避難所に着いても、入れるのは1時間ぐらいあと。
文章力養成コーチの松嶋です。文章を書く力を活かして、地元の避難所運営チームに参加しています。マニュアル作成を進める中で、必要なことが明確になっていく様子はとても興味深いです。例えば、「支援が必要な人は一般の避難者と別に対応しよう」という案があったとしても、マニュアルを作る際に「いつ」「どこで」「どのように」その方たちを分けるのか、どの部屋に案内するのか、場合によっては帰宅してもらうのか、具体的に言葉にする必要があります。これを明文化することで、マニュアルが完成し、並行して行動指針が定まっていきます。やはり、言語化することはとても大事です。漠然と考えているだけでは、行動に移すことはできません。
課題:受付の位置づけ
避難所開設キットによれば、避難所開設の作業の中で「受付」は7番目に位置付けられています。しかし、避難者はそのようには思っておらず、すぐに受付を通り建物内に入れると考えています。実は私自身も、チームに入るまではそう思っていました。全体の作業工程を避難者に示し、受付設置のタイミングや条件を周知する必要があります。
受付開始前の初期対応(6項目、約1時間)
避難所に集まった人々を受け付ける前に、実は6つの工程があります。どんなに急いでも約1時間かかります。先日、猛暑の中で行った避難訓練では「早く中に入れてほしい」「涼しい場所に行きたい」「受付が遅い」といった苦情がありました。そして、その苦情に圧倒されてしまい、「本番でも1時間はかかります」というアナウンスをしそびれてしまいました。
課題
避難者がただ待つだけの時間にしないためにはどうすれば良いか。
この1時間をどう活用するか。
自宅避難者の登録をどうするか。
なぜ待機しているのか、いつまで待機するのかを避難者に周知する方法は?
実際には、避難所開設キットに以下のような工程が書かれています。
学校の門を開け、校庭へ誘導する掲示物を貼る
避難者を町名ごとに待機させる
(協力者を募り、車の乗り入れやペットに関する説明、雨天時の退避場所を決定)災害本部へ連絡
建物の安全確認
利用スペースの特定
(要支援者を先に受付するかどうかを決定)トイレの準備
受付開始
この1~6を担当班が作業している間、「受付の準備」も行います。ただし、建物が安全でない場合は、受け付けません。なお、この担当も当日集まった人で決めます。誰か決まった人がいるわけではありません。そこも分かっていない人が多いですね。どこからか都の人がやってくるとか、市の人がやってくるとか、そういうことは期待しないことが前提です。もちろん担当者はいますが、その人だって被災して来られない可能性もあるからです。
さて、このように、受付は7番目の作業ですが、その間、ただ待っているだけではいけません。運営委員も安全確認や受付の準備を分担して行わなければなりません。これも実際に運営に携わるまで見えなかった課題です。だからこそ、どのタイミングで受付の準備を始めるか、基準を定めることが重要です。例えば、もし避難所が安全でないと判断された場合、受付を開始することができず、避難してきた方全員に帰宅してもらうこともあるのです。
※何の災害かによっても状況は異なります。先日、大雨で避難注意報が出た時は、建物の安全性はすぐに確認できたので、すぐに受け入れられたそうです。
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