お灸のお話 その1
お灸を好きになったきっかけ
私はお灸が好きです。
お灸を施すことも好きだし、
自分にお灸をすることも好きです。
思い起こせば、
鍼灸専門学校(3年間)1年生の春、
お灸実技の授業で、艾(もぐさ)をひねっていたら、
(先生)「どこかの治療院で修行しているの?」
(私)「? まったく初めてです。」
何のことかと思っていたら、
艾(もぐさ)をひねることが上手いとのことでした。
だからどこかで修行しているのかと思ったようです。
私は大学・社会人を経験してから鍼灸専門学校に入学したので、
(ほめて伸ばすタイプの先生なのね)
(まともに受け止めたら勘違いしそうだな)
(優しいな ありがたい)
(調子に乗るのはやめておこう)
などと思ったものです。
さほど間を空けずに、
他の先生たちにも
「どこかの治療院で修行しているの?」
と尋ねられ、
(他の先生にも言われるということは、本当に上手いのかな)
(他の同級生たちは言われていないようだし)
(もしかしたら、自分は向いているのかも)
と思えたことが、
お灸を好きになったきっかけかもしれません。
(単純かもしれませんが)
ゆかり堂では、
ほぼすべての方に鍼とお灸の両方をおこないます。
当たり前のことのようですが、
鍼治療だけでお灸をしない治療院もあります。
ゆかり堂では、
お灸を多用するので施術室内の壁が年々色づいていきます。
密教系の寺院で護摩焚きをしている堂内では、
天井が黒く煤けていて、
修行の積み重ねとその歳月が感じられます。
私は、そういうものに魅力を感じるのですが、
ゆかり堂もそんな感じになればいいな
と、個人的には思っています。
※毎朝 治療院内を掃除しています。
汚いわけではありません。
お灸をしない鍼灸院がある理由
何かしらの理由から、
お灸をしない鍼灸院もあります。
・症状やからだの状態からお灸の必要はないとの判断
・お灸の煙やにおいが気になる
・治療院が入居している施設が火気厳禁
・鍼灸師が目の見えない方や弱視の方の場合(もぐさに火をつけにくい・つけられない、防火など、安全性を考慮して)
などが考えられます。
鍼灸院の中には
ベッドを並べてカーテンで仕切り、
複数人を同時に1人で治療をするところも多いです。
あん摩・マッサージ・指圧などと同じく、
艾(もぐさ)をひねってお灸を据えることは
同時に複数人に対しておこなうことが難しいため、
それがお灸をしない理由の可能性もあります。
艾をひねるお灸ではなく、
お家でも簡単にできる『せんねん灸』などは
艾をひねるような手間がかからないので、
おこなっている鍼灸院も多いと思います。
また、鍼灸師の中には、
艾(もぐさ)をひねることが苦手という人もいます。
鍼灸治療において
・お灸をしなくてはいけない
・艾をひねらなければいけない
ということもないので、
お灸を使わなくても症状が改善すれば
何も問題ないと思います。
ちなみに
お灸の治療のみをおこなう『灸専門院』も
ごく稀にあります。
鍼灸師とは
『鍼灸師』といいますが、
国家資格としては『はり師』と『きゅう師』にわかれています。
多くの場合、
『はり師』『きゅう師』両方の国家資格を持っているので、
『鍼灸師』と言っています。
ごくたまに、
『はり師』のみ
『きゅう師』のみ
の方もいます。
上記のお灸をしない鍼灸院の中には、
『はり師』の国家資格のみを持っていて
『きゅう師』の国家資格を持っていない
ということが理由の可能性もあります。
お灸は必須ではありません
お灸の煙やにおいが苦手
という方もいらっしゃると思います。
そんな時はお申し出いただければ、
お灸を使わずに施術することも可能です。
からだに対するアプローチの仕方はいくつもあり、
一人ひとりに合わせて施術をおこなっています。
お灸のジワーっと染み渡るような心地よさ
を感じていただきたいですが、
「どうしても無理」という方は、
気にせず、はっきりと伝えたほうが良いです。
はりきゅうの治療に我慢の必要はない
と私は考えています。
まとまりのないお灸の話でしたが、
少しでもお灸の良さを知っていただければと思います。
お灸のお話 その2 に続く
ゆかり堂治療院