顧客を待たせすぎない

サステナブルな素材による完全防水スニーカーで知られる同社は、3カ月前からマーケティング費を削減し、8月末、ついに支出をゼロにした。その目的は生産能力の拡大と在庫補充への注力にある。生産能力を消費者需要に応えられるまでに増強することが先決であり、マーケティング活動の具体的な再開時期は未定だ。

顧客は待ってくれている。新規顧客を開拓する前に目の前の需要に応えることを優先した。

D2Cでは生産能力拡大と広告支出の適切なバランスが求められるが、多くのブランドは需要側にフォーカスし、供給側を疎かにしがちである。

広告で期待値を高めるだけ高めておいて、手に入るのはものすごい先となったときに、消費者は待ってくれるほど悠長ではないということを忘れがちになる、とも言えるわけだ。

良いものを創る、作る、そして売る。知ってもらうことは重要だ。世界観を作ることも大事である。そして少し待たせて焦らすことも時には大切だろう。しかし、あまりに無計画と思わせるほど待たせるのは得策ではない。


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