繊維の種類29:アルパカについて

Merry Christmas!
クリスマス当日を迎えると、1年もこの日を含めて後1週間。いよいよ2024年も大詰め。

布の素材として、動物繊維の種類を毛繊維、絹繊維、羽毛繊維それぞれに分けて、まず毛繊維からウール、カシミア、キャメルを見てきたが、今日はアルパカを見ていこう。

動物の種類

アルパカは、南米のペルーの山地に生息する南アメリカ大陸原産の家畜の一種で、ラクダ科のビクーニャ属またはラマ属に属する。ラクダ科だがコブはなく、垂直に伸びる長い首を持つのが特徴。
南米古来の動物で毛を用いるのは、ビクーニャおよびアルパカ、ラマおよびグアナコの4種である。ビクーニャとアルパカはいずれも毛が重要視されるが、アルパカの場合、毛の品質と量の点で優れており、ビクーニャは柔らかさ、きめ細かさ、希少さと高品質の点で珍重されている。グアナコの毛はビクーニャより若干劣るが、量はやや多い。

同じアンデス地方で飼われている家畜であるラマが主に荷役に用いられるのに対して、アルパカはもっぱら体毛を利用する。アルパカは毛を利用するために品種改良された家畜であり、その毛は今日でも広く利用されている。
因みに体格ではラマに劣るがラマより味が良いため、ペルーなどでは食肉としても利用される。

繊維の表面はきわめて平滑でスケールは少ない。クリンプもほどんど無く手触りが滑らか。太さは0.3~0.35ミリぐらいで長さは10~23センチ、時には40センチに到達するものもある。
極めて良質な体毛を具えており、その毛でインディオ伝統のマントやポンチョ、そのほかのさまざまな衣類を作り、自分達で着たり輸出したりしている。

産地

南アメリカ大陸の、特にペルー南部、また、それに接するボリビア、アルゼンチン北部の、海抜およそ3500–5000メートルのアンデス湿潤高原地帯で放牧されている。アンデス地方では、アルパカはインカ帝国時代より、家畜として飼育されていた。現在はアメリカやヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドでも飼育されている。

特徴

アルパカの毛は、繊維の一本一本がストローのように空洞になっているので、暖かい空気を溜めこんで高い防寒性能を発揮する。
冬の寒さをしのぐために、アルパカの毛はとても貴重で「アンデスの宝石」と讃えられる。
同じ高地に生息する動物の高級素材であるカシミアと比べてみると、空気を含むため、より温かく汚れにくく毛玉ができにくく丈夫で長持ちする特徴がある。一方でカシミアは毛がとても細いため、とても軽く柔らかくシルクのような光沢がある、また生産量も多く価格も抑えられてきている。

アルパカの毛の種類は「ワカイヤ(Huacaya)」と「スリ(Suri)」の2種類がある。「ワカイヤ」はふわふわでもこもこしている毛で、「スリ」はさらさら、少しドレッドヘアのようにツイストしている。市場に出回るのは殆ど「ワカイヤ」。
また同じラクダ科のキャメル同様色で脱色・染色ができないため、色のあるアルパカは飼育を敬遠される傾向にあり、絶滅のおそれが指摘されている。

また、生地としての最高級品質は生まれて初めて刈り取ったアルパカの毛で作ったもので「ベビーアルパカ」と称される。しかし、ベビーアルパカと呼ばれるものの実は大人のアルパカからも全体のおよそ10%前後採取できる。一般的にアルパカは大人になるにつれて毛は少しずつ太くなる傾向にあり、赤ちゃんの毛からたくさん採取できるのでベビーと呼ばれる様になったが、細い毛のままの個体からも一定数取れるというわけだ。このベビーアルパカの中でも繊維が20ミクロンm以下の細さのものは(ワカイヤ種の)アルパカ毛の中で最も高価なものとして「ロイヤルベビーアルパカ」(スーパーベビーアルパカ)と言われる。
肌ざわり、柔らかさはアルパカ毛のなかで群を抜いており、世界中で人気素材となっているアルパカのなかでも、もっとも手に入りにくいランクとされている。

生産

アルパカの毛は刈り取るまで伸び続けるため、定期的に刈り取る。約2年間くらい切らずに放置しておくと地面に届くほどに伸長する。
1回の採毛量は3 kgほどで、隔年に刈り取る。1頭のアルパカからの刈り取りは生涯で3–4回ほどに過ぎない。部位別に見ると背中の毛が価値が高く、腹、脚と地面に近くなるにつれ価値が下がっていく。
ロイヤルベビーアルパカは、アルパカの背中や首もとから採取できます。

せっかくのクリスマスイヴなので、あったかいニットを着て過ごしたいもの。くれぐれも風邪などには注意して(インフルエンザでなくとも風邪でも流行りのものはかなりしんどいので)楽しいイヴをお過ごしください。

明日は、高級素材のビクーニャを見ていこう。


こちらの文章は以下のリンクを参考文献として使用しています。


僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。

皆様も、良い一日を。

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