見出し画像

『肝臓こそすべて(尾形哲/新星出版社)』は、脂肪肝を指摘されたその足で買って帰れ。

とうとう指摘された

先日受診した会社の人間ドックで、人生で初めて指摘事項があった。
それは「脂肪肝」。
自分はお酒はほとんど飲まず、決して肥満体型でもないが、「とうとう来たか」と思った。

近年、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)という概念が注目されているらしい。
その名の通り、お酒に起因しない脂肪肝炎、というものだ。
ではその主な原因は何かと言うと、「糖質の過剰摂取」だそうだ。

「とうとう来たか」と思ったのは、自分は昔から大の炭水化物好きで、毎食、大量の米や麺類を食べており、なんとなくそのリスクを感じながら生きていたからだ。
また、2年前に父が肝臓内のがんで亡くなったことも関係しているかもしれない。

そんな時にこの本の存在を知り、即座に購入した。
・肝臓という臓器の重要性
・脂肪肝になるメカニズム
・脂肪肝の恐ろしさ(肝硬変・肝臓がんに進展していく)
・脂肪肝解消のための方法
などが詳細に書かれており、非常に勉強になった。

読書メモ

(※個人的なメモのため、一字一句が本文と同じではありません)

肝臓は全臓器中で最重量。1000〜1800g。

基礎代謝量の27%は肝臓が消費(全臓器中最大)。

肝臓の3つの重要な働き
・免疫
・代謝
・解毒

脂肪肝は「死」に直結する怖い病気。

脂肪肝になると肝臓のインスリン抵抗性が増し、高インスリン血症が加速。インスリン抵抗性が悪化すると糖尿病(2型)になる。

脂肪肝は、癌の発生リスクも高める。

現在、日本人成人の3人に1人が「脂肪肝」。

脂肪肝があると、ドナー肝として移植することができない。

脂肪肝は適切な食事により、わずか3ヶ月で改善可能。

肝臓こそすべて、肝臓こそ健康の「肝(きも)」なのです。

7%の体重減少で、組織学的に肝細胞から脂肪が減少(=脂肪肝が改善)し、10%の体重減少では、肝臓の繊維化が改善することが報告されています。

ここで重要なポイントは、減量後にBMIが25以上であっても、脂肪肝が改善することが判明しているということ。標準体重にならなくても、現在の体重から7%減量できれば、改善するのです。

体内の脂肪は減量すると、①肝細胞内の脂肪、②内臓脂肪、③皮下脂肪の順で落ちていく。

体脂肪率は、男性は25%以下を目指す。

砂糖水(加糖飲料)を飲まない習慣が、脂肪肝改善に最重要。

100%の野菜ジュース、果物ジュースも、加糖飲料と同じく、肝機能を障害する可能性が高い。

1日の糖質量を130g以内にして続けてみましょう。

肥満・脂肪肝患者は、野菜の摂取量が日本人の推奨摂取量の約半分であることがわかった。

プランクは20秒キープ+10秒休憩。3セット行う。慣れてきたら30秒キープにチャレンジ。

炭水化物をとると、糖(ブドウ糖)は肝臓でグリコーゲンに変換されて、貯蔵されます。グリコーゲンの貯蔵庫は肝臓と筋肉だけです。肝臓内と筋肉内がグリコーゲンでいっぱいの場合、糖は、肝臓内で中性脂肪に変換され、肝臓脂肪、内臓脂肪、皮下脂肪として蓄積されます。

肝臓が行う「糖新生」のメカニズムは、健康的に減量したい方は必ず押さえておかなければならない。

空腹状態が続き、細胞のエネルギーが枯渇してくると、まず、肝臓と筋肉に蓄えられているグリコーゲンと呼ばれる糖がブドウ糖に変換され、ブドウ糖からエネルギーが作られます。次に、グリコーゲンが消費されたことがシグナルになって(グリコーゲンが完全になくなる前から)、体脂肪、筋肉のそれぞれが、ブドウ糖に変換される。

