「Summer of 85」を観ました
映画鑑賞備忘録です。
2021年9本目は「Summer of 85」。
1985年のフランスを舞台に、16歳のアレックスが経験した18歳のダヴィドとのひと夏の恋愛を描いた青春映画。
別の映画を観た時に上記の予告が流れて、前半から後半の落差に思わず「お、愛憎渦巻くサスペンスか?」とワクワクしたので観てきたのですが、愛憎こそ若干渦巻いたものの、青く刹那的で爽やかなラブストーリーでした。
ストーリーはアレックスが乗るヨットの転覆をきっかけにダヴィドと出会うところから始まります。このダヴィドが非常にチャラいんですよ。出会ったその日に俺たち友達だよな!って言ってくるわ、母親が経営する店で働かないか!って誘ってくるわで、もう距離の詰め方がエグいのなんの。しかし、アレックスにとってダヴィドは溺れそうなところを颯爽と助けてくれた恩人であり、ついでに顔も体も良いもので、ついトキメキを感じてしまうわけです。
2人は恋仲に発展するわけですが、お互いの心のすれ違いによって関係は僅か2ヶ月で終わりを迎えてしまうばかりか、ダヴィドは事故によって帰らぬ人となってしまいます。アレックスは愛する人との別れに向き合うため、共に交わした誓いである「どちらかが先に死んだら、相手の墓の上で踊る」を実行しようと情動に任せて行動していく……という感じです。原作小説のタイトルが「おれの墓で踊れ」で、どういうこと??と思いましたが、そういうことでした。
本作は少年同士の恋愛物語ですが、ごく自然発生的な恋愛として描かれてています。マイノリティ故の苦悩みたいなポイントはそこまで押し出されておらず、一貫して”アレックスが悲しみを乗り越え、成長していく様”がシンプルに分かる内容でした。中盤以降はアレックスの暴走っぶりが目立ち、展開の割に話のトーンがそこまで重くならず、テンポよく進んでいくので観やすかったです。希望を感じさせる爽やかなラストシーンが印象的でした。
中盤から登場するケイトが良いキャラクターでしたね。彼女の登場はアレックスとダヴィドが仲違いするきっかけともなってしまうわけですが、ダヴィドの死後は良き理解者としてストーリーに関わります。彼女が意気消沈するアレックスに放つセリフも良かったですね。
6週間の少年同士の淡い恋物語といえば、「君の名前で僕を呼んで」を想起させます。日本でもここ最近はBL漫画原作のドラマや映画が乱立していますが、海外でもヒット作の影響で同様のテーマを扱う作品が増えたりしているのでしょうか。