公衆トイレは偉大なターミナルだ
夏の夜の田舎の道の駅の公衆トイレはなぜにこんなに落ちつくんだろう。
王国のように思える。
建物のそばには木が植えられていて、
その足下には整えられたミニチュアの草原みたいな瑞々しい雑草の森。
車や人がほどほどに行き交い、ベンチには宿なしの旅行者が寝処をつくっていたりする。
建物の中に入るとそこにはまた別の気配があり
もう二度と会うことがないかもしれない人とぶつかりそうになりながら
カギをあけて独房のような個室に入ると
カベには何の一節かは分からないラクガキや、
誰につながる