グリコーゲンは、肝臓と筋肉にしか蓄えることができないという特徴がある。

男性30〜49歳の基礎代謝量は1日1530kcal。

肝機能が改善していくと、糖新生が働きやすくなり、グリコーゲンや脂肪として蓄えたエネルギーを消費してくれるため、減量も楽になっていく。

肝臓は「解毒」を行う最大の臓器。

肝臓は「免疫」を司っている。生体内でのNK活性=異物への攻撃力は、肝臓が最大。

肝機能が低下すると、感染に弱くなってしまう。例えば、緊急肝臓移植の適応となる急性肝不全に陥った方は、移植を待っている間に感染症で命を失うことが多い。

肝機能が失われて初めてわかるのですが、肝臓が常に感染からも私たちを守ってくれていることを忘れないでください。

基礎代謝量の臓器別内訳は、肝臓27%、脳19%、筋肉18%、腎臓10%、心臓7%、その他19%。肝臓は、24時間拍動し続けている心臓の約4倍のエネルギーを消費している。

健康を取り戻すためには、肝臓をいたわって機能を改善させることが最優先。

脂肪肝の1〜2割の方がNASH(非アルコール性脂肪肝炎)になります。脂肪肝炎は進行性で、肝硬変や肝臓がんの発生母体となります。

肝炎を悪化させてしまう要因で、特に重要なのが①アルコール②薬(サプリメント含む)③腸内細菌。

脂肪肝の正確な診断には肝生検が必要。通常、入院して行う。

通常の腹部超音波検査やCT検査で、脂肪肝を指摘された方は要注意です。脂肪肝の定義は、肝生検で5%以上の脂肪化があることですが、画像検査では30%を超えないと診断が難しいのです。つまり、すでに軽度脂肪肝と診断されていたら、組織中3割が脂肪になっているということなのです。

AST、ALTは主に肝細胞内にある酵素で、肝障害があると血中にあふれ出します。いずれかが30mg/dlになっている場合は、肝臓の細胞が今壊れている=肝炎が起こっていることを示しています。

AST、ALTが100mg/dlを超え続けている方は、肝切除に匹敵する肝細胞壊死が、慢性的に続いているのと同じこと。

脂肪化、炎症、繊維化の3つの項目のうち、繊維化を診断することが最重要です。なぜなら、繊維化の進行が、「生命予後=どのくらい生きられるか」と「発癌リスク」に最も関係が深いからです。

FIB-4インデックス(肝臓の繊維化を評価するスコアリングシステム)が1.3以上の方は繊維化が起こり始めている可能性があり中リスク、2.6以上の方はハイリスクです。1.3以上の方は、超音波エラストグラフィーを行い肝繊維化の程度を評価しておくことが、脂肪肝の診療ガイドラインでも推奨されています。

脂肪肝・脂肪肝炎の改善は「食事に勝る薬なし」。

脂肪肝・脂肪肝炎は、「過剰に摂取した食事により肝臓が機能不全を起こしている疾患」。

肝臓が蘇ると不調が改善します。なぜなら肝臓は全身の解毒装置だから。

肝臓の三毒は、糖・酒・薬。

ブドウ糖は、全ての細胞のエネルギー源となり、使われなかったブドウ糖は、肝臓で中性脂肪に変換されます。果糖は、肝臓だけでしかエネルギーとして使われないため、容量オーバーとなった時、肝細胞を障害します。

ガチョウはトウモロコシだけをエサにしてフォアグラになる。

インスリンには血糖を下げる=細胞内にブドウ糖を押し込む作用があるだけでなく、エネルギーとして使われなかったブドウ糖を中性脂肪に変換する作用があることが重要なポイント。

ガチョウはフォアグラとなる際、筋肉を用いる必要のない=グリコーゲンをほとんど消費しない場所で、多量の糖質を与えられて飼われています。それゆえに、消費されるエネルギーよりはるかに多いブドウ糖から、効率よく中性脂肪への変換が行われ、肝臓の細胞内に脂肪が蓄積していくのです。

真っ先に減らすべきは、糖質量なのです。

最も効率よく脂肪肝になる方法は「砂糖水(100%果汁ジュースも含む)」を飲むこと。

果糖はブドウ糖以上に肝臓を脂肪化させ、直接的に肝障害を与える悪玉糖と呼ぶべき糖。果糖は、肝臓内のみで代謝されるという特徴があります。一方、ブドウ糖の8割は肝臓外の組織でエネルギーとして利用され、肝臓内で代謝されるのは2割です。同じ量のブドウ糖と果糖ならば、果糖の方が5倍肝臓に負担をかけているのです。

