陶磁器33:日本の焼き物(福岡県:上野焼)
おはようございます。
今日は全体的にうっすら雲がかかり、気温も20℃を超えてほのかな温もりが感じられる穏やかな朝。
さて、日本各地の焼き物の名産地をピックアップしたところで、具体的に1つずつ見ていこう。
24回目の今日は、福岡県の上野焼。
上野焼(陶器)
上野焼(あがのやき)は、福岡県田川郡福智町周辺で作られている陶器。
上野焼の特徴は、茶の道具である茶陶として発展したため、軽量で薄作りの格調高い風合いを持つ点。底にある高台が高く、裾広がりになった撥高台(ばちこうだい)の形をしています。また、緑青釉、鉄釉、藁白釉、透明釉など使用する釉薬の種類が多く、一つ一つの器が色彩や肌合い、光沢、模様など多種多様である点も上野焼の特徴の一つと言える。
上野焼の代表的な釉薬は、酸化銅を使った緑青釉で鮮やかな青色が魅力です。鉄釉を使った陶磁器は赤茶色の光沢のない仕上がりになり、虫喰釉では素地に虫喰のような粒が一様に並んだ個性的な風合いに仕上がります。
それぞれの器が千差万別ながら、入れるものの素晴らしさを引き立てる共通の趣と気高さを誇っている。
歴史
1602年(慶長7年)、千利休に茶道を学び茶人として名高い小倉藩主・細川忠興が、李朝から陶工の尊楷(そんかい、のちに上野喜蔵高国と改名)を招いて、豊前国上野に登り窯を築かせたのが始まりと言われている。
細川家の30年という短い統治の間に、上野焼の基礎は確立された。1632年(寛永9年)、尊楷は細川家の国替えに従い肥後熊本へ移るものの、子の十時孫左衛門らが上野に留まり次の藩主・小笠原家のもと上野焼を継承。
江戸時代中期には尊楷が築いた登り窯は、徳川家茶道指南役である小堀遠州に遠州七窯の一つとして称賛されるほどとなり、世に広く知られるようになった。その後も、尊楷の登り窯は小笠原家が統治する幕末まで歴代藩主の御用窯として重用され続けた。
明治時代に入ると、廃藩置県により藩が消滅し一時上野焼は衰退したかと思われたが、1902年(明治35年)熊谷九八郎らにより田川郡の補助を受け復興されている。
地理
福岡県田川郡福智町周辺は、上の小倉藩という記述からも分かる通り、小倉のある北九州市と博多の間にある、山間の区域。しかも、この陶業関係は福地町の中でも上野のエリアに集中しており、まさにこのエリアで規模は小さいながらも昔から作られていたことがわかる。
福岡県田川郡福智町には街を縦断するように彦山川が大きく流れ、上野にはさらに福智川という細い川が寄り添うように流れて彦山川に注いでいる。特にこのエリアで特筆すべきは、その池の量の多さ。以前は大きな川があったのか、そもそも全体的に沼地だったのか、名前がついた池が町の一割はありそうな位無数の池が点在しており、陶器に向いた土が取れるというのも納得な立地となっている。
作り方
原土掘り 上野の山中を探し回り、良質の粘土を採取、その後採った粘土を乾燥させる。
土の粉砕 採取した粘土を機械で細かく粉砕する。次に、砕いた粘土をふるいにかけ良質の粘土を選別。ふるいに残った粒子の大きな土は捨てられる。
土漉し ふるいにかけられた良質の粘土を水槽の中に入れ、水と混ぜ合わせる。その水を濾して粒子の細かい粘土を選別する水簸という技法で良質の粘土を取り出す。布ごしで泥状の粘土を天日干しにして水分を抜く。
土練り 固まった粘土を機械でこねて筒型に形作っていく。
手練り 機械でこねて寝かせた粘土を今度は手で時間をかけて練っていく。この時粘土に含まれている空気を抜くように時間をかけて練らなければならない。
成形 充分に練られた粘土をろくろを使って成形していく。
半乾燥、仕上げ、乾燥 成形した粘土を棚状に組み立てられた場所に並べ、干して半乾き状態まで乾燥させる。半乾きになったら裏を削ったり、持ち手を付けたりして仕上げていく。上野焼の粘土は基本的にデリケートで、作りも薄いため屋内で2〜3週間かけて乾かす。
素焼 完全に乾燥した器を窯の中で焼いていく。この素焼の工程を行うことで釉薬が付きやすくなり、焼かれてできる窯変による色も出やすくなる。窯の中に器を隙間無く並べ、約800度~850度の高温のもと約5時間~6時間焼く。焼かれたものの中で、職人が合格としたものだけが釉かけ・本焼の工程へと進む。
釉かけ 素焼され合格したものに、釉薬をかける。釉薬をかけ焼かれることでガラス質の肌触りを作り、美しい色と光沢を生み出す。代表的な釉薬は緑青釉で銅を含んでおり鮮やかな青緑色の窯変が魅力の釉薬。ほかにも、鉄釉、藁白釉、灰釉、三彩釉、透明釉、伊羅保釉など、多種多様な釉薬が用いられる。
本焼 本焼に使用する窯には薪窯・ガス窯・電気窯・灯油窯がある。ガス窯の場合、窯の中に焼かれる器を並べる窯詰の後、約10時間かけて焼く。この工程を焼成と言う。
焼きあがった上野焼の色や肌は、多くの釉薬が使われているため、さまざまな色合い、肌触りが作られる。柚子の皮のような手触りの柚肌、虫食い状に素地が表れ粒状の肌が美しい虫喰釉、二色の土を使って木目文様を出す木目、ひとつの器に三種の釉薬が楽しめる三彩など、多種多様な色や肌の陶磁器が作成される。
*上記の情報は以下のリンクからまとめています。
https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/tokonameyaki/
僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。
皆様も、良い一日を。