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「ドバイ-砂漠の未来都市/世界一を追い求める都市の光と影」

1.ドバイへの旅を選んだ理由

砂漠に突如として現れた未来都市――。

調べれば調べるほど、ドバイの魅力は深まっていった。世界一、最大級、最高級――。それらの言葉が並ぶ観光情報の数々。しかし、私たちが最も興味を持ったのは、そんな派手な表現の裏側にある、伝統と革新が織りなす街の姿だった。

金ピカのショッピングモールだけでなく、古き良きアラブの文化が息づく旧市街。超高層ビル群の合間に佇むモスク。そして、どこまでも続く砂漠の果てに沈む夕陽。

特に心を動かされたのは、ドバイが歩んできた驚くべき変遷だ。わずか50年前は小さな漁村だったこの地が、石油の富を基に驚異的な発展を遂げ、今や世界有数の観光地となった。その変化の速度は、私たちの想像をはるかに超えている。

しかも、石油後の未来を見据え、観光やビジネスへと産業構造を転換させようとする姿勢には、ただただ驚嘆するばかりだ。

「今このタイミングで見ておかないと」

その思いが、私たちの背中を押した。世界中から注目を集めるドバイは、まさに"今"という時代のシンボルなのかもしれない。

2.Day1: 未来都市への到着

アラビア半島上空に差し掛かった機内から、砂漠の大地に浮かぶ未来都市の輪郭が見えてきた。

空港からホテルまでは、事前予約していたホテルの送迎サービスを利用。ドバイを走る車窓からは、LEDで彩られた超高層ビル群が次々と現れる。その光景は、まるでSF映画のワンシーンのようだった。

【宿泊先】
アドレス・ダウンタウン・ドバイ
https://www.addresshotels.com/en/hotels/address-downtown/

ブルジュ・ハリファに隣接する5つ星ホテル。63階建ての建物からは、ドバイの象徴的な夜景が一望できる。
部屋からの眺望:世界一高いブルジュ・ハリファと音楽噴水ショーが見える

ひとことメモ:スタッフの気配りが素晴らしく、アラビアンホスピタリティを体感

チェックイン時、フロントスタッフが「特別な夜景をご用意しました」と言って案内してくれた部屋からは、ブルジュ・ハリファの全容が一望できた。828メートルの尖塔は、夜空に浮かぶ巨大なクリスマスツリーのように、無数のLEDで装飾されている。

疲れていたはずの体が、この光景で一気に目が覚めた。夫と共にバルコニーに立ち、しばし言葉もなく夜景に見入った。30分おきに行われる噴水ショーは、アラビアンな音楽に合わせて光と水が織りなす壮大なパフォーマンス。ホテルの高層階から見下ろすその姿は、まさに圧巻だった。

【お食事スポット】
ザ・レストラン・アット・アドレス
営業時間:24時間

時差ボケと興奮で眠れない私たちは、ホテル内のレストランで軽い夜食を取ることにした。真夜中にもかかわらず、レストランには世界各国からの宿泊客が寛いでいた。

「ドバイの一日は、本当に24時間動いているのね」

妻の言葉通り、この街は眠らない。むしろ、日中の灼熱を避けるように、夜になって活気づく印象すらある。

窓際の席から見えるドバイの夜景を眺めながら、明日からの観光プランを確認し合う。砂漠のど真ん中に建設された、この驚くべき都市を、いったいどこから巡ればいいのか。

期待に胸を膨らませながら、私たちの初日は更けていった。

3.Day2:砂漠とラグジュアリーの共存

朝食を終えた私たちが最初に向かったのは、ホテルに直結するドバイ・モール。世界最大のショッピングモールと聞いていたが、その規模は想像を遥かに超えていた。

総面積は東京ドーム約7個分。1,200以上の店舗が立ち並ぶ館内には、巨大水族館や実物大の恐竜の化石まで展示されている。迷子になることを覚悟で、まずは気の向くままに歩いてみることにした。

【モール内おすすめカフェ】
アラビカ (% Arabica)
https://arabica.coffee/
世界的人気を誇る日本発のコーヒーショップ。
おすすめメニュー:
・アラビカ スペシャリティラテ
・デーツラテ(なつめやしシロップ入り)

ひとことメモ:窓際の席からブルジュ・ハリファを望める絶景カフェ

午後からは、この旅の最大の目的のひとつ、砂漠サファリツアーに参加。ホテルまでジープが迎えに来て、約45分かけて街を離れていく。超高層ビル群が遠ざかるにつれ、視界いっぱいに広がる砂漠の大地。まさに、文明と自然の境界線を越えていく感覚だった。