ミトコンドリアの処理能力を超えた果糖は、ブドウ糖のようにグリコーゲンに変換されることはなく、肝臓で中性脂肪に変換され、間細胞内や内臓脂肪、皮下脂肪として蓄積される。

果糖は、高脂肪食よりはるかに肝臓での脂肪化を促進します。

患者様はカラダに良いと信じて、エナジードリンク、乳酸菌飲料、100%果物・野菜ジュースなどの果糖飲料を常飲しています。そのため、肥満・脂肪肝の最大の原因となっているという認識がない方がほとんどなのです。

メディアは健康になるための情報を求める視聴者、購読者を対象としていても、スポンサーの利益を優先させることがあります。

果糖は液体でとった場合の方が、肝臓への悪影響が大きくなることがわかっています。

市販のオレンジジュースや野菜ジュースは、製造過程で糖の吸収を遅らせる作用のある不溶性食物繊維がほとんど全て取り除かれています。ゆえに砂糖水として一気に小腸に向かい、ブドウ糖に変換されずに溢れた果糖が肝障害を起こすのです。

加糖飲料を飲むことが、最も肝臓に悪影響を及ぼす。

酒は、肝臓にとっては少量でも毒です。脂肪肝・脂肪肝炎を短期間で改善したいのならば、断酒が最も効果が高いのです。

アルコールは、脂肪をエネルギー源として使う機能を低下させて、脂肪を溜めこむ機能を高めてしまう。

アルコールは、1gが約7キロカロリーのエネルギーを持っています。焼酎やブランデーなどの蒸留酒は、糖が入っていないから太らないという俗説がありますが、間違いなのです。

ストロング系チューハイは「薬物」。肝臓を労わりたい方は、決して手を出してはならない。

急性肝炎で入院した症例の52%が薬剤性肝障害という報告がある。

サプリメントにも肝臓を障害するものがある。

ウコンは肝障害の原因となることが知られています。

肝障害のある方は、鉄剤や鉄を多く含むサプリメント、食品を控えた方が良い。

病院で処方されている薬にも、肝臓を障害するものがあります。肥満・脂肪肝の方が常飲していることが特に多い薬剤は、ロキソニンなどの非ステロイド系解熱鎮痛剤とカロナールなどのアセトアミノフェン製剤です。漢方薬も要注意。

水は、なんとスポーツドリンクの約4倍の水分吸収率なのです。

肝臓が繊維化して硬くなると、肝臓に血液が入らずに肝臓を迂回して直接心臓に戻るバイパス血管(側副血行路)が作られてしまう。フィルターにかけようと思っても、血流がフィルター=肝臓に向かわずに汚れた血液のまま全身に回ってしまうのです。

肥満・脂肪肝の方の野菜摂取量は推奨量の半分以下!

肥満・脂肪肝のある方は、砂糖や果糖ブドウ糖液糖を含んだ乳酸菌飲料を飲まない方が無難です。

筋肉が肝臓を助ける理由は、筋肉が人体最大の「糖質の貯蔵庫」だからです。貯蔵庫が大きいほど、糖質が脂肪に変わりにくい=太りにくいのです。

筋肉は運動をしていない時でも、エネルギーを消費してくれる。

日本人は痩せの脂肪肝(BMI25未満)が多い国民。

痩せの脂肪肝の方は、初めから筋トレをする必要があり、筋肉の原料であるタンパク質を毎食20g以上とること。

タンパク質比率が低い食事を与えられると、タンパク質欲求が満たされるまで、炭水化物と脂質を過剰に摂取してしまう。

動物実験ではタンパク質を増やしすぎると、短命になることが判明しています。ヒトの場合、全摂取エネルギー量の15〜20%が適切なタンパク質摂取量と考えられています。1日60〜90gが良いでしょう。

体重を落とすのがうまくいかない方、行動に移すやる気が出ない方は、「飲み物は、お茶・水・ブラックコーヒー」この1点だけを守り、体重維持に努めてください。飲み物を変えるだけで、肝障害が改善する方がたくさんおられます。

まとめ

早速、主食の量を減らし、運動の量を増やしてみた。
脂肪肝は適切に対処すれば、3ヶ月で十分に改善ができるそうなので、頑張って続けてみようと思う。
もっと早く出会いたかった1冊です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?