陶磁器12:日本の焼き物(栃木県:益子焼)
おはようございます。
今日は明け方にパラっと降った様でベランダの植物たちが朝露に濡れていて、それが雲間から溢れる朝日に柔らかく照らされて綺麗な朝。気温も穏やかで夏の終わりを実感する。もう秋だ。
さて、日本各地の焼き物の名産地をピックアップしたところで、具体的に1つずつ見ていこう。
3回目の今日は、栃木県の益子焼。
益子焼(陶器)
益子焼は、栃木県芳賀郡益子町周辺で作られている陶器。ケイ酸や鉄分が多く、可塑性(変形しやすい性質)に富む陶土を用いるため、形を作りやすく耐火性も高い。
益子焼の特徴は、陶土に他の物質を加えないことから厚みのある焼き物に仕上がること。重さや割れやすいことが欠点とされることもあるが、手に馴染みやすい益子焼ならではの魅力ともいえる。
益子焼の釉薬には石材粉や古鉄粉が使われ、犬筆を用いて色付けが行なわれ、重厚感のある色合いとなるとともに、ぼってりとした見栄えになる。
益子の陶土は釉薬がのりやすいことから、白化粧や刷毛目といった様々な伝統的な技法により、独特の味わいのある力強い作品が生み出されている。
歴史
益子焼が生まれたのは江戸時代の末期。嘉永6年(1853年)にお隣茨城県中部の笠間市にあたる常陸国笠間藩で修業した大塚啓三郎が、現在の益子町の根古屋に築いたことが始まりとされている。藩の援助を受けて水がめや壺といった日用品として作られ、江戸でも使われた。
さらに昭和時代に入ると、益子に定住した濱田庄司により花器や食卓用品などが作られるようになる。「用の美」を追求した民芸品を製作したことから、民衆の日常生活で使われる芸術品としても認められるようになっている。
濱田庄司の思想が多くの若い陶芸家に影響を与えたことから現在の益子焼として発展、昭和26年(1951年)に現在の益子焼協同組合の前身となる栃木県陶磁器製土工業組合が発足し、翌年には栃木県陶磁器協同組合に名称変更した。
昭和54年(1979年)には、国の伝統工芸品に指定されています。益子は毎年春と秋に陶器市が開かれる焼き物の生産地として発展を遂げている。
地理
栃木県南東部に位置する益子町は、宇都宮から見れば南西、真岡市のすぐ右隣に位置する。こちらでも小貝川という、細い川ではあるけれど鬼怒川に並行する形でそのまま南に走り利根川と合流する川が走っている。
今では県を跨ぐが、明日見ていく茨城県の笠間とはひと沢超えた向こう側、という距離感で車で1時間とかからない。
益子の陶器市の際も笠間との姉妹都市(行政上ではなく焼物の産地として)のような関係性を窺わせる資料やのぼりなどもみられ「かさましこ」なる言葉を目にすることもあった。
2022年のGWに益子と笠間の焼物市を訪れた際の記録をご興味があれば、こちらでご覧いただけます。笠間の旅、から益子へ
作り方
陶土採掘 益子焼に使用する陶土の採掘では、適度な可塑性がある土が求められる。粘り気が強すぎるものも、弱すぎものも適さず、乾燥時の割れや素焼きの際に形が崩れることの要因となる。このため、採掘する陶土の質は作品の出来を大きく左右する。
すいひ 採掘した陶土を益子焼に使えるものに精製する工程。陶土を乾燥させて砕いた後、水槽に入れて攪拌し浮いてきたゴミや砂などの異物を取り除く。別の槽に移して沈殿させた後、再び乾燥させる。
土もみ 陶土をもむことでゴミや空気を取り除くとともに土の均一化を図り、ロクロの上で伸びやすく成型しやすく扱いやすい土になる。もんでいるときの陶土の形が菊に見えることから「菊もみ」と呼ばれ、粗もみと小もみを繰り返していく。土の状態によっては、2種類以上を練り合わせることで短所を補完する。土もみの後は数日間寝かせ、陶土を安定させる。
成形 益子焼ではロクロを使って成形を行なうことが主流。ロクロで成形した後一旦天日で適度な固さになるまで乾燥させ、その後再びロクロを用いて削り作業によって形を整えて仕上げていく。仕上げ作業が終わった作品は、天気の良い日に充分に乾くまで野天で干すと成形の工程が完了となる。
ロクロを使わずに石膏を用いて型抜きにする型成形や板状にした陶土をもちいるたたら成形による作品も作られている。素焼き 素焼きは絵具や釉薬を吸うことで乾いた陶土が弱くなることを防ぎ、強度を高めて破損を防ぐ目的で行う。素焼きを行なうことによって、絵具や釉薬の吸収をよくする効果もある。
素焼きは本焼きと同じ窯を用いることが多く、焼く温度は700~800℃と低温。乾燥が不十分な場合は割れやひび割れが起きることがある。絵付・釉掛け 益子焼に使われる絵具や釉薬には、鉄や銅、マンガンやコバルト、クロームといった金属類が含まれていることから高温で焼くことで化学変化を起こす。
益子焼に用いられる釉薬は、長石質に木炭や石炭、磁土を加えた透明な釉薬がベース。使われる釉薬は主に5種類あり、天然の赤粉や黄土を加えた柿釉や黒釉、藁灰や木灰、糠灰などを加えた糠白釉を使い分けることによって、味わいのある作品となっています。
作品によっては絵付を行なった後、益子焼では犬筆を用いた塗り掛けといわれる方法で釉薬をかけていく。焼成・窯出し 釉掛けの後、焼成といわれる、釜で1,200~1,300℃の高温で2昼夜から3昼夜かけて焼く工程。
素焼きに対して本焼きともいわれる。焼成には従来薪が用いられてきましたが最近ではガス釜が使われることが多い。酸化焼成という酸素量を多くする方法と酸素を一定時間減らす還元焼成では焼き上がりが変わる。焼成の後2日程冷ましてから釜出しを行う。
*上記の情報は以下のリンクからまとめています。
https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/list/?category=4
僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。
皆様も、良い一日を。