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タイトルの衝撃度を超える内容:『腰痛は肛門力で治る/鈴木登士彦』

四十にして腰痛に惑う


40を手前にして、腰痛を覚えるようになってきた。
仕事柄、デスクワークも多いし、運転している時間も長い。そのせいもあるのだろう。
腰痛専門の整体のようなものにも行ってみたが、正直、あまり良くならなかった。

そんな折に、この本に出会った。
「すごいタイトルだな」というのが率直な第一印象だった。
まず、「肛門力」という単語を初めて聞いた。なんなんだそれは。
しかし、そのタイトルの衝撃度を超えた内容が詰まっていた。

序盤の方に、こんな一節がある。
「腰痛をなめてはいけません。腰痛は、あなたの人生を台無しにするパワーを持っているのです」

完全になめていた。
「体の要」と書いて腰だ、という常套句はよく聞くが、最近腰痛を覚え始めるまでは全くピンときていなかった。
おそらく半分くらいが経過してしまった、このしがない人生を台無しにしたくはない。

でも、その鍵がまさか「肛門」だとは。
そんなのは、ウン万円も払って通った腰痛専門の整体師さんをはじめ、誰も教えてくれなかった。

あと、人生でこんなにも「肛門」とタイピングする日が来るとは思わなかった。
賢いMacが「肛門」を完璧なまでに予測変換するようになってしまった。
それでも、出会えてよかった。そんな一冊だ。

抜き書きメモ

(※個人的なメモのため、一字一句が本文と同じではありません)

腰痛を引き起こす根本的な要因は、「肛門から下腹にかけての力が抜けているから」とわかったのです。「肛門力」が弱いから腰痛になるので、「肛門力」を高めていかなければ、腰痛と決して手を切ることはできません。

腰痛になると、人生の質が極端に低下していきます。体の中心であり要である腰に歪みが生じると、足先から頭のてっぺんまで、全身くまなく歪みが伝播し、心身の機能が徐々に低下していきます。身も心もくたびれてしまうのです。

心理的恐怖、今まではなかった倦怠感や、急に怒りっぽくなったり、訳もなく落ち込んだり、気分の抑揚が激しくなったりするなど、メンタル面にも腰痛の影響は及び、結果として人生の質が極端に低下してしまいます。

腰痛をなめてはいけません。腰痛は、あなたの人生を台無しにするパワーを持っているのです。

腰痛の原因は、腰ではなく腹にある。

デスクワークは、腹圧を弱らせ腰を壊す。

「肩がこる」ということは、多かれ少なかれ、胸郭が弾力を失っている状態です。必然的に呼吸が浅く、小さくなります。呼吸は体の中の一番大きな循環システムなので、浅い呼吸を続けていれば、当然血液〜リンパの流れが滞ります。結果として、いらぬ筋緊張を引き起こすことになります。

単純にデスクワークの姿勢は、腰に影響の深い臀筋や下肢の筋肉を硬化させますが、肩こりが招く浅い呼吸が、腰周辺の筋肉の緊張をよりいっそう助長するのです。

きちんと腹圧がかかった状態をつくってから座ると、デスクワークをしていても腰痛にはなりづらく、肩こりにもなりづらいのです。

インナーマッスルが衰えると、内臓下垂を起こしてポッコリお腹になります。ポッコリお腹は、立派な腰痛予備軍だと言えます。

腰痛を予防、改善していくためには、呼吸運動だけで十分に効果を発揮します。

というか、呼吸運動を通じたインナーユニットの神経〜筋促通がきちんとできていない状態でアウターマッスルを鍛えると、腰痛持ちの人は改善するどころか、かえって悪化し、運動をすればするほど、立派な腰痛持ちになっていきます。

