「メキシコ-マヤの遺跡とCaribbean Blueの楽園/8日間」
1.旅のきっかけ:失われた文明への憧れと青い海への渇望
学生時代、古代文明の授業でマヤ文明について学んだ時の衝撃を、私は今でも鮮明に覚えている。ピラミッドのような巨大建造物、精緻な暦システム、そして忽然と姿を消した謎。それらは私の心に深く刻み込まれ、いつかは自分の目で見たいという思いを抱かせた。
ある日、夫が「そろそろどこか行きたいな」とポツリと言った。その言葉をきっかけに、ふと思い出したのがメキシコだった。マヤ文明の遺跡、そしてカリブ海の青い海。文明と自然、両方を味わえる場所。「ねえ、メキシコはどう?」と夫に提案すると、彼の目が輝いた。「いいね!僕もマヤ遺跡、見てみたかったんだ」
こうして、私たちのメキシコ旅行の計画が始まった。遺跡巡りだけでなく、首都メキシコシティの活気ある街並み、カンクンのリゾート、トゥルムの秘境ビーチまで。8日間で、メキシコの多様な魅力を存分に味わう旅程を組んだ。
準備を進めるうちに、私たちの中で眠っていた冒険心が徐々に目覚めていくのを感じた。パスポートを更新し、スペイン語の簡単なフレーズを練習し、現地の気候に合わせた服を用意する。それぞれの作業が、私たちを旅へと一歩ずつ近づけていく。
出発の前夜、興奮で眠れなかった。明日から始まる未知の冒険に、期待と不安が入り混じっていた。でも、隣で寝息を立てる夫の存在が、私に安心感を与えてくれた。
明日から始まる8日間の旅が、どんな驚きと発見をもたらしてくれるのか。その期待に胸を膨らませながら、私はようやく眠りについた。
2.メキシコシティ:古代と現代が交錯する首都(1-2日目)
メキシコシティに降り立った瞬間、私たちは活気に満ちた空気に包まれた。空港を出ると、喧騒と exhaust fumes が混ざった独特の匂いが鼻をつく。タクシーに乗り込み、ホテルに向かう道中、窓の外には近代的な高層ビルと植民地時代の建築物が入り混じる街並みが広がっていた。
【宿泊先】
ホテル ゼオカリ (Hotel Zocalo Central)
Hotel Zocalo Central - Guest Reservations
ソカロ広場に面したこの歴史あるホテルは、コロニアル様式の魅力と現代的な快適さを兼ね備えている。屋上テラスからは大聖堂の尖塔が一望でき、朝のコーヒータイムには最高のロケーションだ。
チェックイン後、早速街の探索に出た。ソカロ広場は、かつてアステカ帝国の中心地だった場所。巨大な国旗がはためく広場の周りには、大聖堂や国立宮殿が威容を誇っている。広場では、先住民の衣装を着た人々が浄化の儀式を行っていた。煙の匂いと太鼓の音が、古代と現在を繋ぐかのようだった。
夕食は、地元で人気のレストランを選んだ。
【レストラン】
プジョル・デ・ベリンダ (Pujol de Belinda)
住所:Tennyson 133, Polanco, Polanco IV Secc, 11570 Ciudad de México, CDMX
https://pujol.com.mx/
メキシコの伝統料理を現代的にアレンジした料理で世界的に有名なレストラン。
おすすめメニュー:
• モレ・マドレ(1000日熟成させたモレソース)
• エロテ(トウモロコシ)のアイスクリーム
2日目は、テオティワカンの遺跡に向かった。メキシコシティから約50km、バスで1時間ほどの場所にある。太陽のピラミッドに登ると、息を呑むような景色が広がる。遠くに月のピラミッドが見え、死者の道と呼ばれる大通りが真っ直ぐに伸びている。頂上で吹く風に、古代の人々の息吹を感じた気がした。
「昔の人たちはこの景色を見て何を思ったんだろう」夫が呟いた。その言葉に、私も思いを馳せる。神々への畏怖か、それとも支配者としての誇りか。答えは分からないが、この場所に立つだけで、時空を超えた何かとつながった気がした。
遺跡を後にし、メキシコシティに戻ると、フリーダ・カーロ博物館へ向かった。青い家として知られるこの建物で、カーロの痛みと情熱に満ちた人生を垣間見た。彼女の作品を前に立つと、メキシコの魂そのものを感じるようだった。
夜は、マリアッチの演奏を聴きながらディナーを楽しんだ。
【レストラン】
エル・テナンパ (El Tenampa)
住所:Plaza Garibaldi 12, Centro, Cuauhtémoc, 06010 Ciudad de México, CDMX
El Tenampa (オーランド) の口コミ68件 - トリップアドバイザー
