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威厳のある女とは

威厳のある女になりたい。
ここ3年ほどそう思っている。

わたしの中で威厳のある女とは

・上沼恵美子
・デヴィ夫人
・藤島ジュリー

わたしはよく初見の人に舐められる。
相手は舐めてるつもりはないのだろうけど、私はどちらかというと童顔だ。
おまけにあまり自分に自信がない。
初見に人だと余計に自信がなく慣れるまで無駄に愛想笑いをしてしまう。
その態度が余計に自信なさげに見えるのだろう。

腹の中では、こいつ私を舐めてるなとは思う。
しかし顔は満面の笑みで、少し自信なさそうに笑っている。大して面白くもない話をこれでもかというくらい目を細めて。
わたしは誰に好かれたくてこんなことをしてるのだろうといつも思う。
そんなことをしてると、舐めた態度を取られるのだ。思い出すだけでムカついてくる。

なので私は、目力があり、人のことを目で殺せそうで、逆らおうもんなら論破される。
舐めた態度を取られない、そんな女性を威厳のある女と定義付けている。

そうだ、もう1人居た。
それはわたしの母親だ。

もう母に関しては威厳がありすぎて怖い。

これだけを書くと、母親は教育熱心な、とても厳しいひとだと勘違いされるが、そういう意味ではない。
そもそもそんな親の元育っていたらわたしは今頃空の上か、30階建てのオフィスビルで働いていたはずだ。

わたしの母親はとにかく派手もの好きだ。
60にもなるのに、全身ピンクや、何柄かわからないようなシャツにこれでもかというくらい純金のアクセサリーをつけている。

おまけに声も大きく、海外の人ならではの香水の匂いがする。
きっとここを歩いたであろうと、わかるくらい母親の残り香は強烈だ。
彼女が野生動物なら、スカンクかもしくはすぐ匂いでバレて獲物になっているか。
きっと前者だろう。

そしてとにかく感情が豊かだ。
笑い声は豪快で、こちらまで釣られ笑いしてしまう。
怒る時は身振り手振りで感情のまま自分の言いたいことを言葉や態度に示す。

昔、父親が仕事の付き合いで夜のお店に行って名刺を持って帰ってきたことがあった。
その名刺を見ては私が飲もうとしていたアクエリアスを父親にかけていた。

と思えば次の日には、父親と仲良く話していた。

幼心にとても不思議だった。

私の母親は16歳で日本にやってきたらしい。
「日本に行けばタレントになれる」そう言われて日本へやって来たフィリピンの人はきっと多いだろう。

そう言われてやって来たが、きっと私の母親はテレビになんて出たことない。
日本にやって来て、夜のお店で働いていたのだろう。そして父と出会い、結婚した。

わたしからみた母方の祖父と祖母は、母親が小さい頃に他界したらしい。
わたしも写真でしか見たことがない
母親には妹が2人いたが食いっぱぐれないようにと日本へやって来たと言っていた。

知らぬ国で、結婚をし、子供を2人育て、頼る人も少ない中よくやったと思う。
上から目線になるが、今わたしが同じような生活を強いられたら発狂して泡を吹くと思う。
ただでさえ、生きていくのが大変なこの世の中なのに、弱音を一つ吐くことなく、私と弟を成人まで育てた。

彼女の強さには脱帽する。
私の中での威厳のある女の条件にあと一つ付け加えるなら、

目力があり、目で人を殺せそうで、逆らおうもんなら論破される。そしてタフで、自由である事。

最後の二つは完全にわたしの母親だ。
母親はとてもタフで、そして自由だ。

私のように大して面白くもない話をこれでもかというくらい目を細めて口角を上げて聞いたりなんてしない。
人に自信なさげな態度をとってるところなんて見たことがない。
タフさがあるから知らない国で一から生活を営むことができた。

タフで自由さがある人間こそ威厳のある女だ。

母親はおとといインスタを更新していた。
そこに映る母親は、桜と共に写っていたが、ほぼ自分メインの写真だった。

桜を画角に収める気のない気持ちながらの桜が端にちょろっと映っていた。
しかし、ハッシュタグには、#sakura と記載があった。

どの写真をスワイプしても母親、もしくは母親の友人ばかりで桜の写真は一枚しか写っていなかった。

それでもキャプションには🌸🌸🌸🌸🌸と載せていた。

どこまでも自由で、そしてタフだなと微笑ましくなった。
これからも派手な服を着なくなったからと私に送りつけてくるだろう。
わたしと母親の趣味は合わないのに。
あたかもこれ好きでしょうと言わんばかりに着なくなった服を送ってくる。
どこに着ていけばいいのか困る服ばかりだ。

でも、明日はそんな服に袖を通して威厳のある女になろうと思う。

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