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物件を見ているとたまに「行列不可」という面白い条件をつけているオーナーさんがいる。

小さな店にとっては「行列不可」は「どうぞ撤退なさってくださいな」と同じだ。

それでいてあらかじめ(お客様の回転が必要な)飲食は不可とか、家賃はとっても下げてあるとか、であればまだ分かるがそういうわけでもないらしい。

誰に向けて貸そうとしているのだろう。面白い発見がたくさんある。

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行列を作る店舗は三流である。

僕は常々そう言ってきて、それはヘッダーの画像でも分かるように自分自身に向けた言葉だ。
うちの店舗(もう閉店済み)の営業最終日は恐ろしいくらいの行列を作ってしまった。
誰も幸せではなかった。僕らも疲弊したし、お客様も悪戯に時間を奪われただけだ。

もちろん嬉しいお言葉ばかりだったが、自分自身どこか納得できないで反省ばかりした営業最終日だった。

これはお店のスタイルによるので一概に「行列悪説」とはいえない。
最初にも書いたけれど小さなお店にとっては行列はある程度必要なものだ。行列不可なんて小さな事業主はとてもじゃないが経営していくことはできない。


しかしながらうちは10坪はあったし結婚式の引き菓子やイベント等、店舗以外でも収益があったし、もともと行列は不要な店だった。
なのに最終日にできた行列は誰も幸せにすることがなかったのだ。

ここの時点で、僕とうちの店は三流だった。もちろん今はそれを経験したからこそまた新しいステップへと登ることができている。

(そのときのお客様への対応と商品にもちろん嘘はなかったです。grammeらしい完璧なものだったと思う。)

現存するJAMCAFEという店舗は店の付近で待たせることをよしとしていない。空き次第電話で連絡するようにしていた。それまでは近くの三越でぶらぶらしてもらうしかない。フォーラスでもいいけど。

それは自分の中で少しの美意識というか、食事中に後ろに並んで待たれながらラーメンを食べる時の気持ちになってしまうのだ。
(ここは目黒のとんきに置き換えてもいい。)

いい人と悪い人がいるように、いい列と悪い列があるのだ。

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話が3mmくらいずれますが

うちの現在のオーナーさんは上にお住まいであるにも関わらず店が混んで騒がしくなったりしても
「繁盛で何よりですね」
といって一緒に喜んでくださったりする。

僕が仙台に長期不在の時でも
「グリーンに水やりしておきました。余計なお世話かと思いましたが…」
と一切の押し付けがましさもなく話してきてくれる。

#見習いたい

最近改めて分かってきた事だが自分たちやお客様にとっても必要で意味のある店作りというのは絶対条件なのだけど、何よりも
「大家さんにとっても意味があり、愛せる店作り」
が大事なのではないか、と思っている。大家さんが必要としてくれる限りはその物件で頑張ろうと思えたりする。

街から必要とさえれるためにはまずは大家さんに必要とされなければならない。

なるべく大家さんが困ることだけはしないようにしようと思っている。


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昔はそんな感情ってあまり分からなくてコーヒーの味がわからないように「若いうちだけだろうか」とすら思えなかったが、今となっては考えることが多い。日に日に増していく。

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いつもは定期購読マガジンに書くような内容でしたが。

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山路 裕希(YUKI YAMAJI)
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