米ニューズ戦略担当上級社長が語るFacebookとのつきあい方、そしてニュース配信におけるメッセンジャーの重要性
(写真: Raju Narisetti, Wikipedia, https://en.wikipedia.org/wiki/Raju_Narisetti)
デジタルジャーナリズム・フォーラム2016に参加してきました。
最初のキーノートは米ニューズ・コーポレーション戦略担当上級社長ラジュ・ナリセティ (Raju Narisetti) さんにニューズピックス取締役NewsPicks編集長の佐々木紀彦さんがインタビューするという形式のセッション「モバイル時代のメディアをどう創造するか」です。
【まとめ】
ニュースの競争が激化していくなかで、フェイスブックやスナップチャットといったソーシャルプレイヤーにどんなポリシーで付き合っていくのかについての明確なポリシー、複数の収益源を持つべしという強い覚悟と多くの実験の実施、グローバルでコンテンツを届ける視点としての買収はプロジェクト展開、そしてメッセンジャーという新たなプラットフォームへの期待、という点が非常に興味深かったです。ニューズの戦略のスケール感を感じるセッションでした。
【ポイント】
ラジュさんは、キャリアの27年間をニュースに関わってきました。自らインド第2位の新聞を立ち上げこともある起業家マインドがあるメディアマン。いま仕事の60%は成長の可能性を見つけるにあり、世界中で様々なプロジェクトを立ち上げたり、企業買収をしたりしています。そしてニュースの消費者は過去もっとも多く、ビジネスモデルには大きな問題を抱えているが、明るい未来が待っていると力強く言い切ります。
・ニュースの収益源は複数であるべきで、広告、課金、トランザクション、イベントなどがありうる。
・課金についてはやるかやらないかの議論ではなくやるのであって、論点はどうしたら課金できるか、何に課金をするかということ。課金サービスが増えたため、ユーザー側の目線に経つと、複数、例えば10個の課金サービスに都度加入は面倒くさすぎる。今後はコンテンツバンドル課金は一回になる。
・いま注目するビジネスモデルとして、真っ先にグーグルとフェイスブックをあげつつ、ネットフリックス、ゲーム、メッセンジャーもあげていました。一方バズフィードのような急成長メディアは収益が見えていないところもあり、収益モデルをきちんと作ることが大切であるとも。
・分散型コンテンツにもふれ、グーグルやフェイスブック、そしてスナップチャットにコンテンツを出す意味は、自分たちの記事のオーディエンスがいるからとしました。ただし自分たちの課金における購読モデルを助ける意味がなければ、彼らにコンテンツを出す意味は無いし、広告モデルで視聴者データを活用したライバルになるのなら提供はできない。
・あまり日本で知られていない面白い事例もあげていました。ラテンアメリカ、インドにおけるメッセンジャーの重要性です。この地域の読者とってはインターネットがメッセンジャーになっており、メッセンジャーで情報収集をしたりコミュニケーションをとったりしている。そのため、この地域ではニュースをメッセンジャーに載せねば届かないということにある。村人が入っているメッセンジャーのグループにどうニュースを届けるかを考えるというのが大事だったりする。
・ニュースにおいては、オーディエンス、イノベーション、スピードが大切として、セッションが終わりました。