、いわば「思い出の場所」であり、「青春の街」だ。
「なんか気分が落ち込んでるから、今日、私と一緒にいてくれへん?」
そんな飾らない本音を当たり前のように、気楽に友人に言えた学生時代。
ファーストフード店でご飯を食べて、カラオケに行って、プリクラを撮って、カフェでドリンク一杯だけで、門限の時間までひたすらに友人と喋り続けることができたあの頃。
いくら喋っても、毎日遊んでも足りなくて、ちっとも寝ていなくても全然平気だったあの頃の私たちは、ただ一緒に何でもないことをずっと話していたいという、ごくシンプルな理由で何度もこの街に集合した。
私はきっと何度も、この街に救われていたのだろう。
あの頃から約15年の月日が経ち、自分も含め、もうみんなすっかり大人だ。
家事や子育てに勤しんでいる子、バリバリとキャリアを積んで働いている子、みんながそれぞれの道を進み、日々一生懸命生きている。
そして、キッチリ歳をとってきた。寝ないと身体がもたないけど、長時間寝る体力もない。笑 それだけでなく、あてもなく街をぶらぶらすることも、長時間マシンガントークをすることも、体力的にはちょっと厳しい。笑
難しいことだらけになってしまった私たち。でも、会えばまたあの頃のようにすぐに「ちょっと、聞いて〜!」と言い合えることが嬉しい。
いつか、おばあちゃんになった私たちが、二の腕をたるませながらお互いに手を振り合う光景を想像してみた。
それもなかなかいいもんだ。
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