繊維の種類27:カシミアについて
おはようございます。
今朝はまた結構寒いねと思ったら1℃…。今年もあと一週間で終わる年の瀬、冬も深まればこんなものかと耐えるしかない。
布の素材として、動物繊維の種類を毛繊維、絹繊維、羽毛繊維それぞれに分けて、まずウールを見てきたが、今日からウール以外の毛繊維を見ていきたい。今日はウールの次にポピュラーなカシミアを見ていこう。
動物の種類
ヒマラヤ地方原産のカシミヤ山羊から取れた動物繊維(獣毛)で名前はインドの北部高山地帯のカシミール(Kashmir)地方の古い綴りに因む。シルクロードを経てローマに運ばれてこの名が起こったとされる。
カシミヤは標高の高い山地に生息しているため、自分の身を守る為に保温性の高い毛を身につけている。
特徴
カシミア山羊は1頭当たりの産毛量が少なく、軽い、手触りがよい、暖かいという特徴を有する。その高価さもあいまって「繊維の宝石」とも呼ばれる。
カシミア山羊のうぶ毛は、表皮と皮質層からなり、ウールと同じように表面をスケールが覆っている。1本の繊維は中央が太く、毛根と毛先の両端に向かって細くなっている。毛は細くて非常に柔らかく、手触りがなめらか。長さは38~90ミリ、スケールは羊毛の約半分で美しい光沢がある。
物理的性質では、羊毛と比較すると強力はほぼ同じだが、伸度がはるかに大きい。化学的性質では、羊毛よりも繊度が細かく湿潤性が高い。
カシミアの原毛は、色によってホワイト、ライトグレー、ブラウン、ライトフォーンに分けられる。
品質は、毛の細さ、白さ、長さが基準となる。細いほどしなやかな光沢がでて、肌ざわりも柔らかい。白ければ漂白が不要で傷みが少なく、きれいな染色が可能である。毛が長いと、紡績中にほどけて糸が切れたり、抜け毛で毛玉になるのを防ぐことができる。
生産
カシミアヤギの表面は全身剛毛(刺毛)で覆われていて、その下に柔らかいウール(うぶ毛)がある。刺毛は表皮、皮質層、髄からなるが、カシミアヤギの刺毛の髄は毛根部と先端部にはなく部分的に存在し特異な構造になっている。ウールの採毛は5月から6月に熊手状の器具などで行われるが、時期が遅れると品質や量が低下してしまう。この繊維から、油脂、ほこりと剛毛を取り除くと、製品としてのカシミアができる。山羊1頭あたり500gの繊維が、最少で150g程度となり、セーターを作るにはヤギ約4頭分の毛が必要となる。
産地
カシミア山羊は主に中国、モンゴル、イランなどの山岳地帯に生育する。未精製のカシミア繊維の最大の生産国は中国で、採取量は1年あたり約10,000トンと推定される。モンゴルは3,000トン以上、他の生産国はインド、パキスタン、イラン、アフガニスタン、トルコと中央アジア諸国である。これらの地域では、カシミアは重要な輸出品となっている。
一方で肌触りの良さと希少性から高級素材として人気が高いが、識別方法の難しさから羊毛などを混ぜる偽装が後を絶たず、「流通量は生産量の4倍」とも言われている。
用途・素材
このように、保温性が高く手触りが良いが生産量が少ないため、羊毛に比べかなり高価で、高級ニット糸として扱われる。セーター、マフラー、帽子、手袋、ソックス、コート、ジャケット、パンツ、パジャマ、スカーフ、毛布などに用いられる。日本の家庭用品品質表示法上の表記はカシミヤ。高価な素材のため、羊毛や化学繊維と混紡して使用することもある。日本で買う場合は名前の通ったメーカーやブランドから買えば偽装されたものを手にするリスクはない。
一方でコートやジャケットなどある程度しっかりした縫製で長く使うものに関してはカシミアは柔らかすぎて、肘などに当たりが出たり伸びたり型崩れの要因にもなる。このため、耐久性を考慮して意図的にウールを数十%混ぜることもある。
今日みたいな寒い日にぬくぬくあったまりたい素材の一つ。クリスマスも近いしあったかいニットを自分に(もちろん他の誰かからでも)プレゼントしてもいいかもしれない。
明日からは、キャメルを見ていこう。
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僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。
皆様も、良い一日を。