繊維の種類48: アセテート

おはようございます。
今日は全体的に雲がかかっていて、なんだか少し落ち着いた、穏やかな朝。

さて、今日からは化学繊維の半合成繊維の中から、アセテートに関して学んでいきたい。

半合成繊維

アセテートやトリアセテートという繊維は「半合成繊維」と言われる植物や動物からとれる原料を使って化学的に処理し合成した繊維に分類される。つまり、100%天然原料ではなく、更に100%化学原料という訳でもない、『半ば』の繊維のため半合成繊維と言われる。
また、「半合成繊維」は天然原料の種類の違いにより更に2種類に大別され、セルロース系(アセテート、トリアセテート)とタンパク質系(プロミックス)がある。もっと分かり易く言えば、セルロース系は木材パルプといった植物由来の原料とタンパク質系はミルクといった動物由来の原料のものがある。

アセテートの特徴

アセテート・トリアセテートは木材パルプを原料としたセルロース(繊維素)に酢酸を化学的に結合した繊維。
また、アセテートとトリアセテートはほとんど同じだが、化学物質である酢酸の含まれる量の違いによって、アセテートとトリアセテートに分けられる。
アセテートは植物由来の繊維である為、自然界に放置されても生分解されることから、環境に優しい繊維として注目されている。

アセテート繊維は、木材パルプ(セルロース)を原料に、酢酸を反応させたアセチルセルロースより作られる繊維質。付加するアセチル基の数で呼び名が異なり、2つ付いたものをジアセテート、3つが付いたものをトリアセテートと呼ぶ。
生産量ではジアセテートの方が合成が容易であることから多く生産されている。アセチル基の数が多いトリアセテートの方が合繊に近く形態安定性や耐熱性などの物質的性質が安定しているため、トリアセテートは特に耐熱性に優れるという特徴をもつが、ジアセテートに比べ吸湿性にやや難がある。

アセテート繊維は寄り合わせて糸にすることで、適度な吸湿性を持ち、また美しい光沢があるなど絹に似た風合いを出すことができる。またやわらかい素材感が得られることから衣服の素材としても利用されているが、伸張や摩擦に対する耐久性がそれほど高くなく高級ファッションの一部に利用される。
ジアセテートは服地・裏地・小物・カーテンなどインテリア・かさなどに広く利用され、特に熱を加えても嫌な臭いを出さないという性質もあってたばこの味を変えない素材としてたばこのフィルターにも主にジアセテートが用いられている。トリアセテートは主に高級婦人服地向けに三菱ケミカル㈱がソアロン®の商標で製造販売している。

メリット・デメリット

メリット

  • 適度な吸湿性、放湿性、保温性があり、軽い。

  • 絹のような光沢がある。

  • 弾力性がありシワになりにくい。

  • 染色性がよい。

  • 熱可塑性(熱すると軟化して成形しやすくなり、冷やすと再び固くなる性質)があり、プリーツ加工ができる。

デメリット

  • マニュキュアと除光液がつくと溶ける。

  • 色物では排気ガスなど(NOx)による変色がある。

  • アルカリ洗剤を使うと化学反応によって光沢が消失する。

  • 耐熱性が低い。

  • 強度が低い。

除光液やシンナーはアセテート繊維を溶かしてしまうので、付着させないように注意が必要。
また、アセテート繊維で特に気を付けなければならないのは、酸化窒素ガス(NOx)による変色。これは酸化窒素ガスは空気中の窒素が燃焼し酸化することで生じる。この酸化窒素ガスが繊維に吸着・浸透すると、その作用によって染色されている染料分子が分解されてしまうため、色に変化が生じる。ガスは繊維を透過してしまうため、表面だけの変化ではなく裏側や折りたたまれ重なっている部分でも変色することがある。
アセテート繊維は、湿った状態で熱が加わると繊維がにごって色が変化する「失透現象」が生じる事があるので、スチームを使うような仕上げの際には十分な注意が必要。

アセテートが生まれた経緯

自然素材を原料に作られる半合成繊維として1920年代より生産がはじまっている。開発は1921年だが、ブリティッシュ・セラニーズ社が1924年に工業生産にこぎ付けたとされている。日本では1948年に生産が始まっている。

たばこのフィルターでは1931年にアメリカ合衆国で紙製フィルター付きのものが登場していたが、1950年代にこのアセテート繊維を使ったフィルターへと置き換わっていった。日本ではたばこ向けのものは日本たばこ産業子会社の日本フィルター工業が1958年より製造するようになったようである。


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僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。


皆様も、良い一日を。

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