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母から娘へ糠のバトン

アフターコロナとか、ウィズコロナだとか"ほにゃららコロナ"なんて言葉もあるけれど、いろんな専門家の意見を読む限り「ウィズコロナ」なんだろうなあ。一番嫌だなあ、その世界、なんて思っている。

おうち時間も、真面目に取り組むことそろそろ1ヶ月。ビフォアーコロナの世界では考えられなかった、パン・菓子作り、DIY、畑を始めた方まで…SNSでは溢れている。ここ最近は「〜チャレンジ」「〜バトン」なんてものまで流行っている。正直、バトンものは面倒くさがりの私には相性が悪い。基本的には丁重にお断りしているが、この期間、ひとつ受け取ったバトンがあった。

私が受け取ったバトン

数あるバトンから受け取ったのは、「ブックカバーチャレンジ」でも「お料理バトン」でもなく、母が作っていた糠床だ。コロナが流行り出してくる少し前に、ちょうどよく糠床を母から株分けしてもらった。

新しく何か始めるのであればアフターコロナ、いや、ウィズコロナの世界でも無理なく継続できることにしたい。漠然と思っていた。結局おうち時間だからやっていただけ、みたなことよりは何か継続して肥やしにしたいと思う。欲張りな人間は自粛期間中でも欲張りだ。

ずっと付き合う覚悟の甕

年末に注文していた糠漬け甕(かめ)が届いたのは3月。それまで冷蔵庫で、ジップロックに入れて待機させていた糠を、漬け甕にお引越し。甕に浸けてしっかりと糠をていねいに育てようと決意した。

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届いたのは、滋賀県・甲賀市信楽を中心に作られている"信楽焼(しがらきやき)"の糠漬け甕。おおよそ1600年頃から400年程の歴史ある窯元「明山窯」で作られた深い緑色が美しい甕。思っていたよりも軽くて、手馴染みもいい触り心地。サイズもちょうどよく、ひとり暮らしのキッチンにはぴったりだ。どうせ使うなら、10年もその先もずっと使えるものを選びたくてこのつけ甕にした。あとはうっかり割らない限り、これなら一緒にずっと付き合えそう。

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いざお引越し

今まで、よくこんなのに糠を待機させていたな…と少し反省した。くたくたのジップロックを冷蔵庫から取り出して、いざ引越し。「これだ」って思う入れ物に出会えて本当によかった。でなければ、しばらくの間ジップロック糠のままだっただろう。

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改めて写真で見ても、この状態はぬかに申し訳なかった。せめてホーローにでも入れてあげるべきだった。今日からは新しいおうちができたので、ゆっくり糠にもくつろいで過ごして欲しい気持ちでいっぱいだ。

愛情と旨味がいっぱいの糠

昆布や唐辛子、卵の殻までたくさん入った糠を少しずつ移していく(卵の殻の入れる入れないについては一旦置いておいて。)。ほんのり冷えていて気持ちいい糠。母が手塩にかけて育てていた糠には、見える形で愛情と旨味がぎっしり詰まっていた。

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きっと新しい糠漬け甕に入れれば、糠もより一層生き生きするんじゃないか、なんて思って移し替えるこちらもワクワクする。ジップロックにはパンパンだった糠は、甕に移し替えると量も少し少なく感じるほどだった。

受け取ったバトンを私の味に

入れ物の大きさに対して、糠の量が少し少ないのでまずは糠足しをすることにした。10:1の割合で糠と塩を甕の中に入れていく。もう、ここからは母の味じゃなくなる。使う米ぬか、塩の味と量、つける野菜。ここから全て私の味に変わっていく瞬間だ。

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1日〜2日程糠を休ませたら、いよいよ野菜をつけていこう。自分の味にしていこう。そう考えたらワクワクが止まらなくなった。いったいどんな野菜を浸けていこうか、楽しみだ。

「無理なく続けられる」を大切に

普段してなかったことにトライできるのも案外楽しい。おうち時間にももう、すっかり慣れてきた。だからこそ、改めて考えたい。これから先の「ウィズコロナ」でも無理なく続けられることを選択していく。私がおうち時間で見つけたことは、母から受け取ったバトンの中にあった。

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#おうち時間を工夫で楽しく

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