客観性~言い方で喧嘩を売らない~
高校生向けに小論文指導をしているんだけど、作文と小論文は、まったくの別物で、文才のある子ほど苦労している。そういう子は、うっかり共感してしまいそうになるほど、主観的な表現が上手だからだ。
小論文と作文の一番大きな違いは、客観的な表現がされているかどうかというところ。小論文は客観的な表現をしなくてはいけない。論理そのものを納得させるのが目的なので、大げさな言い方をして、被害者感情、当事者感情等を表現してはいけないからだ。
今日はクソ暑いって感じ。
これは主観的な表現だ。「クソ」が悪いんじゃないの?って思うかもしれないけど「クソ」を普通の言葉に直しても同じ。
今日はとても暑く感じる。
これでも主観的。
先日、飛行機に乗って鹿児島に行ったんだけど、機内の冷房が効きすぎで、ものすごく寒くて、飛行機を降りたとたん、私は「はー、あったかい……」って言ったんです。でもうちの旦那は「これを『あったかい』とは言わないだ」と笑った。
確かに33°cの気候は、あったかいとは言わない。でも24°cぐらいに冷やされて寒くて仕方がなかった私にとって、33°cは「あったかい」なのだ。
もとい。「今日はクソ暑く感じる」を、主観的な表現ではなく、客観的な表現に直すにはどうしたらいいか。
コツは、言い方で喧嘩を売らないということを考えること。先ほどの例で言うと(私は別に喧嘩を売ったわけではないけど)「そうは言わない」と言われたわけで、そう思う人がいるということは、その表現は客観的ではないということだ。もちろん「はー、あったかい……」は日常会話なのでOK
今日は、昨日より3度高い、33°cの真夏日だ。
どう感じたかが書かれていないので、極めて客観的な文章になる。
昨日より3°c高いのも、33°cなのも、真夏日なのも、
誰からも変わらない。これが客観的ということ。
自分じゃなくてもその表現ができるか?
そういう視点が大事。小論文以外にも、レポートなどで使えるし、実は、自分の気持ちを俯瞰してみるのにも役立つ。
お客さんからクレームをつけられたという、この表現。報告書に書くのに、また、自分の気持ちを落ち着かせるのに、客観的な文章に直してみましょう。