繊維の種類25:ウールのメリット
おはようございます。
今朝は曇りで2℃、陽射しもないせいか日中も10℃に届かず寒い一日になりそう。
布の素材として、動物繊維の種類を毛繊維、絹繊維、羽毛繊維それぞれに分けて、まずウールを見ている。様々な種類などを確認してきたところで、今日はウールのメリットを見ていこう。
ウールがもたらすメリットの元となる構造
ウールが他の繊維と異なる特長の一つは、その表皮がスケールと呼ばれるうろこ状のもので覆われていること。このスケールのため、繊維と繊維が絡み合い糸になってから繊維がすべり抜け落ちにくくなっている。
またスケールで保護されているため、繊維が強く光沢があり、さらに水はじきが良いといった利点もある。
さらにウールには天然の縮れ(クリンプ)があるが、このクリンプのおかげで弾力に富み、空気を含み暖かくなる。
こうしたウールは天然素材が持つ構造とそれに基づく性能に恵まれている。より詳しくメリットを確認していこう。
高い保温性・伸縮性
クリンプと呼ばれる縮れがあり、その部分にたくさん空気を含みながら毛が絡み合っているため、優れた保温性と伸縮性を持ち合わせている。特に湿気を吸うと伸びやすく、乾く時に縮れやすい、という特徴がある。
高い吸湿性・通気性
ウールには、空気中の湿気を吸収する作用もある。その水分を蒸発させる際に気化熱(周囲から吸収する熱)を奪うため、湿気が多い時期でも湿った感じがない。このため、冬の素材という認識も強いけれど、実は冬は暖かく夏は涼しいという特徴がある。また、このお陰で移った臭いを放散しやすく、風にさらすことなどで脱臭できる。
シワがつきにくい
ウールは弾力性が高く、そして記憶形状性があることからシワや型崩れがしにくい素材。万が一シワになっても蒸気を当てることですぐ元に戻りになる。コットンなどはシワが気になって着れない、ということはあってもウールではそれが起こらないのはこれが理由。
汚れがつきにくい
ウールは適度な油分を含んでいることで撥水性にも優れており、汚れがつきにくい点も大きな特徴。特に水溶性の汚れに強く、雨や泥汚れなどを効果的に防いでくれる。また汚れが付着してもブラッシング等で除去しやすいため野外での着用(アウターでの使用)に適している。
静電気を防ぐ
保水率が高いウールには、帯電しにくいという性質がある(0ではないけれど)。そのため、冬に発生しやすい静電気を防ぐうえ、ホコリやゴミがつきにくい点も魅力。
色落ちや色褪せしづらい
ウールは染色性が高く、どのような色にも染めやすいという特徴もある。また同時に一度染めた色が浸透すれば色落ちや色褪せを起こしづらいため、きれいなカラーが長く楽しめる。
高い難燃性
繊維中に多くの窒素(約16%)や水分(約15%)を含んでいるため、燃えにくい。
こうした要因もあって、ウールの発火温度は高く燃焼熱が低く、着火しても燃え広がりにくい。また、火元から離れると燃え止まり溶解せず炭化するため、ひどいやけどを負う危険性も低く有毒ガスも発生しない。こうした、ウールの燃えにくい性質は、航空機の機内カーペットや消防士の制服、ホテルや旅館のロビーや廊下など幅広い分野で活用されている。
自然汚染の原因になりにくい
天然素材であるウールは土壌に存在する微生物によって分解されて土に還るため、自然汚染の原因になりにくいと言われている。ウール素材の製品を使うことは環境保護の一環にも繋がるのだ。
こうして見ると、これらを総合して丈夫で劣化しにくく長く使えることも嬉しいメリットと言えるだろう。改めてウールは生活に取り入れるのに魅力的な素材だということが分かる。
明日は、念のためウールのデメリットを見ていこう。
こちらの文章は以下のリンクを参考文献として使用しています。
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