ガリバルディ広場に面したこの老舗は、マリアッチの生演奏を楽しめることで有名。
おすすめメニュー:
• ポソレ(トウモロコシと肉のスープ)
• タコス・アル・パストール
メキシコシティでの2日間は、まるで時間旅行をしているかのようだった。古代の遺跡、植民地時代の建築、現代アートが混在するこの街は、まさにメキシコの歴史と文化の縮図だった。次の目的地、チチェン・イツァへの期待が高まる中、私たちはメキシコシティに別れを告げた。
3.チチェン・イツァ:マヤ文明の神秘に触れる(3日目)
メキシコシティからカンクン行きの国内線に乗り、そこからバスでチチェン・イツァへ向かった。ユカタン半島の内陸部に位置するこの遺跡は、世界遺産に登録されているマヤ文明最大の遺跡群だ。
到着したのは早朝。朝靄の中に浮かび上がるピラミッドの姿は、幻想的だった。
【宿泊先】
ホテル チチェン・イツァ (Hotel Chichen Itza)
https://www.hotelchichen.com/Hotel Chichen Itza|クチコミあり - ピステ
遺跡の入り口から徒歩圏内にあるこのホテルは、マヤ様式を取り入れた建築が特徴的。広々とした庭園には、本物の遺跡から発掘された石像のレプリカが点在している。
荷物を預け、すぐに遺跡の探索に出発した。エル・カスティーヨと呼ばれるピラミッドが、私たちを出迎えた。365段の階段は一年の日数を、四面それぞれの91段は四季を表しているという。マヤ人の天文学的知識の深さに驚かされる。
「春分と秋分の日には、蛇の形の影がピラミッドに現れるんだって」夫が興奮気味に話す。その精緻な設計に、古代マヤ人の叡智を感じずにはいられなかった。
球技場に立つと、その広大さに圧倒された。ここで行われていた儀式的な球技の勝者が生贄になったという話を聞き、古代の厳しい掟を想像して身震いした。
遺跡内を歩き回るうちに、日差しが強くなってきた。汗を拭きながら、私たちは聖なるセノーテ(天然の井戸)へと向かった。セノーテに降りる階段は湿気で滑りやすく、慎重に一歩一歩降りていった。底に着くと、涼しい空気と神秘的な雰囲気に包まれた。かつてここで行われていた人身御供の儀式を思うと、背筋が凍る思いだった。
昼食は、遺跡近くのレストランで取ることにした。
【レストラン】
ラ・チョサ・デ・チチェン・イツァ (La Choza de Chichen Itza)
住所:Carretera Merida - Cancun Km 120, 97751 Pisté, Yuc.
地元の食材を使った伝統的なユカタン料理が楽しめるレストラン。
おすすめメニュー:
• ポク・チュク(ユカタン風グリルポーク)
• ソパ・デ・リマ(ライムスープ)
午後は、天文台として使われていたカラコルや、千本柱の神殿などを見学した。夕暮れ時、エル・カスティーヨの前に立つと、沈みゆく太陽に照らされたピラミッドが黄金色に輝いていた。その姿は、まるで太陽神の化身のようだった。
夜、ホテルに戻ると、マヤ文明をテーマにしたライトアップショーが行われていた。プロジェクションマッピングで蘇る古代マヤの世界に、私たちは時を忘れて見入った。
「壮大な物語を持つ文明だったんだね」夫が感慨深げに呟いた。私も同感だった。チチェン・イツァでの一日は、私たちに時間の重みと人類の叡智を強く感じさせてくれた。
疲れた体を休めるため、早めに就寝することにした。明日はカンクンへ向かう。マヤ文明の神秘から、カリブ海の楽園へ。メキシコの多様な魅力に、改めて心躍らせながら眠りについた。
4.カンクン:カリブ海に抱かれるリゾート(4-6日目)
チチェン・イツァからバスに揺られること約3時間。窓の外の景色が次第に変わり、遠くに青い海が見えてきた時、思わず声を上げそうになった。カンクンだ。
カリブ海の透き通るようなターコイズブルーの海と、真っ白な砂浜。その光景は、まるで絵はがきから抜け出してきたかのようだった。
【宿泊先】
ル・ブラン・スパ・リゾート・カンクン (Le Blanc Spa Resort Cancun)
Adults Only All Inclusive Resort| Le Blanc Spa Resort Cancun
大人専用のオールインクルーシブリゾート。白を基調とした洗練された内装と、窓から広がるカリブ海の青のコントラストが美しい。
チェックイン後、すぐにビーチに向かった。足の下に広がる砂は想像以上に白く、細かく、そして冷たかった。波打ち際まで歩いていき、おそるおそる足を海に入れる。驚くほど透明な水に、思わず息を呑んだ。
