繊維の種類49: 金属繊維

おはようございます。
今日は全体的に雲がかかっていて、なんだか少し落ち着いた、穏やかな朝。

さて、今日からは化学繊維の最後の項目、無機繊維の中から金属繊維に関して学んでいきたい。

無機繊維

無機繊維とは、無機物から作られた繊維で化学繊維の一種。金属繊維やガラス繊維、炭素繊維などが含まれる。無機繊維の性質としては、耐熱性や耐火性(不燃性)、電気絶縁性に優れている、劣化の速度が遅い、害虫の影響を受けにくいなどがある。

金属繊維の特徴

金属繊維とは人工的に製造された繊維で、金属、合金、プラスチックでコーティングされた金属、プラスチックに金属をコーティングしたもの、もしくは芯が完全に金属で覆われたもので出来ているもののことを指す。

金属繊維が使用される目的は、金属的な風合いや光沢、凹凸のある立体的なシルエットのために形状記憶金属として使用されている。
歴史的に見れば、金糸・銀糸が多くこれらの目的で使用されてきたが、現在では一般的にステンレススチールが使用される。簡単に言ってしまえば、細い針金が織り込まれているということ。針金は折り曲げを繰り返すと金属疲労という現象を起こして折れてしまう。金属繊維が折れると手で触れた時に、かすかな引っ掛かりやザラっとした感触があることがある。
また、脇や襟周りなど汗が付きやすい部分では、いくらステンレスとはいえ、さびが発生することも。さびが発生すると、黒っぽいシミになる。

歴史的に長く愛されてきた金属繊維といえば金糸。
金糸とは、金を用いた糸の総称で、織物や刺繍糸などとして使用される。金糸には、次のような種類がある。

  • 切金糸:ヨーロッパや西アジアで用いられるメタル・ヤーンで、細断した切金をそのまま糸として使用する

  • 箔糸:中国や日本などで用いられるもので、丈夫な紙に漆や膠などで金箔を貼り付けて糸状に裁断したもの

  • 平金糸:箔糸の一種で、平箔糸とも呼ばれる

  • 撚金糸:箔糸の一種で、芯糸の回りに平箔を巻いて撚ったもの

金糸は、織物に豪華な雰囲気を与えるため、錦や唐織、綴などの高価な絹織物や宗教関係の生地、能装束、呉服、お祭り装飾などに使用されている。金糸の価格は、金箔の純度や太さ、ロットや時期、天候などによって異なる。

メリット・デメリット

メリット

  • 金属的な風合いや光沢がある

  • 凹凸のある立体的なシルエットがある帯電防止機能がある

  • 電磁波(EMI)シールド機能がある

  • 切傷抵抗がある

  • 蓄熱作用がある

  • 抗菌効果がある

  • 除電作用がある

金属繊維は、金属の性質を持っているため、強度や耐熱性に優れているが、何度も折り曲げを繰り返すと金属疲労による強度低下が生じる可能性がある。

また金属繊維は低い電気抵抗値を持つ。これによって導電性を必要とする用途に使われる。また耐熱性に優れ、極度の熱に耐えることができるほか、材質を高品質なステンレスやその他の合金にすることによって、耐食性を持たせることができる。

金属繊維はコーティングすることによって変色を抑えられる。適した接着剤とコーティングフィルムが使われた場合、海水やスイミングプールの塩素入りの水、その他変化する気象状態に影響されることはない。
その他の優れた機械特性として高い破断ひずみ度、柔軟性、耐衝撃性、耐火性、遮音性が挙げられる。焼結された金属繊維の構造体およびそれを用いた製品では、構造的な強度と耐久性を保ちつつ、高い空隙率(気孔率)を持つ。

可能であれば、金属繊維で作られたものはすべてケアラベルがない場合はドライクリーニングしよう。特に高温での鉄からの熱が繊維を溶かす可能性があるため、アイロンがけの際は化学繊維の使用や温度などに気をつけたい。

金属繊維を使った服の例としては、防護服、手袋、保温下着、ダウンジャケットなどがある。

金属繊維が生まれた経緯

全部または部分的に金糸で織られた金布は7世紀から9世紀のビザンチン織機で織られ、その後シチリア、キプロス、ルッカ、ヴェネツィアで織られた。12世紀には、中国や中東地域でのチンギスハーンのモンゴルの支配下で美術品や貿易が盛んになり、織物も盛んになった。
1946年には、Dobeckmum Companyが最初の近代的な金属繊維を製造した。1960年代には Brunswick Corp. が金属繊維の経済的に採算が取れる製造方法の研究開発をしており、まず研究レベルのパイロットプラントの規模で製造した。1964年には同社が304系ステンレス鋼から1㎛の細さの金属繊維を製造。その後1966年に米国内にて最初の大規模量産設備の稼働を開始した。

金属繊維は今では全ての技術分野で広く生産され利用されており、広い範囲の用途に用いられ、成熟した産業分野となっている。


こちらの文章は以下のリンクを参考文献として使用しています。


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