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Jewelry Box Ep.10 オリジナル刻印

ジュエリーには記憶が刻まれます。
ジュエリー業界一筋の私が、これまで垣間見たエピソードを紹介させていただきます。
今回のエピソードは、自分のジュエリーに持ち主である証を刻みたい、というこだわりの御客様のお話です。
登場する方々には了承を得ておりますが、携わったジュエリーは個人所有のものですので、デザイン画や画像を公開することは致しません。
 

 Ep.10 オリジナル刻印

たいていのジュエリーには刻印がなされております。
それはそのジュエリーの品質を示したもの。
最低でも金性が打刻されております。
例えばシルバーならば『SV925』。
プラチナならば『PT900』もしくは『PT850』など。
18金ならば『K18』。
18金でも海外の製品の場合には『18K』や『750』など。
そして宝石が留まっていれば宝石のカラット数が打たれることがあります。
 
一般の方々は『刻印』といえば結婚指輪や婚約指輪の内側に記念の日付やイニシャルを刻まれるのが最も身近に感じられるのではないでしょうか。
 
ひと昔前は文字彫り機というものがあり、文字盤をなぞるようにしてリングの内側に文字をいれる機械がありました。
私は大学を卒業してジュエリー店をチェーン展開する会社に入社しました。
そこで本部のマリッジリングを扱う部署に配属されたのです。
何を隠そうこの私がお客様のリングに文字彫り機を使って打刻しておりました。
深く彫りすぎますと、リングの内側がザラザラして着けるお客様が不快に思われることがあります。
そうかといって浅く彫りすぎますと摩耗で文字が消えてしまったりと、じつに按配が難しいものでした。
 
さて、現在では刻印というとレーザー刻印が主流になりました。
パソコンにある字体ならば自由に選ぶことができますし、何より均一の品質で仕上げることができます。
そしてレーザー刻印は版を作成することでロゴやオリジナルの刻印を刻むことができるのです。
以前お客様の中でいつでもジュエリーには自分の名前を入れてもらう、というこだわりの方がいらっしゃいました。
お名前を控えさせていただきますので、仮に私の名前を・・・。
つまりリングの内側やネックレスの裏側に YUKARI と必ず刻印を入れてもらうのだそうです。
もちろん小さいので肉眼で見ることは難しく、我々が使っているような10倍のルーペでなければ確認できません。
それでもご自分の持ち物である、というのが満足なのだそうです。
「だって愛着がわくじゃない?」
そうマダムは微笑んでいらっしゃいました。
お気持ちはとてもよくわかります。
 
実はこれまで依頼されてオリジナル刻印を作ったことが何度かありました。
ブランドのロゴ制作を依頼されたこともありますし、個人のお客様のこだわりで文様とまではいきませんが好きな図案を提案して沖縄のとある模様やハートに矢が射止められたデザインなど。
イニシャルをアレンジした模様もありました。
もちろんデザインによってはつぶれてしまってオススメできないものもありますが、こだわりの図柄を刻みたいというご要望があれば承りますので、ぜひどうぞ。
(今回はちょっと宣伝でした)


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