その日の夕食は、ホテル内のレストランで楽しむことにした。
【レストラン】
ルミエール (Lumiere)
ホテル内レストラン
フランス料理をベースに、メキシコの食材を取り入れた創作料理が楽しめる。
おすすめメニュー:
• ロブスターのビスク
• 和牛フィレ肉のロッシーニ風
5日目は、カンクンを拠点にセノーテツアーに参加した。ユカタン半島特有の天然の井戸、セノーテ。地下水脈が露出した場所で、マヤ人にとっては神聖な場所だったという。
ツアーでは3つのセノーテを訪れた。最初のセノーテは地上から見える露天タイプ。2つ目は半地下型で、天井に穴が開いていて光が差し込む。最後のセノーテは完全な洞窟型で、中は暗く神秘的な雰囲気に包まれていた。
それぞれのセノーテで泳ぐ機会があったが、特に印象的だったのは洞窟型のセノーテだった。ヘッドライトをつけて泳ぐその体験は、まるで別世界に来たかのよう。透明度の高い水中では、鍾乳石がライトに照らされて幻想的に輝いていた。
「こんな体験、人生で二度とできないかもしれないね」夫が興奮気味に話す。私も同感だった。マヤ人が神聖視したというセノーテの魅力を、身をもって体感できた気がした。
6日目は、のんびりとビーチでの時間を過ごすことにした。パラソルの下で本を読んだり、シュノーケリングを楽しんだり。透明度の高い海の中では、色とりどりの熱帯魚が泳ぎ回っていた。
夕方、サンセットクルーズに参加した。
甲板に立ち、海風を感じながら沈みゆく太陽を眺める。オレンジ色に染まった空と海が溶け合う様子は、言葉では表現できないほど美しかった。
カンクンでの3日間は、まさに楽園のような時間だった。マヤ文明の神秘的な遺跡から一転、現代的なリゾートという異なる魅力を持つメキシコ。その多様性に、改めて魅了された。
明日はトゥルムへ向かう。カンクンとはまた違った魅力を持つビーチタウンだという。期待に胸を膨らませながら、私たちは最後の夜をカンクンで過ごした。
5.トゥルム:海を見下ろす遺跡と秘境ビーチ(7日目)
カンクンから車で約2時間。ユカタン半島の東海岸に位置するトゥルムに到着した。カンクンのような大規模リゾートとは一線を画す、ボヘミアンな雰囲気が漂う街だ。
【宿泊先】
アスマ・トゥルム (Azulik Tulum)
Azulik Adults Eco Resort and Maya Spa - Adults Only - Guest Reservations
自然と一体化したエコリゾート。電気を使わず、ろうそくの灯りで過ごすヴィラは、まるで別世界。
チェックイン後、まずはトゥルム遺跡へ向かった。カリブ海を見下ろす断崖に建つマヤ遺跡は、他に類を見ない美しさだ。エル・カスティーヨと呼ばれる主要な建物の前に立つと、眼下に広がる碧い海との対比に息を呑んだ。
「ここに住んでいたマヤ人は、毎日この景色を見ていたんだね」夫が感慨深げに言った。確かに、神々しいほどの美しさだ。
遺跡の下にあるビーチでは、イグアナが悠々と日光浴をしていた。古代と現在が共存する不思議な光景に、思わず笑みがこぼれる。
昼食は、トゥルム市内のレストランへ。
【レストラン】
ハルトゥン・コチーナ (Hartwood)
住所:Carretera Tulum-Boca Paila 7.6Km, 77780 Tulum, Q.R.
https://www.hartwoodtulum.com/
地元の食材にこだわった、薪火料理が特徴のレストラン。
おすすめメニュー:
• 炭火焼きのオクトパス
• ローストした根菜のサラダ
午後は、トゥルムの目玉の一つ、セノーテ・ドス・オホスへ。二つの穴(オホス)があることからこの名がついたという。地上からは小さな穴にしか見えないが、下に降りると広大な水中洞窟が広がっている。
透明度の高い水に浮かびながら上を見上げると、穴から差し込む光が神秘的な雰囲気を作り出していた。魚が泳ぐ姿も見え、まるで水中の別世界にいるかのようだった。
「こんな場所、映画の中でしか見たことなかったよ」夫が興奮気味に話す。私も同感だった。自然が作り出す芸術に、言葉を失った。
夕方は、トゥルムビーチでのんびりと過ごすことにした。カンクンとはまた違った、よりナチュラルな雰囲気のビーチだ。ヤシの木が風に揺れる中、夕日に染まる海を眺めながらカクテルを楽しんだ。
夜は、地元で人気のレストランでディナー。
【レストラン】
キチェン・テーブル・トゥルム (Kitchen Table Tulum)
住所:Carretera Tulum-Boca Paila Km 7, 77780 Tulum, Q.R.