【砂漠サファリツアー】
アラビアン・アドベンチャーズ
https://www.arabian-adventures.com/
4WDで砂丘を駆け上がるデューンバッシング、ラクダ乗り、砂漠でのディナーショーなど、アラビアンナイトを満喫できる。
所要時間:約6時間(午後2時頃~午後8時頃)

ひとことメモ:デューンバッシングはスリル満点。酔いやすい人は要注意

「準備はいいですか?」というドライバーの言葉とともに、ジープは砂丘に突っ込んでいった。まるでジェットコースターのように、砂の波を上り下りする。妻が悲鳴を上げながらも、笑顔を見せるのが印象的だった。

夕暮れ時、砂漠キャンプに到着。そこで待っていたのは、まさにアラビアンナイトの世界だった。

【砂漠キャンプディナー】
ベドウィンキャンプ
伝統的なアラビア料理のビュッフェと民族舞踊ショーを楽しめる。
おすすめメニュー:
・ラム肉のマンディ
・フムス各種
・アラビアンスイーツ

「これが本物のアラビアンナイトね」

ペルシャ絨毯を敷いた砂の上で、クッションに寄りかかりながらの食事。ベリーダンスショーを観賞し、水タバコを試し、砂漠に沈む夕日を眺める。そして、日が落ちると、空いっぱいに広がる満天の星空。

ベドウィン(遊牧民)の衣装を着た現地スタッフと交流するうちに、「未来都市」の印象が強かったドバイのもうひとつの顔を知ることができた。

「実は私の祖父は、このあたりで羊を飼っていたんです」

そう話すガイドの言葉に、わずか半世紀でここまでの発展を遂げた街の変貌ぶりを、改めて実感した。

夜遅く、ホテルに戻る車中で、妻が呟いた。
「昼と夜で、まるで別世界ね」

超近代的な高層ビル群と、果てしなく広がる砂漠。その対比こそが、ドバイという街の本質なのかもしれない。

4.Day3:伝統と革新の融合

朝日が昇る前に目覚め、アル・ファヒディ歴史地区へと向かった。超高層ビル群とは打って変わり、この地区には19世紀のドバイの面影が色濃く残っている。

風の塔(バージル)と呼ばれる伝統的な換気システムを備えた建物群。砂色の壁と迷路のような路地は、かつての商人たちの暮らしを今に伝えている。

【朝食】
アラビアン・ティー・ハウス
Authentic Emirati & Arabic Dining Experience Awaits
伝統的なアラビア建築を改装したカフェレストラン
おすすめメニュー:
・アラビアン・ブレックファスト・セット
・カラク・チャイ(スパイシーなミルクティー)

歴史地区の散策後、ドバイ・クリークへ。クリークとは入り江のことで、かつての貿易港として栄えた水路だ。ここで私たちは、伝統的な木造船「アブラ」に乗ることにした。

【アブラ乗船】
運賃:1回1ディルハム(約30円)
乗り場:バニヤス駅近く

ひとことメモ:地元の人々の足として今でも活用されている。観光客は少ない穴場スポット

エアコンも無い小さな木造船は、現地の労働者たちで混み合っていた。私たちが座ると、隣のインド人労働者が気さくに話しかけてきた。

「観光ですか?ドバイは良い街ですよ。20年前に来た時は、このあたりも全然違う景色でした」

クリークを渡る10分ほどの船旅。対岸に着くと、香りに誘われるように、スパイス・スークへと足を運んだ。

【スパイス・スーク】
場所:デイラ地区

ひとことメモ:値段交渉は必須。英語が通じる店主が多い

カラフルなスパイスの山が並ぶ市場は、まさに五感の楽園。店主たちは気前よく試食をさせてくれ、サフランやカルダモンの香りが立ち込める路地は、まるでアラビアンナイトの世界に迷い込んだかのよう。

昼食は、現地在住の日本人が営む小さなレストランで。

【レストラン】
ジャパニーズ・キッチン・サクラ
住所:Al Fahidi Historical District
おすすめメニュー:
・日本食×中東食材の創作料理
・なつめやしのデザート

