繊維の種類45:ポリエステル

おはようございます。
曇り空から始まる朝だけど、朝には晴れて日中は13度まで上がるらしいので比較的過ごしやすいと言えそうだ。

さて、今日からは化学繊維の合成繊維の中から、ポリエステルに関して学んでいきたい。

合成繊維

合成繊維とは、低分子の製造原料から合成によりつくられた高分子の組成の化学繊維。合繊と略す。合成高分子の構造には縮合高分子の繊維(ナイロンやポリエステル)と重合高分子の繊維(アクリルやポリプロピレン)がある。
ポリエステル・ナイロン・ポリウレタンは、石油や天然ガスの原料から、ほぼ同じ工程で作られており、三大合成繊維と呼ばれている。

ポリエステルの特徴

ポリエステル(英: polyester、略号:PEs)は、多価カルボン酸(ジカルボン酸)とポリアルコール(ジオール)とを、脱水縮合してエステル結合を形成させることによって合成された縮合重合体である。
ポリエステルは、天然繊維より安価な繊維を安定的に供給できるようになり、現在日本の合成繊維の中で最もポピュラーで生産が多い。またコットンに似た機能性を持っていて衣類などによく使用される一方で、ペットボトルの材料としても広く普及している。

石油を原料にしたペットボトルと同じ「ポリエチレンテレフタレート(PET)」というチップを作り、そのチップを熱で溶かして細い穴がたくさん開いたノズルから押し出して、空気中で冷却し繊維にする溶融紡糸法で作られている。
ノズルには様々な形状の穴が開けられ、同じ素材でも断面形状によって風合いなどが変わり、吸水性などのさまざまな特徴や機能性を付けることができます。紡績方法や他素材を練り込むことで、天然繊維にような風合いを作り出すことができるため、さまざまな用途で広く使われている。

また原価が非常に安く、機能性に優れた商品を低コストで作ることができるのも、ポリエステル繊維の魅力の一つ。

メリット・デメリット

メリット

  • 強度が高く、耐久性がある

  • 元の形に戻ろうとする力があるので、シワがつきにくい

  • 熱すると軟化し(成形しやすい)、冷やすと再び固くなる性質があるため適切な熱セットで型崩れを防止できる

  • 油、カビ、虫などに影響されにくい

  • 比較的薬品に強い(薬品で溶けたり反応したりしにくい)

  • 吸水性及び吸湿性がないので、乾きが早い

デメリット

  • 吸水及び吸湿性がないので、発汗時にベタつきやすい

  • 染色が難しい(130℃以上の高温下で染色する)

  • 静電気が帯電しやすい

  • 熱に弱い

シワになりにくく型崩れしにくい、丈夫で強度に優れている、速乾性がある、低価格で軽い。その一方で静電気が発生しやすい、汚れると落ちにくい、吸湿性がない。それぞれの特性を活かして、フリース、制服、裏地などに使われている。

化学繊維は人工的に作られた繊維のため繊維の形状の変化が容易だが、ポリエステルは「溶融紡糸法」という細い穴から原料を押し出し冷やして繊維にする方法で作られる。このため、この細い穴の形状を変えることで繊維断面の形状や細さを変えることができる。
そもそもポリエステルは絹などの天然繊維に代わる製品として開発されているため、基本的な断面は「絹のような光沢を出す円形や丸みのある三角形」であることが一般的。この他には星形・楕円形・クロワッサン生地の様に何層にも重なっている様な形状もあり、断面の凹凸をよりシャープにすることで、コシのある触り心地を得ることができる。
中が空洞になっている繊維を「中空繊維」と呼ぶが、中空繊維はボリュームを出しつつ軽量化したり、保温性を高めたりすることができる。1本の繊維に対して空洞が1つの場合も、複数にしたり切込みを入れたような形にしたりする場合もある。さらに三角や星形の繊維を空洞にする等、上記のパターンを掛け合わせることも。
様々な加工を掛け合わせることにより、光が乱反射し汚れが目立たなくなる効果があります。この様な繊維は、その特徴を生かしてカーペット等に用いられる。

この他にも、穴を小さくすることで絹の1/100の細さである「超極細繊維」も開発され、今やポリエステルの持つ光沢は「天然繊維をも凌駕する」と言われている。
クオリティにもよるが、絹は1本の繊維は1μ(ミクロン = 1mmの1/1000)や0.1μと言われているからさらにその1/100の細さというのは形を成しているのが奇跡的な細さ。

同じ合成繊維の(ナイロン)でも触れているが、合成繊維は全体的に熱に弱いという特徴がある。
タバコやストーブなどの高温物は、たとえ接触していなくても近づいただけで溶けてしまうことがあるので、注意が必要。アイロンの温度も同様で、ポリエステル製品に"アイロン可"の洗濯絵表示がついていたとしても、あて布をしたりアイロンの設定を低温にしたりして少しずつ様子を見ながら充てていく必要がある。

また、毛玉ができやすく、除去しにくい一面も。毛玉は「摩擦」が原因なので毛玉をできにくくするためには摩擦を最小限にすることが大切。

繊維にはそれぞれ長所・短所があるが、複数の繊維を混紡することでその短所を補い合うことができる。
例えば、先述の通りポリエステルは「吸水及び吸湿性がないので、発汗時にベタつきやすい」という最大の短所がある。そこで「吸水及び吸湿性が良い」という長所を持つ綿と混紡することで、ポリエステルの短所である"吸水性のなさ"を補うことができる、というわけ。
つまり、衣類の用途に応じてお互いの長所はそのままに、短所も補える割合を見つけ出すことが重要になる。その代表的な割合が、ポリエステル65%・綿35%で生成された生地。一部ではこの割合を「黄金比率」と呼ぶこともあるほどお互いの良いところを引き出した割合で、作業服やユニフォーム、普段使いの衣類にも使用されている。
このように用途に合わせた黄金割合を見つけることで、単に短所を補うだけでなく、より繊維が強くなったり新しい長所を生み出すことができる。
混紡はお互いの短所を補い合って用途の広がりに繋がるが、同時に特徴の違う複数の繊維が交ざるので、家庭でのケアやお手入れには注意が必要。洗濯の際は、必ず衣類の洗濯絵表示を確認するようにしよう。

ポリエステルが生まれた経緯

1941年に天然繊維に代替するものとしてイギリスで発表され、1953年に米国デュポン社が特許を取得して工業化した。日本では帝人と東レが1958年からテトロンと言う商標で製造・販売を開始。汎用性の高さから衣料用途で広く普及。相次いで各紡績メーカーが参入し現在では用途によって多種類のポリエステルが製造されている。代表的なポリエステルにはポリエチレンテレフタラート(PET、POLY-ETHYLENE-TEREPHTHALATE)・ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)・ポリブチレンテレフタラート(PBT)・ポリエチレンナフタレート(PEN)・ポリブチレンナフタレート(PBN)等がある。
中でもポリエチレンテレフタラートは頭文字をとってPETと略されるが、この「PET」はペットボトルの「ペット」でもある。

明日は、合成繊維のアクリルに関して見ていこう。


こちらの文章は以下のリンクを参考文献として使用しています。


僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。


皆様も、良い一日を。

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