繊維の種類24:ウールに関する単位

おはようございます。
今朝もこの時間は2℃だけど日中は12℃まで上がるので、ありがたい。

布の素材として、動物繊維の種類を毛繊維、絹繊維、羽毛繊維それぞれに分けて、昨日はまずウールの、羊の種類と素材としての種類を見てきた。今日は区分けされるものとしては一番メインのメリのウールに関して、単位や区分けを元にどういったものになっているか見ていこう。

メリノウールのランク 

メリノウールには、繊維の太さによってランク分けがされている。数字が小さくなるほど細く、大きくなるほど太くなる。 より細い繊維ほど採取量に限りがあるため希少性が高くなり、高級になる。 一般的には、繊維が細いと加工の難易度が上がり、機械設備や技術が価格に反映されるため、19μmより細いものが高級ウールとされ、価格は高い。

ランク              繊維の太さ(μm)
スーパーエクストラファインメリノ 直径16.5~17.5
エクストラファインメリノ     直径18.5~19.5
ファインメリノ          直径20~21
ミドルメリノ           直径20~22
ストロングメリノ         直径23~25

繊維の太さは「μm(マイクロメートル)」という単位で表す。μmは1ミリメートルの1000分の1と等しい長さ。
羊毛はコーミング作業で長いものと短いものに分けられていきますが、基本的に繊維は長いものほど細く、短いものほど太い。細いものは繊維長(糸を作る繊維の長さ)も長く柔らかいので肌当たりが良いものが多いが、短いものは堅くガサガサしているものもあり、肌当たりもチクチク感が強くなる。
また、繊維が細い方が、キューティクルも綺麗なので艶・光沢感に優れており、一方で太く短い方はムラが多くなり、光沢感も少なくなる。

メリノウールは繊維の色によっても価格が変わる。 限りなく白に近い原毛は高く、グレーやブラウンに近いものになると安価になる。白に近い方が汚れが少なく様々な色目を混ぜることができない分、採取できる繊維量も少なくなるため、高価になりやすい。

Super○○'sの表記

コートや服地、男性であればスーツなどで見たことがあるかもしれないが、スーパー表示というものになる。 スーパー表示は10刻みでSuper100's、Super110's、Super120'sと大きくなっていき、80~250までで表示される。数字が大きくなると「原毛の繊維」が細くなる。「糸」が細くなるわけではないので、注意したい。
太さを求めるには、19.5 - (○○ - 80) x 0.05 という計算式で出せるけど、計算する人はいないだろう笑

ランク繊維の太さ(μm)
表示なし      
20.0μm以下
Super 80’S     19.5μm
Super 90’S     19.0μm
Super 100’S   18.5μm

Super 200’S  13.5μm
Super 250’S  11.0μm

同じSuper○○'sの表記でも、品質が同じということではないので注意したい。
なぜなら、1匹1匹大切に育てられた羊と大量の羊を画一的に育てられた羊とでは、刈った毛の質が全く異なるから。 そもそも当然個体によって遺伝的な理由で毛の質が異なり、髪の毛を毎日お手入れしているかどうかや両親の遺伝によって髪質が異なってくる人間と一緒。
Super○○'sという表記はあくまでも繊維の太さの単位でしかないため、最終的に羊そのもののポテンシャル次第で最終製品の品質が変わります。
また、生地を構成している繊維の全てがSuper100'sでなくても、表記としてSuper100'sと表示することができるため、構成している繊維の割合においてSuper100'sの割合が高ければ高く、部分的にSuper100'sであれば、安くなる。

また、こうして見ていくと「数値が高いほうが良い」「繊維は細いほうが良い」と考えてしまうが、実はそうとも言い切れない。 原毛の質の良さ、繊維の細さ、糸の細さなどの評価すべき項目がいくつか存在し、かつ着用目的によってそれぞれの適切な繊維の細さや質感がある。メリノウールは繊維が細く、色が白いほど採取量が少なく高級にはなるけれど、それはあくまでも希少性からくるものであり、最終的な洋服に求められる品質を保証するものではないからだ。日常生活で頻繁に使うようなTシャツやスーツであれば、Super150'sは繊維が細すぎて最悪破れてしまうこともあるので用途に合わせた耐久性も備えた細さで考えたいところ。

番手との違い

綿でも見てきた番手も「糸の細さ(太さ)」を表す単位だが、上記のSuper○○'sとは別の単位。 番手は重量1kgの綿を何メートル伸ばせる細さか?が基準となる。 例えば、重さ1kgで長さが1000mあるものを一番手といい、2000mあれば二番手、3000mあれば三番手の細さということ。つまり、綿糸と同じく番手数が大きくなるほど、糸の太さは細くなっていく。このように恒重式でメートル式を用いていて、同じ重さに対して糸が長くなるごとに番手の数値も増加するため、番手の数値が高いほど糸は細いとされる。
番手とスーパー表示の違いは、繊維の細さを表すならスーパー表示、糸自体の細さを表すなら番手ということだ。
このため、SUPER 100’SよりSUPER 150’Sの方が必ずしも糸が細いとは限りない。 これは、糸は繊維が束になったものだから。繊維が細くてもたくさん撚れば糸にしたときに太くなるため、SUPER 150’Sで作られた糸がSUPER 100’Sで作られた糸より太くなることがある、ということだ。

あくまで、こうした見方があるよ、ということだけ知っているだけでも十分。実際に物を見て手触りや色など気に入った物を買うのが正解なので、”SUPER 100’Sだから”とか単位を気にする必要はない。

明日はウールのメリットを見ていこう。


こちらの文章は以下のリンクを参考文献として使用しています。

僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。



皆様も、良い一日を。

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