ひとことメモ:オーナーから貴重なローカル情報が得られる

午後は、世界最大の金市場として知られるゴールド・スークへ。

【ゴールド・スーク】
場所:デイラ地区
ひとことメモ:写真撮影は店主の許可を得てから

ショーウィンドウに所狭しと並ぶ金製品の数々。その規模は圧巻で、妻は目を輝かせながら店から店へと足を運んだ。値段交渉を楽しむ観光客の姿も。

「ここなら、お土産の相場がわかるね」と夫。確かに、金の国際価格がベースになるため、適正価格が分かりやすい。

夕暮れ時、再びアブラでクリークを渡る。対岸に浮かぶ超高層ビル群を背景に、伝統的な木造船が行き交う風景。その不思議な調和に、私たちは言葉を失った。

夕食は、地元で人気のアラビアン・レストランへ。

【レストラン】
アル・ウスタ
伝統的なエミラティ料理が味わえる名店
おすすめメニュー:
・ラクダ肉のマチュブース
・ルギマット(蜂蜜がけドーナツ)

ひとことメモ:地元の家族連れで賑わう。予約必須

この日は、新旧が交差するドバイの魅力を肌で感じることができた。超近代的な街並みの陰に、しっかりと根付いている伝統文化。その共存こそが、この街の真の魅力なのかもしれない。

5.Day4:驚きの施設体験

朝一番でパーム・ジュメイラへと向かった。人工島とは思えないほど完成された街並みに、改めてドバイの底力を感じる。ヤシの木の形をした島は、宇宙からも見えるという壮大なスケール。

【朝食】
エッグスプロージョン at ザ・ポインター
パーム・ジュメイラの先端に位置するレストラン
おすすめメニュー:
・アラビアン・シクシュカ
・ザアタル風味のクロワッサン

ひとことメモ:テラス席からアトランティス・ザ・ロイヤルの絶景を望める

朝食後、この日のメインイベント、アトランティス・アクアベンチャーへ。世界最大級のウォーターパークは、想像を超える規模だった。

【アクアベンチャー・ウォーターパーク】
https://www.atlantis.com/dubai/atlantis-aquaventure
営業時間:10:00-18:00
おすすめアトラクション:
・リープ・オブ・フェイス(世界最高の垂直滑り台)
・ポセイドンズ・リベンジ

ひとことメモ:朝一番での入場がおすすめ。午後は混雑する

「本当に滑るの?」

高さ27.5メートルの垂直滑り台の前で、妻が不安そうな表情を見せる。しかし、スタッフの丁寧な説明に背中を押され、私たち二人で挑戦することに。

「3、2、1...」

カウントダウンとともに床が抜け、一瞬の自由落下。恐怖と興奮が入り混じる数秒間の体験は、まさに忘れられない思い出となった。

午後は、2023年にオープンしたばかりのドバイ・フレームへ。150メートルの高さを誇る巨大な額縁型建造物は、旧市街と新市街の境界に建つシンボル的存在だ。

【ドバイ・フレーム】
https://www.dubaiframe.ae/

ひとことメモ:サンセット時がおすすめ。新旧ドバイの対比が印象的

透明なガラスの床を歩きながら、街を一望できる展望デッキは圧巻。北側には伝統的な旧市街、南側には超高層ビル群が広がる景色は、まさにドバイの「今」を象徴していた。

夕食は、話題の回転展望レストランへ。

【レストラン】
アトモスフィア
https://atmosphereburjkhalifa.com/
ブルジュ・ハリファ122階
おすすめメニュー:
・シーフードプラッター
・ラム肉のタジン

ひとことメモ:予約必須。ドレスコード有り。夜景と共に最高級の料理を堪能

「まるで空中に浮かんでいるみたい」

442メートルの高さから眺めるドバイの夜景は、まさに別世界。ゆっくりと回転するレストランからは、街の様々な表情を一望することができた。

この日は、ドバイならではのスケール感を存分に味わった一日となった。どの施設も「世界一」「最大級」を追求する姿勢は、この街の矜持なのかもしれない。

6.Day5:最後の寄り道

帰国便は夜。最終日は、話題のドバイ・ミラクル・ガーデンへの訪問で締めくくることにした。

【ドバイ・ミラクル・ガーデン】
https://www.dubaimiraclegarden.com/
見どころ:
・7,200万本の花で作られた庭園
・蝶の庭園
・アラビアンテイストの光のショー

ひとことメモ:朝一番は比較的空いており、写真撮影に最適

砂漠の中に突如として現れる巨大な花園。7,200万本もの花々が咲き誇る光景は、まさに"ミラクル"という言葉がふさわしい。

灼熱の気候と砂漠の環境を、最新技術で克服して作られたこの庭園もまた、ドバイらしい挑戦的な施設だった。

最後の昼食は、モダン・アラビア料理のレストランで。

【レストラン】
アラビアン・ティー・ハウス・レストラン
Authentic Emirati & Arabic Dining Experience Awaits
おすすめメニュー:
・エミラティ・ブランチセット
・ラクダのミルクを使ったデザート

