地域未来塾の正しい使い方
文章力養成コーチの松嶋です。本業を活かして、地域の活動もしています。4つほど地域の委員をしていますが、今日はその中の1つ地域未来塾について。
地域未来塾は、2015年文科省主導で始まった事業で、一斉に始まったわけではなく、都道府県や地域の事情により徐々に広まっています。
簡単に言うと
放課後の時間を利用して学習支援をする
活動です。元教師や大学生などが支援員となって、学習に不安がある生徒などに勉強を教えたり、一緒に宿題に取り組んだりして、学習習慣や学習能力をつけていく事業。予算があります。ちなみに放課後の居場所づくりという事業もあって、そちらは放課後子ども教室といいます。両方とも、地域学校協働活動という活動に含まれます。これらの事業はコミュニティスクールとは別の事業です。もうわけわからないと思います(笑)
ま、そういうカテゴリ分けは、お財布が違うから発生するのであって、文科省や都道府県や市区町村が分ければいい話。要するに、
地域ぐるみで子どもたちを教育していこう
っていう流れです。
これ、最初は大変でした。20年くらい前は、なんていうか、先生たちに「学校に入り込んでこないでほしい」という雰囲気があったんです。私の息子が通っていた小学校には、コミュニティスクール用の部屋を作ってしまっていて、そこを地域学校協働活動で使おうということだったんですが、まあ、学校に入るのに大変でした。
地域の人が自由に出入りするようになったら、セキュリティ面で怖い
って考えがあったんです。PTAでも反対意見が多かった。地域への利用議案がなぜ通ったか?私や私の友人が当時PTA役員で熱弁したから(笑)そして、それから数年で、すぐに分かったことがあります。
地域の人が常に出入りしている学校に、不審者は入りづらい
んです。でも、その後も先生たちに葛藤はあったようです。特に指導のこと。地域の人が部活の顧問をしたり、授業の補佐をしたり、放課後に勉強を見たりすることを嫌がっていました。これは分からなくもないです。自分たちの力不足を民間が補うような感じだったんでしょう。でも考えてみれば、子どもが学校と家庭だけで育つなんて、不自然なんです。そうなると、お互いに責任のなすりつけ合いになります。子どもがどこにいるかで責任が変わる。学校で起きたいじめは学校のせい、家庭で起きた問題は家庭のせい、お互い同じ子供に起きたことなのに「持ち込まないで」という気持ちになります。そこに地域がからむことで、とたんに「みんなで育てていこう」ということになります。そうです。子育ては家庭だけとか、学校だけとか、あまりないけど地域だけとかでできることではないよねって話です。
それでも、先生たちには「一般人に指導を手伝ってもらうなんて」という気持ちがあったと思います。でも、いよいよ行き詰ったのは、教員の不足という事態があったからです。
私の身近な例だと、教員不足で野球部活動休止ということがありました。そこで地域で経験者を探したところ、少年野球のコーチ経験がある方がいたのです。これで子どもたちが野球をすることができるようになりました。
地域未来塾もスタートは厳しかったと思います。先ほど書いた「一般人に教育のことで携わってもらうなんて」という気持ちがどうしても消えない。
教師は、人に頼ることも覚えた方が、真の教育につながる
私はそう思いますが、どうにもこうにも手ごわい。私も教師業をしているので分かりますーーーー。
そこで、文科省はこんな文言を付け足したんだと推測します。
これなら、先生たちもOKかもですね。私も教免あるので(なんなら先生たちより指導歴が長いw)心置きなく手伝えます。幸い、大学生の多い地域、しかも教育系の大学も近くにあり、すぐに学生も集められました。
地域未来塾の正しい使い方
そういうわけで、地域未来塾には、指導を任せても大丈夫な人材もそろっていて、場所も学校内。いろいろ頼みやすいと思います。
今までいろいろなことを頼まれました。え?それ、うちの事業じゃできないかもという内容のものもありましたが、地域未来塾の上位には、地域のコーディネーターがいるので、振り分けが上手にできます。
例えば、試験監督。これは、地域未来塾の事業ではできないので、地域協働本部に。同様に面接の練習の補助も依頼があり、地域協働本部へ。
学習支援が必要な子を見てほしい。これはOK
日本の伝統文化を教える人を紹介してほしいという依頼も。これは地域未来塾の事業ではできないので……と思ったら、学生支援員にちょうど日本の伝統文化を教えられる子がいたので紹介。
英語を1年生から復習させたい。これはOK
つまり、学習に関することは地域未来塾の事業でできるんです。でも、そうやって振り分けていると「地域協働活動」にいちいち小さな関所ができてしまう。もう、なんでもいいので、話をしに来てくださいっていうのが良いと思います。やっと開いた門戸を閉じないようにしたいもの。
どうにかできないか、一緒に考えましょう!
それが、学校と地域の協働なのだと思います。