見出し画像

Julio Le Parc 2nd phase@Ginza Maison Hermes【アート】

今日は、以前にも投稿したHermes銀座のファサードに関してアップデート。

この店舗をデザインしたのは、イタリア人建築家のRenzo Piano。フランスはパリのポンピドゥセンターや関西空港の内部をデザインし、建築家のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞した、いわゆる巨匠だ。

そんな彼の作品である、この店舗は45cm四方のガラスブロックを約15,000個使用した8階建てのこのビルは、そのエクステリアから夜になるとテンポの光が外に漏れランタンの様に銀座に優しく明るく灯る(ガラスだけの外装で耐震性が気になる所だが、五重塔を参考にしてもちろん基準をクリアしている)。特にすぐ隣に建っていたSONYビルが2018年に解体されるとより存在感を強まり、クリスマスの際にクリスマスにまつわるモチーフをファサードに映し出すなどのアニメーションを行ったこともあった。

画像6

Hermes ホームページより

Les Couleurs en Jeu by Julio Le Parc
「ル・パルクの色 遊びと企て」
ジュリオ・ル・パルク展

今回は光ではなく、ガラスブロックをマス目として捉えてそこに幾何学模様を映し出した。今8階で開催しているJulio Le Parcの作品はまさに方眼紙のベースになる1番小さなマス目に原色を乗せていく方法で作られ、ガラスブロックを方眼紙に見立てれば親和性は極めて高く、今回のようなファサード・アニメーションはそのオマージュであり再現に他ならない。
今回8/13~11/30までと3ヶ月半に渡る長い会期の中で、このファサードは1週間程の差し替え期間を挟んで10/30より2nd Phaseへ切り替えられた。

まずは復習のため、以前のものを。

画像5

前回の記事:Julio Le Parc@Ginza Maison Hermes【アート】

そしてこちらが新たに刷新されたファサード、《シリーズ14-2 分割された円 》
展示を見ればデザインワークとしてノート上で構築されたデザインと色合いがそのまま力強い原色のバランス・配置で見事に再現されている。

前回もこのファサード作成中に業者の方にお話を聞くことが出来たけど、貼ってる本人は全体像が分からないので、『作業員がゴンドラに乗って張り付けながら下でバランスを見ながら指示を出す』というのを繰り返されていて大変そうだった。中心部だけだった前回と比べて、全面を使った構図への張り替え、業者さんかなりご苦労されたんだろうなぁ。

でもその分見応えも十分。

画像1

画像2

10/24の制作過程の写真↓

画像4

今回この2nd Phaseで気付いたことが2つ。
ひとつ目が、このHermes銀座が2001年竣工と今年で20周年であること。そしてふたつ目が、お隣のSONYビル跡地で工事が10/1から始まったこと。
この20周年の節目に、この美しいガラス仕立てのファサードにピッタリな展示を行うにつけ、見事なキュレーションである事は言うまでもない。それに加えて、このタイミングでSONYビルが無くなって数寄屋橋交差点からこれほど見やすくなった巡り合わせを思うと、偶然だった可能性も高いが胸に込み上げるものがある。

この工事は実験的な公園としてGinza Sony Parkとして2024年に新たなに生まれ変わるようだ。
Ginza SONY Park

現時点ではParkとは言いながらも縦にそれなりに高い箱が立つ様なのでこうしてRenzo様の作品が楽しめるのもそう長くはないようだ。残念といえば残念だけど、むしろこの機会があったこと、コロナで建築予定が後ろ倒しになったんじゃないかという憶測を以って、十分に有り難いことだったんじゃないかと思えてくる。

画像3

東京は、もしかしたら日本は、かもしれないが地震のせいもあって古い建物が残りにくく街並みが2,30年の周期でどんどん変わっていく街だ。その宿命にあって今の街並みを楽しみながら、こうやって記録しておくことは、例えば2024年に振り返ってみても面白いんじゃないかな。

皆さんの、明日から始まる一週間が、コロナが明けて外に出ていける喜びと共に日常の中で変わっていく風景を楽しめる、そんな一週間になります様に。




いいなと思ったら応援しよう!