見出し画像

ただいま禁酒中

ちょうどワインスクールに通い始めたころかろから、スクールの友人達とワインを飲み、おいしいものを食べることが楽しみのすべてになった。

何年もそれは続いた。飲んで食べて、食べて飲んで、帰宅が遅くなり、二日酔いになり、それでも週に何度も外食、友人達と出かけた。ワインの魅力にとりつかれていた。おいしいワイン、料理、仲間。若かった。フルコースの料理にあわせて、何杯飲んでも身体がもった。帰りは酔っぱらってフラフラだとしても、翌日は仕事にいく体力があった。

しかし、いつのころからか、重要な仕事がある時はなるべく出歩かなくなった。体力的にきつくなった。アルコールが抜けにくいと自覚し始めた。帰りの電車で意識が遠くなり、乗り過ごすことが多くなった。

「なんだかあまり飲めないなあ」

そのうち、会食中に眠くなるようになった。楽しいはずの会食が、身体がだるく重く感じるようになった。

「早く切り上げたい」

アルコールが身体を駆け巡ると、気持ちが良いどころか倦怠感に襲われるようになった。お誘いをだんだん断るようになる。

自宅で、ごくごく普通の和食の夕食にワインをテキトーにあけて飲むようになった。化粧を落とし、スーツを脱ぎ、お笑い番組などを見ながら、自分の好きなワインを開ける。マリアージュなんて関係ない。眠くなったら、ソファーでひと眠りも簡単にできる。家に帰らなくてはというプレッシャーもない。

自宅でワインを飲むことのほうが心地よいとおもうようになった。ワイン会はいかなくなった。ごくたまに参加する程度。というより、もうあまり誘われない。正直、ホッとしている。断る理由を探すのはなかなか面倒だったから。

そしてコロナ自粛。自宅での時間が長くなる。最初はいつものようにワインを自宅であけていた。しかし、少し肝臓を休めようと一日「休肝日」にした。

翌日の朝。

驚くほどに快適だった。頭がなんだかすっきりしている。もやがかかったみたいな起き抜けの感覚が全くない。

「あれ?」

もう翌日ワインを抜いてみる。やっぱり身体が軽い。運動したい気分だ。オンラインでピラティスとバレエをした。やっぱり休肝日、二日目も身体が軽い。

食事の内容が変わった。ワインを飲んでいた時は、味の濃いものを欲していたが、あっさりしたもの、素材の味を活かしたものが食べたい。野菜の蒸し煮などがいい。豪華な食事よりも数倍、おいしいと思える。あまり手をくわえずに調味料も使用していないような料理。ご馳走よりもずっとご馳走に感じる。

そして、休肝日は今日まで2か月ほど続いている。あともう少し続けられたら、飲んでもいいかなとは思う。いつでもやめられることがわかったから。仕事柄、ワインに試飲は避けられないというのもある。しかし、プライベートは飲まないでも問題なさそうだ。

何よりも、夜のお酒の時間を取り除き、しらふでいるとこんなにも自由な時間が生まれることを知った。本が読める、映画も見れる。勉強もできる。オンライン講座も受けられる。そして早寝早起きが可能になった。

ワインはリラックス効果があるので上手に使えばプラスに作用する。また、記念日や友人たちと楽しい時間を華やかに演出してくれる小道具としは最高だ。

しかし、頻繁に摂取する必要はない。今まではストレスのためというよりも飲みたい、飲みたくないにかかわらず無意識に手が伸びていた。一度たちどまってそのことに気が付いた。

もう少し継続したい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?