見出し画像

陶磁器40:日本の焼き物(熊本県:小代焼)

おはようございます。
今日は久しぶりの晴れの朝、やはり晴れているととても気持ちがいい。

さて、日本各地の焼き物の名産地をピックアップしたところで、具体的に1つずつ見ていこう。
31回目の今日は、熊本県の小代焼。

小代焼(陶器)

小代焼(しょうだいやき)は熊本県の南関町、荒尾氏、長洲市、熊本市、松橋町など県北部を中心に焼かれている陶器。
小代焼は素朴な風合いながらも力強いフォルム、釉薬の流しかけによる大胆なデザイン性が特徴。
陶土は鉄分の多い小代粘度を使用した粗めのもので、高温で焼成すると暗い赤茶色になる。それを茶褐色の鉄釉(てつぐすり)で覆うが、その特徴的なデザインは藁や笹の灰などから生まれた黄色や白など発色の違う釉を使い分け、流しかけすることによって生まれる。また、釉薬の配合の違いにより青小代・黄小代・白小代の3系統に分類される。
小代焼は「腐らない、臭いがうつらない、湿気を防ぐ、毒消しの効果、延命長寿」の五徳があるとして五徳焼と呼ばれることもあった。そのことから茶器としてだけでなく、実用性の高い日用食器としても親しまれてきたことがわかる。

歴史

小代焼は1632年(寛永9年)豊後国から肥後国に転封となった細川忠利が、陶工である源七(牝小路家初代)と八左衛門(葛城家初代)を伴い着任し、小岱山麓に窯を開いて焼き物を焼かせたのが始まりと言われている。細川家の御用窯として古くは茶器を中心に日用食器や火鉢などが焼かれていた。
その後産業振興を図る藩の方針から細川家の保護を受け1836年(天保7年)に山奉行瀬上林右ヱ門によって瀬上窯が築かれると、小代焼の技法が受け継がれることとなり窯元も増え発展していく。
明治維新以後は、藩の庇護がなくなり小代焼は衰退していく。そんな中、野田窯のみが熊本南関町と福岡筑後の国境にある関所「松風の関」にちなんで松風焼と名づけて製造を続けました。しかし有田焼や瀬戸焼の台頭により廃窯が相次ぐなど一時衰退することとなる。
昭和に入ると1931年に近重治太郎が開窯。1946年には城島平次郎も小代焼の研究所として窯を開きました。さらに復活の後押しをしたのが、柳宗悦が提唱した民藝運動で、戦後は小岱山麓にたくさんの窯がつくられ、再び脚光を浴びるようになる。
小代焼は小岱山麓を中心に窯の数も増え、2003年に経済産業大臣より国の伝統的工芸品に指定された。現在では12の窯元によって作品が生み出されている。

地理

小代焼は、熊本県の南関町、荒尾氏、長洲市、熊本市、松橋町など県北部、有明海に面するエリアから山間部に至るエリアに窯元が点在している。
有明海から東シナ海に出て行こうとすれば、すぐ天草陶石の採取つ拠点である天草がある中で、九州本島のこのエリアから粘土が取れたというのは地質学的にも面白い。
関川や菜切川などの川もあるが、今まで見てきた産地の他の川と比べてもとても細い川で陶土の生成に影響があったかどうかは疑わしい。

作り方

  1. 原土の採取 小代焼の原土は熊本県荒尾市にある小岱山付近の粘土層から採取されます。小代粘土と呼ばれるこの粘土には鉄分や小石粒が多く含まれており、小代焼の特徴であるざらりとした素朴な肌合いを生み出す。

  2. 乾燥 採取した粘土は屋外に置かれ天日干しで乾燥させる。しっかり天日干しすることによって余分なアルカリ成分が抜け、ヒビやキズができにくくなる。

  3. 水簸 乾燥した粘土を砕いたら水槽で水と撹拌し、泥水にします。その際沈殿するゴミや砂、石などを取り除き泥水を別の水槽に漉し取ります。そのまま放置沈殿させた粘土を取り出し、素焼きの鉢などで天日干しし乾燥させる。

