しゃべるのが苦手な人のための職場の雑談入門 5.NGな雑談
職場のコミュニケーションの中でやってはいけないこと、避けるべきことがいくつかある。
特に職場で自分が雑談できるようになってきたと感じたら、NGなことを意識せずにやっていないか振り返ってみよう。
特定のグループとだけの会話
はじめのうちは話しやすい人や自分に話しかけてくれる人を中心にコミュニケーションをしていくことは全く問題ない。
ただし職場に長く在籍するようになれば、特定の人やグループだけと会話をしてそれ以外の人とは会話しない、ということは避けよう。度が過ぎると社内派閥のひとりと思われてしまう。理想的には業務で関わりのある人に対して、できるだけ同じ頻度で会話を行いたい。
もちろん、ウマが合う・合わないがあり、話しかけやすい・話しかけづらい人がいて、年次や役職がはるかに上の人に対して同期と同じように接することはできない。すべての人に対しては無理でも、年次の違う人でも、本社でも現場でも事務でも、一人でも多くの人と友好的な関係性を築くことを目指していこう。
距離感が近すぎると思われないために
過ぎたるは猶及ばざるが如し。親しみを感じて積極的にコミュニケーションをとっているつもりが、逆に相手から距離感が近すぎると思われてしまうとかえって仕事が円滑に進まない可能性がある。
距離感を誤るケースは自覚せず陥ってしまうことが多い。
予防のためにも1回の雑談は手短に切り上げる。相手が話しにのってこない限り、こちらからの単なる雑談は1分を目安に、どんなに長くても5分で切り上げる。
雑談する回数は多少増えても構わない。
また前述の内容とも被るが、特定のメンバーとだけ長時間雑談をしていると相手から距離感が近すぎると感じられるおそれがある。特に年下や異性との雑談で自分ばかりが長時間話しているというケースは黄信号だ。
してはいけない雑談
以下の内容は雑談で扱ってはいけない。相手との関係性を悪化させたり、業務の円滑化の目的が達成されない可能性がある。
対立を生む政治や社会問題
時事ニュースの中でも政治や社会問題を話題にするのは慎重になろう。現政権を支持するか、ある社会政策に賛成か、国際問題、ジェンダー論、環境問題、貧困課題、こういった話題は対立を生みやすく、また、わかりあえることは少ない。
対立を生みやすい話題は「業務を円滑にするための雑談」としては適切な話題ではない。相手から話題を振られない限りは避けておくべきだろう。
職務上でこのような議論が必要であれば、雑談ベースではなく業務ベースで行おう。
多すぎる愚痴や不満
愚痴や不満は共感を呼びやすい話題であるがゆえに雑談のテーマとして使いやすい。しかし愚痴や不満ばかりを話題に頼ると不満や愚痴ばかりいう人になってしまい、相手にあまり良い印象を持たれない。愚痴や不満は多用しないように。
とは言いつつ、どんなに気を付けていても愚痴や不満は勝手に口から出てきてしまうものだ。愚痴や不満は相手を選びつつ、慎重に、節度をもって言うべきものだということを心がけよう。
類似案件として自分の仕事論を語ってしまうこともある。年を重ねると体質上の問題でどうしても年下に仕事論を語りたくなってしまう。
若い皆さんは懇親会で上司から熱い仕事論を拝聴する機会があれば、どうか中高年の抱える生活習慣病の一種だと思っていただき、自分がそうならないように気を付けてほしい。
長い自分語り
若いうちはどんどん自分のことをしゃべって構わない。まわりから窘められるくらいでいいだろう。
年齢を重ねるごとに自分の過去の偉功を話すのは減らしていこう。もはやたしなめる人は誰もおらず、周りのうんざりした視線があるだけだ。これは私自身への戒めでもある。
高尚な話
高学歴な人ほど陥りやすい罠なのだが、自分をよく見せようとして、自分の知識の命一杯を動員して雑談の話題をふるのはかえって幼稚にみえてしまう。
こういった話は、あなたくらいレベルの高い友人どうしてすれば非常に楽しく知的好奇心を満たせるだろうが、残念ながら職場は近代ヨーロッパのサロンではない。
雑談は相手が打ち返しやすいボールを投げることができるからこそ成立する。そのためには相手と自分の両方が分かる内容を選ばなければならない。
あなたの優秀さや博識さは自分をよくみせるために使うのではなく、相手と同じ目線に立つために使おう。
デリケートな話題
当たり前だがデリケートな話題は避ける。相手のプライベートに踏み込んだ質問、下ネタ、社内の誰かを貶める内容は慎む。
特に下ネタは人によってどこまでを許容するかNGと感じるかは感性による。以下のどれが問題ない話題でどれが問題ある話題だと感じるだろうか。
すべて問題ないと感じる人が結構いる一方で、いくつかは品位のない話だと感じる人がいるラインのものを集めたつもりだ。
こればかりはそれぞれの感性と相手との関係性による。線引きが難しい。
下ネタは年齢を重ねるごとに自分の許容範囲は広がっていくのに、相手から許容される範囲は狭くなっていくというのが私の持論だ。
基本的には自分からは言わないのが吉だ。