ひとことメモ:伝統的な邸宅をリノベーションした空間で、新旧の味わいを堪能

夜のフライトまでの時間、空港内で買い物を楽しんだ。免税店では、高級な香水やデーツ(なつめやし)などのお土産を。

「本当に来て良かったね」

搭乗を待つ間、夫が5日間の思い出を振り返る。超高層ビル群と古い市場、最新テクノロジーと伝統文化、贅沢なショッピングモールと素朴な路地裏。相反するものが不思議と調和するこの街は、私たちの想像をはるかに超えていた。

機内に搭乗し、窓から見えるドバイの夜景。5日前に到着した時とは違う感慨を持って、この輝く街を見つめていた。

「また来たいね」

互いにそう言い合った言葉には、きっと同じ思いが込められていたはずだ。

7.まとめ ―未来都市ドバイが教えてくれたもの―

5日間のドバイ滞在は、私たち夫婦の価値観を大きく揺さぶるものだった。

そこには、人類の可能性と限界が同居していた。世界一高いビル、人工島、砂漠の中の巨大モール――。不可能を可能にする人間の創造力と、それを実現する圧倒的な経済力。しかし同時に、その地で何世紀にもわたって受け継がれてきた伝統や文化も、しっかりと息づいていた。

特に印象的だったのは、この街の「変化」に対する姿勢だ。50年前は小さな漁村だったという事実が、今や想像すらできない。そして今なお、ドバイは変化し続けている。新しいものを貪欲に取り入れながらも、アラブの伝統は大切に保存する。その柔軟さと強さは、現代を生きる私たちへの大きなヒントとなった。

また、治安の良さも特筆すべき点だ。女性の一人歩きも安全で、夜遅くまで街を歩いても不安を感じることはなかった。イスラム教国に対する私たちの先入観は、完全に覆されることとなった。

ドバイという街は、私たちに「変化を恐れない勇気」と「伝統を守る謙虚さ」、そしてなにより「夢を追い続ける大切さ」を教えてくれた。

きっとまた、この輝く未来都市を訪れる日が来るはずだ。その時、ドバイはどんな姿を見せてくれるだろうか。

≪旅行基本情報≫

■入国とビザ情報
・日本国籍の場合、30日以内の観光目的の渡航ではビザ不要
・パスポートの残存有効期間は入国時から6ヶ月以上必要
・入国時にパスポートと出国便の予約確認書の提示が必要
・アルコール類の持ち込みは制限あり(要確認)

■現地での移動手段

  1. メトロ
    ・Red LineとGreen Lineの2路線
    ・観光スポットを効率的に周れる
    ・女性専用車両あり
    ・Nol Cardの購入が便利(地下鉄、バス、トラムで使用可)

  2. タクシー
    ・メーター制で比較的リーズナブル
    ・女性専用のピンクタクシーあり
    ・Uber、Careem(現地配車アプリ)も便利

  3. バス
    ・市内を広くカバー
    ・エアコン完備で快適
    ・Nol Cardが使用可能

■気候と服装
・10月~3月が観光ベストシーズン
・夏季(4月~9月)は45度を超える酷暑
・建物内は強力な冷房で寒いことも
・イスラム教国のため、過度な露出は避ける
・モスク訪問時は女性用スカーフが必要

■その他の注意事項

  1. マナーと禁止事項
    ・公共の場所でのPDA(愛情表現)は控えめに
    ・ラマダン期間中は日中の飲食に注意
    ・写真撮影は許可を得てから
    ・飲酒は指定された場所のみ

  2. 通貨
    ・アラブ首長国連邦ディルハム(AED)
    ・クレジットカードは広く使用可能
    ・両替は空港よりも市内の両替所が有利

  3. 通信環境
    ・Wi-Fiは主要施設で無料提供
    ・SIMカードは空港で購入可能
    ・観光用の短期プランあり

  4. チップ制度
    ・レストラン:10-15%
    ・タクシー:任意(端数切り上げ程度)
    ・ホテルポーター:1個につき5-10AED

■おすすめの持ち物
・日焼け止め(SPF50以上)
・サングラス
・歩きやすい靴
・薄手の上着(室内用)
・女性用スカーフ
・モバイルバッテリー

■時差
・日本との時差:-5時間(サマータイムなし)

※この記事は筆者の主観に基づいて作成されています。旅行前に最新の情報を確認することをおすすめします。

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