腰痛は、起こるのも治るのも、全てお腹の問題なのです。

お腹のパワーハウスシステムを狂わす最重要ポイントである「肛門のユルミ」。

インナーマッスルを意識的に鍛えるには、「徹底した呼吸による鍛錬を行う」のが最善というか、方法はそれしかありません。

呼吸で行うインナーマッスルの筋トレのやり方は、単純明快です。息をいかに吐き切り、収縮力を保てるかに尽きます。一言で言えば、お腹を絞り切った状態を、何度も、何回も繰り返しつくるのです。

最も重要となるのが「骨盤底筋」のある底部の収縮〜弛緩運動、そして、そこに連動させる恥骨からおへそまでの下腹部の引き締め。

世の中には星の数ほど腰痛対策があふれています。しかし、本当に腰痛を根治させるテクニックは、恥骨タックインをしながら、肛門力を高めていく以外にありません。

鳩尾に力が入ると、交感神経が興奮し、逆に副交感神経がダウンする方向に向かい、リラックスができなくなります。全ての不調、衰えの原因は、ここから始まるのです。

なぜ鳩尾に力が入ると、交感神経系が興奮するのかというと、ちょうど横隔膜の下方、胃の裏側周辺に、「太陽神経叢」と呼ばれる、腹部交感神経節が広がっているからです。

自律神経は、ダイレクトに人の情動を反映させます。

大小〜新旧さまざまな心理的抑圧が太陽神経叢を形成する交感神経系を興奮させ、鳩尾の力が抜けなくなり、パワーハウスの形成、すなわち下腹部から骨盤底の力が抜けて、腰部の安定性が欠如する。

鳩尾が固まった状態としては、呼吸が浅く、小さく、思考はノイジーになり、自分では意識できないが、常に雑念妄想に苛まれながら生活をしていくことになります。

深い呼吸とリラックスともに、「今、ここ」にある、肉体と精神の最高の状態が、肛門が締まりながら下腹に収縮があり、鳩尾の力が抜けた状態。

骨盤底から下腹部の力が抜けると、生物としての生きる力である「生命力」が欠乏します。すなわち、鳩尾が固まり肛門が開きます。

鳩尾が固まれば、肛門が緩み、腰痛になるだけではなく、精神と肉体の離反が起こり、心身は病態化に進んでいきます。

丹田を活性化する修行法、いわゆる丹田呼吸法を端的に要約すると、「大きく息を吸い、お腹を絞るように息を長く吐く」を繰り返す、となります。これはまさしく、わたしが提唱する3K筋メソッドほぼそのものです。

腰に痛みがある時、腰がギクギクと危ない感じがする時には、意識的にお腹を引っ込ませて、肛門を締めながら引き上げ、少し恥骨を巻き上げるようにしてパワーハウスをつくってみてください。

体の動きの中で、首と腰はシーソー関係にあります。簡単に言うと、腰が右に曲がれば、首は左に曲がりながら体全体のバランスをとっています。最近は、スマホとPCによる首肩に生じた問題をカバーするために、腰が歪んで痛みが出るケースがとても多くなっています。現代の腰痛には、首のストレッチは無視できないのです。

何もたいそうなことはしなくとも、体の内側をたった少し変えるだけで、腰を痛めるリスクは、ほぼゼロに等しいレベルまで軽減します。ほんの少しの心がけで、ギックリ腰を防御することができるのです。

腰の筋肉を固める長時間の同一姿勢を避けるために1時間、できれば30分に一度は立ち上がるようにすると、腰への負担をかなり減らすことができます。

極限の時に無意識に行っていたこと。それが、肛門を締め、下腹を強烈に引き上げ、自前のコルセットを形成して動くというものでした。曲がった腰で動くには、それしか方法がなかったのです。すると不思議なもので、曲がっていた腰は伸び、動作も安定するばかりでなく、徐々に呼吸も深くなり、気持ちも落ち着き、頭までどんどんすっきりとしていくではないですか…!

まとめ

早速、本書の内容を実践してみた。
すると、腰に良さそうなのはもちろんだが、本書にもあるように、頭もスッキリし、やる気が湧いてくるような感覚があった。
これは続けてみようと思った。


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