【読書記録】死体は語る/著・上野正彦
読書記録、13冊目。
『死体は語る』
著者は、東京都監察医務院に勤めておられた上野正彦さん。こちらは図書館で借りて読ませていただきました。
きっかけ
好きな創作者さんが「ホラー系の小説を執筆するときに参考にしている本」としてX(
旧Twitter)で紹介しており、この本を知りました。
その当時、不自然死を取り扱う「アンナチュラル」(監督:塚原あゆ子)というドラマを見返していたこともあり、人間の死因などを調べる法医学・監察医に興味が湧きこの本を手に取りました。
概要
「死者からのメッセージを見逃さないために」
もの言わぬ死体、と表現されることもあるが決してそうではない。死体はとても雄弁に、決して嘘をつかず、自分を死に至らしめた原因を語っている。監察医は死体を調査することで真実を突き止め、死者からのメッセージとして受け取るのである。
監察医という仕事が死者にとってどれだけ重要な存在なのか。またなぜ、今を生きている人間たちのためになるのか。筆者が実際に取り扱った有名事件等の実例を取り上げつつ、監察医の存在意義と重要性を語っている1冊。
感想
(本の内容に深く触れていますので注意)
表紙の雰囲気が怖くて少しビクビクしていたのですが怖い話はあまりなく、それでいて刺激的な内容ばかりで本当に面白かったです。(死体や解剖の様子について触れているので生々しい表現は多かったですが…)
なによりとても勉強になりました。法医学や監察医に関して詳しいことまでは知らなかったのですが、この本には著者が監察医になるまでの経緯や各地域の検死制度について詳細に書かかれており、個人的には有り難かったです。
そしてギョッとしてしまう事件だったり、当時の杜撰な死亡鑑定についてだったり、びっくりするお話もたくさんありました。かなり前に出版された本なので、今では死亡鑑定もきっちりされてると思いたいです、さすがに…。
なかでも「監察医制度がない地域での検死は医師であれば何科の医師が行ってもよいとされている」という事実に驚きました。しかも現在でも
ほとんどの地域で監察医制度がないそうです。このことを知った上で著者が本の中で書いていた「風邪をひけば内科へ行き、怪我をすれば外科へ行く。これと同じで異常死体の検死は監察医や法医学者に任せないと死んだ人の人権は守れない」という言葉を読むと、より印象深く頭の中に残りますね。人員不足や予算面など様々な課題があるんでしょうけどね…。
以上、読書記録でした。
ドラマや小説の中で起きるような死因の偽装工作も実際に行われていたりするらしいので、いやあ恐ろしいですよね。監察医制度の拡充を祈るばかりです、いや本当に。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
おすすめの本などあれば教えてください、またね!