https://www.kitchentabletulum.com/
ジャングルの中にあるオープンエアのレストラン。毎日変わるメニューが特徴。
おすすめメニュー:
• 地元の魚のセビーチェ
• ココナッツのフラン
食事を終えてホテルに戻る道中、満天の星空に目を奪われた。街灯の少ないトゥルムでは、星がこんなにも輝いて見えるのかと驚いた。
トゥルムでの一日は、自然と歴史、そして現代的なリゾートが絶妙に調和した体験だった。マヤ文明の遺跡、透明な海、神秘的なセノーテ、そして星空。メキシコの多様な魅力を、凝縮して味わえた一日だった。
明日は帰国の日。名残惜しい気持ちを抑えきれないまま、私たちは眠りについた。
6.帰路:思い出を胸に(8日目)
最終日の朝、私たちは早起きして、もう一度トゥルムのビーチへ向かった。朝日に照らされる海は、昨日見た夕日とはまた違った美しさがあった。波の音を聞きながら、静かに歩く。
「本当にあっという間だったね」夫が言った。確かに、時が経つのが早く感じられた。それだけ充実した日々だったということだろう。
朝食後、カンクン国際空港へ向かうため、トゥルムを後にした。車窓から見える景色に、名残惜しさを感じる。
空港に到着し、チェックインを済ませた後、お土産を買いに行った。カラフルなソンブレロ型のマグネット、テキーラ、マヤ文明をモチーフにしたアクセサリーなど。一つ一つの品に、この8日間の思い出が詰まっているようだった。
飛行機の窓から見えるカリブ海に別れを告げながら、私たちの8日間の旅は幕を閉じた。
7.旅を終えて:古代と現代、自然と文明の融合
この8日間で、私たちはメキシコの多様な魅力に触れることができた。メキシコシティの喧騒、チチェン・イツァの荘厳さ、カンクンの楽園のような美しさ、トゥルムのボヘミアンな雰囲気。それぞれが異なる魅力を持ち、しかし確かにメキシコという一つの国の表情だった。
特に印象に残っているのは、古代文明と現代の調和だ。テオティワカンやチチェン・イツァの遺跡を歩きながら、はるか昔のマヤ人の暮らしに思いを馳せた。そして同時に、カンクンの最新リゾートで現代の贅沢を味わう。この対比が、メキシコの魅力をより引き立てているように感じた。
自然の美しさにも圧倒された。カリブ海の透き通るようなブルー、セノーテの神秘的な世界、トゥルムの満天の星空。人工的な美しさではなく、自然が生み出す美しさに触れることで、自分たちが地球上の小さな存在であることを実感した。
食事も忘れられない思い出だ。スパイシーなタコス、新鮮なセビーチェ、そして本場のテキーラ。それぞれの味が、メキシコの歴史と文化を物語っているようだった。
この旅は、私たちに多くのものを与えてくれた。新しい視点、異文化への理解、そして何より、人生を豊かにする経験だ。メキシコの思い出は、これからの人生の中で、きっと何度も振り返ることになるだろう。そして、また新たな冒険への原動力となってくれるはずだ。
≪メキシコ旅行の基本情報≫
■入国方法
観光目的で180日以内の滞在の場合、ビザは不要。
パスポートの残存有効期間は、入国時から6ヶ月以上必要。
■現地での移動手段
メキシコシティ:地下鉄、バス、タクシー(Uberも利用可)が便利。
ユカタン半島:レンタカー、バス、タクシーが一般的。観光地間の移動にはADOバスがおすすめ。
■通貨
メキシコペソ(MXN)
■チップ
レストランでは請求額の10-15%が一般的。
ホテルのベルボーイには1袋につき20-50ペソ程度。
タクシーではチップは不要だが、小額を渡すこともある。
■その他
• 水道水は飲まない方が安全。ミネラルウォーターを購入しよう。
• 日差しが強いので、日焼け止めは必須。
• 治安は地域によって異なるので、現地の最新情報を確認しよう。
• スペイン語が主流だが、観光地では英語も通じる場合が多い。
• 電圧は127V、プラグはAタイプ(日本と同じ)。
• 時差は日本より14時間遅れ(サマータイム期間は15時間遅れ)。
※この記事は筆者の主観に基づいて作成されています。旅行前に最新の情報を確認することをおすすめします。