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珍回答!でもちょっと泣ける。認知症の介護認定審査

文章力養成コーチの松嶋です。両親の遠距離介護もしています。父の2度目の介護認定審査があったので、実家に帰っていました。

介護認定審査とは介護保険での支援が、どれぐらい必要なものか判定するものです。前回の認定審査で父は要介護3と判定されたので、それが現在も適切かどうか、また介護度が重くなったか軽くなったか、そういうことを審査に来るもの。

基本的に本人に質問するのですが、父は認知症なので、トンチンカンな答えもあるかもと思っていました。事前に質問内容がある程度わかっていたので、それをもとに、自分たちで記入したものを用意して、こっそり玄関で渡しました。

静岡県富士市のもの

https://www.city.fuji.shizuoka.jp/kenkou/c0507/rn2ola000001b4an-att/rn2ola000001b4gi.pdf

「すいません、父は認知症なので、ちょっととんちんかんな答えをしてしまうかもしれないということで、私たちから見た答えもここに用意してきました」
「本人の前で見ても大丈夫なものですか」
「いえ、できたら何かで隠して、資料を見てるようなふりをしてもらえたら助かります」
「分かりました。そうさせていただきます」

やはり審査の人は、慣れてるようです。実際、審査の後半は、本人に「移動できるか確認」と言って部屋に移動させ、小声で認知症の話をしました。
本人が傷つかないように色々工夫してくれて、本当に助かりました。

事前に認定審査が来ると伝えると、時間の見当識障害がある父は、時間感覚がわからず「いつ来るか」と30分おきぐらいに母に質問することが目に見えているので、審査員の人が来る直前に、話をしました。介護保険の仕組みで、こういう審査がある。いつでもいいと言ったら今日来てくれるらしい。今日たまたま私がいたからよかったねーという感じで話をしたら、納得してくれました。

氏名、生年月日、家族構成、昔の記憶、新しい記憶、普段の生活の様子、腕は上がるか動くか、歩けるか、食事はどうしているか、寝るのは誰かに手伝ってもらってるかなど、本人に質問します。

父は、父なりに、一生懸命に答えているけど、やはり認知症なのでトンチンカンな回答も現れました。

生まれたのは千葉で、というところは合っていたけれど、兄弟の数は間違えた。男三兄弟なのに姉がいると答えました。姉とは私のことらしい(笑)確かに私は妹の姉なので、そういう意味で言ったのかもしれないけれど。

静岡に引っ越してきたのはいつくらいの時ですか?という質問。私が小学生ぐらいの時なんだけど、父の回答は「大東亜戦争の頃かねえ

私には子供がいるんだけれども、孫はいないと答えました。でも、孫の名前は言えるんです。こういうところが普通の物忘れとは決定的に違う点です。

認知症の話をすると、よく「私も最近物忘れが激しくて」って言われるけれど、認知症のそれは、そんなレベルじゃない。年金の心配はしても、自分がオムツをしているのは分からないんです。

審査員が「目の検査です」と言って、あるシンプルな絵を見せた10分後に「さっき目の検査だと言った時に私が見せた絵、覚えてますか」と聞かれたけど、父は答えられなかった。やはり10分前の記憶も怪しいとなってきたということ。記憶の検査をするのに「目の検査」というところも、認知症の人が傷つかない工夫なんですね。

現状、デイサービスに毎日連れて行ってもらい、夜は一人でベッドまで行けないので毎晩ヘルパーさんに来てもらい、土日はショート。ショートが抽選で外れた土日は、私と妹が交代でオムツ交換のために実家へ。そんな状態を把握した審査員さん。「これを毎日。。。介護費用の自費部分が、かなり高くなっていませんか」と。金額は言わなかったのですが「かなり高いです。困ってます」と答えたら「そうでしょうね。介護度が上がるといいですね……。いや、上がらない方がいいんですけどね」と変な会話になってしまった。

確かに介護度が悪くなった方が、介護保険で使える範囲が増えて、私たちは助かるんだけれど、それって父の状態が悪くなっていくということだから、家族としては実に微妙です。

審査員の人が帰った後、私がちょっと買い物行ってる間、父は母に相談したらしい。
「さっきの結果で、何かが変わってしまい、お前たち家族に迷惑がかかることになるのか?」

優しすぎる。父は認知症だけど優しいところだけはずっと残っていて、それがまた辛い。

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