  4. ねかし 粘土を乾燥させ適度な硬さになったら屋内での貯蔵に移動。そのまましばらく放置することをねかしと言い、このねかしによって粘土中のバクテリアが増殖し、その分泌物などによって粘土の粒子が細かくなり、滑らかで柔らかく粘り気の強い粘土となる。粘土の粒子が細かくなれば収縮率が少なくなるためひび割れができにくく、また粘り気が強まると細工がしやすくなる。そのため、ねかしの工程は陶芸に置いて重要な過程であるとされている。

  5. 土練り ねかして熟成された粘土はよく練って、粘土の中の空気を抜いていく。土練りには荒練りと菊練りのふたつの工程がある。初めに土の柔らかさを均一に整えるため、足や土練機を使って行われるのが荒練り。次に手でしっかり練り込む菊練りによって土の中に含まれている空気を押し出していく。繰り返し練ることで粘土の堅さが均一に整い、気泡のない伸びのよい状態に整う。この工程によってキズもできにくく、成形もしやすくなる。

  6. 成形 成形を行うにはいくつかの技法があり、ろくろを使ったろくろ成形、石膏型を使った型押し成形、手で形を作る手ひねり成形、粘土を板状にして組み合わせるたたら成形、粘土をひも状にして形を作るひも作り成形などがある。

  7. 素地しあげ 成形作業後1~2日経過し、生乾きの適度な硬さになったところで行う仕上げ作業。高台の削り出しや急須の口や手の取り付けの他、面取り、透かし彫りや象がんなどの装飾の加工も行う。

  8. 乾燥 日陰で自然乾燥させ、ゆっくり水分を抜いていく。粘土に水分が残っていると窯焼きの際に割れてしまいますし、急激に乾燥させると均一に乾燥できずに内部に水分が残ったり反りやゆがみ、ヒビが生じたりする。湿度や温度が一定の環境でゆっくり乾燥させることが重要。

  9. 素焼き 800~900度で8時間ほどかけて素焼きを行う。その後は自然に熱が冷めるまで窯のふたを開けずにじっくり冷ましていく。素焼きを行うことによって釉薬のかかりを良くすることができる。

  10. 釉薬調合 釉薬は陶磁器の表面を覆うガラス質の部分で、陶磁器に耐水性や光沢、色や模様などを与えるために使われる。粘土を水で溶いたものに灰や細かく砕いた長石、または鉄を含んだ鉱石を配合して作る。灰は藁・笹・茅などの植物由来のものや雑木・樫・杉・松など木由来のものなどがある。

  11. 釉掛け 小代焼で用いられる釉薬は木炭釉、藁灰釉、笹灰釉、茅灰釉、鉄釉がある。釉薬の調合の微妙な違いや焼成時の温度、状態によって発色の変化が得られ、特徴的な青小代、黄小代、白小代の3つの系統に分類される。また、小代焼の特徴とも言われる釉掛けの技法には、浸し掛け、杓掛け、打掛流し、吹き掛け、塗り掛け、イッチン掛け、蛇の目、二重掛けなどがある。

  12. 窯詰め 窯の中に焼成するものを詰める。その際焼成する器物同志の接着や灰のかかり具合、収縮や軟化、器物の高さや向きなど火の回りや通り具合を考慮して詰めていく。

  13. 本焼き 素焼きが800~900度だったのに対して本焼きでは1300度の高温で約10時間かけて焼き上げる。季節や天気などの諸条件によって窯の焚け具合が変わってくるので、作業は条件に合わせて行うことが大切。

  14. 窯出し 温度が冷める前に窯の蓋を開けると器物が割れてしまうことがあるため、焼成後自然に温度が冷めるのを待って窯出しする。完全に温度が冷めるには10時間ほど待つ必要がある。


*上記の情報は以下のリンクからまとめています。

https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/tokonameyaki/

https://journal.thebecos.com/yakimono-type/


僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。


皆様も、良い一日を。

いいなと思ったら応援しよう!