繊維の種類37:羽毛繊維
おはようございます。
今朝もなかなかの冷え込みの中、今日の夜からぐっと冷え込むみたいなので、温かくしながら明日に備えたいですね。
さて、布の素材として動物繊維の種類を毛繊維、絹繊維、羽毛繊維それぞれに分けて、今日は最後の羽毛繊維を見ていこう。
動物の種類
羽毛繊維とは、カモ、アヒル、ガチョウなどに代表される水鳥の体表から採取した毛羽のこと。これらは一見他の繊維とは異なる形状をしていて、ここから糸や生地を作り出すことはできないので繊維として捉えにくいが、分類上は動物繊維の中の羽毛繊維に分類される。
この羽毛繊維にさらにダウンとフェザーは分類される。
体表に生えており主に胸元部分から採取されるものがダウン(ダウンの羽軸から離れた羽枝はダウンファイバー)、そのダウンを覆うように生えているフェザー(フェザーの羽軸から離れた羽枝はフェザーファイバーと呼ばれる)に分かれている。
ダウンとフェザーの違い
ダウンは水鳥の胸部分から少量しか採取できない羽毛。タンポポの綿毛のような形状をしており、ダウンボールと呼ばれることも。空気を多く含むことから軽量で保温効果があるところが特徴。一般的に体の大きい水鳥のほうが大きなダウンを採取することができ、性能面においても高品質となるので高価になる。
一方フェザーは羽根そのものの形状をしている。ダウンを覆うようにして生えているフェザーを特にスモールフェザーと呼び、柔らかく弾力性があり通気性に優れている。羽根に生えているフェザーは少し硬いため敷布団や枕の詰め物に使用され、スモールファイバーはダウンと混ぜて使われる。
ダウンとフェザーはそれぞれ形状も異なり、同じ羽毛繊維でも特徴が異なり、それぞれの特性を活かすために混合して使用される場合が一般的(混率としてはダウン90%、フェザー10%の組み合わせが多い)。
産地
羽毛の主な産地は、北半球に位置するヨーロッパやロシア、カナダ、中国など。
ポーランドやハンガリーなどヨーロッパの高緯度地域:ハンガリーやポーランド、アイスランドやフランス・ドイツなどでも羽毛を採取する水鳥が飼育されている。寒さから身を守るために保温性が高く良質な羽毛を備えている。ハンガリーやポーランドの羽毛が特に有名で、国家事業として羽毛の品質改良に取り組んできたため、特に秀でていて人気がある。
中国・台湾:ダックの羽毛の産地として有名で、グースの羽毛と比べて安価。特に中国は、世界最大の羽毛の産地ともいわれています。
ロシアやカナダ:高緯度で特に寒い地域。これらの地域に生息する水鳥は寒さから身を守るため、保湿性の高い羽毛を備えるのが特徴。
水鳥のカモ、家鴨(ダック)、ガチョウ(グース)の羽毛が使用されている。
北極圏のみに生息するアイダーという野生の鴨のダウンなども、希少価値の羽毛として超高級用品にわずかな数量が使われている。
グースは美味な肉と肝臓(フォアグラ)を採るために飼育され、羽毛はどちらかというと副産物。また、ダックもヨーロッパ、中国で古くから品種改良が進んだため、今日ではたくさんの品種があるがほとんど食肉用と採卵用として飼育されている。つまり、基本的に羽毛は食肉、採卵の副産物、つまり戴いた命の最大限の活用をしている素材(レザー同様)だといえるだろう。
羽毛布団を選ぶ際は、産地よりも使用される羽毛の質を確認することが大切。ダウン率、水鳥の種類などに加えてダウンパワー(ダウンのふくらみを数値化したもの)を確認しましょう。また、高品質な羽毛布団の選び方として、「ゴールドラベル」がついている製品を選択することもよいでしょう。
特徴
羽毛には、次のような特徴があります。
極めて高い保温性
比重が軽く、かさ高性に優れている
保湿性に優れ、吸放湿が迅速に行われる
柔軟で弾力性に富み、曲げや捻じれ等に強い
衣料の充填物としても圧縮回復性に優れている
保温性に関して、特にダウンは空気を多く含むことができ、その集合体としてはなおさら沢山の空気を抱え込むことができる。空気は熱伝導率が低いため断熱材のような働きをするので保温効果が得られる。
ボリューム感があることも特徴で、ボリューム感があることに加えてへたりにくいため、ボリューム感が長期間保持できる。一度圧縮したとしても、再度空気を含ませることでボリューム感が回復してくれる。
そして吸放湿性が高さ、羽毛繊維は動物性たんぱく質であるため、吸湿性は高い。
またボリューム感があることで放湿性も高くなり湿り気を感じにくくなっている。
水鳥に限定される理由
実は陸鳥から採取する羽毛も水鳥から採取する羽毛も保温性に関しては大きな差はありません。しかし陸鳥の羽毛を使用しないのには大きな理由がある。
まずは残留歪みの大きさ、つまり力が加わった後に変形が直りにくいということ。
製品、特にアウターでは着たまま座ったりと使用していて外力が加わることは常にあるが、そのたびに回復しないとなると長期間使用することはできない。
また弾力性、ボリューム感で陸鳥の羽毛の方が劣ることも理由のひとつ。ダウンジャケットも布団も弾力性と適度なボリューム感が必要だが、それが劣るとなると使用するメリットが感じられなくなってしまうのだ。
この大きく2つの理由から水鳥の羽毛が重宝されている、という訳だ。
羽毛布団にも、ダウンとフェザーの2種類が使用される。ダウンは保湿性に優れているためふんわりと温かく、フェザーは吸湿性と放湿性に優れているため布団の中が蒸れを防いでくれる。布団においてはダウン50%以上のものを羽毛布団、フェザー50%以上のものを羽根布団と呼ぶ。
ダウンは綿毛状であり軽量で保温性を、フェザーは羽根状で弾力性と通気性を担う。布団にしてもアウターにしても冬場には欠かせない素材。強い冷え込みが予想されている今週末に向けても大活躍してくれるだろう羽毛にめいいっぱいお世話になって乗り切ろう。
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