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繊維の種類50: 竹素材

おはようございます。
今日も全体的に薄暗く、落ち着いた穏やかな朝。

さて、今回で50回を数える繊維の学びも、天然繊維と化学繊維の両方のそれぞれの素材の作られ方からメリット・デメリットまで見てきた。そんな中で最後となる今回は未来に繋がる、僕自身が興味のあるSDGsの観点から見てもメリットも大きい竹を学んで締めくくりたいと思う。

竹繊維

「竹繊維」 はオーガニック認定は受けていないが、竹はそもそも人の手による「栽培」を必要としないため、野生でたくましく農薬や肥料すら必要とせず生育する。
さらに竹は生長スピードが速いので、環境破壊をせずに資源を使い回すことができる。

竹繊維の特徴

竹の繊維に関して触れる理由は、まず素材としてとてもしなやかで触り心地の良さが際立っていたから。加えてこれから見ていく通り、使用する人にも環境にも優しい素材というところでこれからまさにニーズと共に広がってほしい素材なのだ。

竹を原料とした繊維には、竹繊維をビスコース法で溶解後再生繊維化した竹レーヨンと、竹の繊維を溶解することなく竹桿からそのまま取りだした開繊竹繊維とがある。素材としては植物、生成方法としてはレーヨンという点で、品質表示法上は前者はレーヨンであり竹繊維と表示されない。(『素材:レーヨン(○○%)原料に竹を使用』と記載される)
竹からビスコースを経ずに直接取り出した開繊竹繊維については、指定外繊維(竹繊維)の表示ができ、その素材の心地良さとエコの観点からも話題になっている。

メリット・デメリット

メリット

  • 抗菌性      雑菌の繁殖を防ぐ

  • 吸水性      コットンの約二倍の吸水性

  • 消臭性      汗のにおいを軽減

  • 制電性      体に害のある静電気を軽減

  • 高い保温性・保湿性 敏感肌、赤ちゃん、お年寄りまで

抗菌性
昔から竹や笹はすぐれた抗菌力が重用され、日本ではおにぎりを包むなど食べ物の保存に使用されてきた。竹の繊維ではこの竹の優れた天然の抗菌力をそのまま生かされている。雑菌が繁殖しにくいため、肌に直接触れるタオルや医療品に利用されている。
例えば18時間後の生菌数は、綿の400万個に対して竹繊維は<20(検出せず)という驚くべき実験結果に。

このため、菌の繁殖を抑制する竹繊維で作られた布は、医療関係の繊維製品としてはもちろん、肌に直接触れる布ナプキン・肌着・靴下など、また湿度が高くカビが発生しやすい環境に置かれることの多いタオル類、濡れた状態が続く台布巾などの素材として最適なのだ。竹本来の特徴を生かしており、一般的な抗菌繊維と違って抗菌剤を添加していないので安心。

吸水性
一般的に5秒以内で水に沈み(沈降法)、また吸水すれば(滴下法)、吸水性に優れているとされる。このため、汗をよく吸ってくれるため、衣服はもちろんタオル類やキッチンクロス、布ナプキンなどにも適している。

消臭性
竹繊維は消臭効果にも優れている。竹炭などでもその効果が知られているように、竹の繊維の中には微細な孔が多くあるため、ここで臭いの元となる物質を吸い込み逃さない。体臭の原因となるアンモニアはじめその他のニオイのもととなるガスにも効果があることからも、こうした点からも肌着・Tシャツ・靴下・寝具・タオルなどに適している。

制電性
摩擦が少なく、静電気がほとんど発生しない。静電気が起こりにくいといわれるシルクや綿の10分の1程度に抑えられている。
静電気はカラダに悪影響を及ぼすと言われています。
また、摩擦抵抗も少ないため、赤ちゃんやご年配の方、肌トラブルに悩む方にもおすすめ。

高い温熱性と保湿性
竹の持つ多孔性が空気を含み、包み込むような暖かさを与えてくれる。そうして上昇した体温は繊維に含まれる温められた空気と高い水分率によって保温維持される。
また、シルクのような光沢と滑らかさがあるため、接触冷感と言って触れるとひんやりする面もあり、高い吸湿性と共に夏場も快適に使用できる。

エコ素材
竹は成長期には一晩で1メートル以上も成長する、非常に生命力にあふれた植物。毎年種を植える必要がなく、農薬を散布する必要もない。上手に管理し成木のみを伐採していくことで資源を減らすことなく活用できるエコロジー素材が、高い機能性と共に軽くて気持ちよく使える、という訳だ。

デメリットは、火に弱い、虫やカビがつきやすいなども挙げられるが、他の天然繊維と比べて大きなデメリットではないので、最低限気をつければ大丈夫。

竹繊維が生まれた経緯

竹繊維の取り出し工程は以下の通り。
①生の原料竹を適当な大きさに割り,繊維を分離する際の妨げとなる内・外皮を取り除く。
②アルカリ処理を効率化するためにロールプレス機を用いて圧搾を行い,柔細胞組織に亀裂を入れる。
③2%~3%の水酸化ナトリウム水溶液で2時間煮沸する。
④水洗後に再度プレス圧搾を行って,柔らかくなった柔細胞組織の破壊をさらに進める。
⑤十分な水洗で柔細胞組織を洗い流し繊維束を得る。
⑥繊維束を水と共にミキサーで1~2分攪拌し,繊維束を竹単繊維に分離する。
⑦粗い金網中で水洗することによって残存する柔細胞を分離除去し、純粋な竹単繊維を得る


竹林などが放置されて無尽蔵に広がってしまうような竹害などもある中で、シルクのような滑らかさ・軽さに加えて肌馴染みの良さなどメリットも大きい。日本で綿を生産・商業化することは難しいが、原材料が溢れている竹に関しては日本国内で生産・消費することが可能となる。海外から原材料を輸入する様々なコストを抑えて環境負担を減らして気持ちよく過ごせる夢のような繊維。
ぜひ皆さんも一度手に取って、その心地よさを感じて実感してもらえたら嬉しい。(竹繊維の関係者ではなく、一消費者としての願いです笑)

2ヶ月ほど見てきた繊維も今日が最後。
竹に限らず、皆さんがお気に入りの素材の強みの確認や使用上の注意、新たに試したい素材も見つかっていたらとても嬉しい。


こちらの文章は以下のリンクを参考文献として使用しています。

https://www.iri-tokyo.jp/uploaded/attachment/3064.pdf

https://www.jstage.jst.go.jp/article/fiber/65/1/65_1_P_45/_pdf


僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。



皆様も、良い一日を。

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