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【投手】下半身のエネルギーをボールにフルに伝達する「肩の垂直ライン」解説編②

前回は、肩の垂直ラインの概要をお伝え致しました。まだ読んでいない方は、是非チェックして下さい。
今回は、肩の垂直ラインと上半身の垂直回転がピッチングにおいて有効なのかをお伝えしていきます。

垂直回転が球速アップに繋がる理由

上半身の垂直回転が球速アップに繋がる理由としては、下半身の力の方向と上半身の力の方向が同じになるからです。
大前提として、ピッチャーはキャッチャーに向けてボールを投げます。当然下半身はキャッチャーに向かって、真っすぐ力を発揮します。そして上半身もキャッチャーに向けて真っすぐ力を発揮したい訳です。

例えば全力で50mダッシュするとしましょう。ただこれには2種類のコースがあります。
①スタートして25m先で90°屈曲してから、25m走るコース
②50mの直線

どちらの方がタイムが速いでしょうか?
お分かりの通り②50mの直線です。

①の場合ピッチャーで例えると、下半身はキャッチャーに真っすぐ力が発揮されているけど、上半身の力は水平回転して横に力が発揮されている状態と言えます。せっかく下半身の力で加速したのに、上半身がそれを減速させてしまうのです。これでは、力の方向が異なり、うまくキャッチャー方向に力が伝わらないのです。
②の場合は、下半身は真っすぐ、そして上半身も真っすぐ効率的に力が伝わり、徐々に加速していきます。下半身で加速し、それを上半身が更に加速をかけて腕や指先、ボールに力が連動する事で球速アップに繋がるのです。

下半身と上半身の力の方向を合わせる

縦に力を加えても…。

これからするお話は、ちょっと難しく感じる方もいらっしゃるかと思いますので、その場合は軽く流して頂いても構いません。

スポーツの指導をしていると良く思う事があるのですが、「実際の動作の見え方と体の内部で意識している事が異なって見える」事が多々あります。
これを「見て盗めない領域」と私は呼んでいます。
見た目を真似する事は誰でも出来ます。チームに一人はいるプロ野球選手のものまねが上手い人。良く特徴を掴んでいて私も良く関心しています。でもいくらものまねが上手くてもその人のような力を発揮する事は基本的には出来ません。これは、体の内部での体の動きの意識の仕方や力の使い方の意識が全く違う為に起きる現象です。
その方がどういう意識で体を動かしているのかは、その人にしか分かりません。またアスリートに良くある事なのですが、自分のイメージをうまく言語化して伝える事が出来ないので間違った意識を伝えてしまうという事も多々起こります。
その為、我々は見える部分、聞いた話などの情報だけで判断するしかないのです。この場合、残念ながらスポーツが上達する事は無いのが現状です。

こと、今回の内容の話でも同じ現象が起こります。肩の垂直回転で縦方向に力を発揮していても、外から投球フォームだけ見ると水平回転で横方向に力を発揮している様に見えてしまうのです。
この場合の考え方としては、結果的に起こる事だから気にしないようにする事が大切です。
縦に力を加えても、最終的には体の構造上、体は横に回るのだと思っていて下さい。

見た目で分からない事も多々ある

まとめ

肩の垂直回転は、下半身と上半身の力の方向を同じする事で、力のロスを無くす為に必要な技術です。見た目と異なる部分になるので、聞いた事も無かったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、このように知識を持った状態で、プロのピッチャーを見てみて下さい。肩が垂直に回転している箇所が一瞬あります。
そして次回は、どこで、どのように肩の垂直回転をするのかをお伝えしていきます。
お楽しみに!!

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